潮風の香る町で
バスを降りて
小さな郵便局の
角を曲がる
道の端っこに積もる
柔らかい砂が
水平線の見える場所へ誘う
カモメの鳴き声と
空のペットボトルのゴミ
苦笑まじりに
嗚咽を漏らす
過ちに悲しみを
悲しみには許しを
気休めに隠された慟哭よ
破り捨てた青さは
揺れる波間に消えた
暖かい季節が終わる
黄昏色の紅茶で
喉を浸して
不愛想な店の椅子
ひとり温める
カラスの鳴き声と
昔のライブの張り紙
時を緩めて
痛みを逸らす
気まぐれに口にした
流行り歌のフレーズが
言い訳になるような悔しさも
このくすんだ色の空
沈む太陽に焼かれた
長く伸びた影が消えていく
地割れのような傷が
癒えていく
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