※注意!
この作品はタイトル通りマチゲリータPの「暗い森のサーカス」の解釈もとい妄想小説です。あと某有名PVにも影響を受けております。
出来るだけ原曲に忠実にと思ったのですが如何せん妄想なので主人公がGUMIだったり座長が2人いたりカップリング要素が多数あったりと勝手な独自設定のオンパレードとなっています。
よって原曲のイメージを壊されたくない方、ガクメイなどが苦手だなって方はリターン推奨です。

おkな方はそのままスクロールしていただければ。
マチゲリータPに敬意を表して。

♪~ ♪ ~♪ ♪♪ ~


【勝手に妄想】暗い森のサーカス【自重できなかったよ】第六幕


 ボーン、ボーン。

「・・・!」

 突然鳴りだした振り子時計にメイコは、はっと我に返った。いけない、物思いに耽っている暇などないのに。
 再び舞台の案を練ろうと紙の上に目を落とす。メイコは小さく、あっ、と声を上げた。先ほどよりも白い部分を浸食して大きくなったどす黒いインクの池が、先ほどまで文字や図だったものすら呑み込んで、いまだにじわじわと広がっていた。インク壺が知らないうちに横倒しになっていたらしい。黒は、周りの白を、黒さえも貪欲に喰らい尽くしていく。皮肉ね、と呟いたメイコの唇は、やはり紅かった。
 メイコは仕方なく黒く染まった紙を丸め捨て、新しい紙にもう一度書き直し始めた。明日は少し見せ物の順番を入れ替えよう。仕掛けもそろそろ客が飽きてきているに違いない。新しいのを作らなければ。もっと何か新しい刺激になるものが欲しいところだけれどそんなことは言ってられない。言ったところでないものねだりだ。自分で何とかするしかない。
  ようやっと考えがまとまったメイコは自室を出ると台所に立ち寄り、地下室へと向かった。地下室とは、すなわち夫の研究室である。といっても今の研究は、おぞましいとしか言いようのない狂気そのものであった。最初こそメイコは地下に行くのを恐れていたが、今では躊躇うこともなくなっていた。
 慣れって恐ろしいわね、と自嘲しながら、メイコは夫の食事を手に足音を立てないようにして階段を下りる。下手に音を立てるのを今の夫はとても嫌がるのだ。とくにコツ、コツ、というような大きな靴のたてる音が癇に障る、というより恐怖に感じるようだ。何がそうさせたのかは、言うまでもない。
 そういえば青い男の鎮静剤が切れかかっていたかしら。最近摂取量を増やしたせいで薬の減りが早いのだ。そろそろ作ってもらわないと―――などと思案しているうちに、いくつかある地下室のうちの、夫がいると思われる部屋の前に立っていた。ドアを数回ノックした後、きい、と軋む扉を開く。

「―――・・・本当に助かるわ。これがないとせっかくの花がすぐ枯れてしまうもの」

「礼には及ばないよ。そういう約束だろう?」

 肩口で切りそろえられたブロンド髪の少女がメイコの視界に入る。その傍らには伸ばしっぱなしの紫の髪を適当に結った夫の姿があった。二人の周りには言葉にしがたい、なんと言い表していいのかわからないものが当たり一面にごろごろとしていたが、それを一切気にせず二人は言葉を交わしている。少女の方は笑みすらこぼれていた。はたから見れば正気の沙汰ではないが、メイコはこの光景にもやはり慣れていた。
 もう一度、今度は開きっぱなしの扉をノックすると二人はやっとメイコの存在に気づいたらしい。ブロンドの少女が大きなビンを抱えたままこちらを振り返った。

「あら、おば様こんにちは。それじゃあおじ様、また今度来るわね」

「ああ」

 夫の前で可愛らしく会釈をしてみせた少女は、メイコの前でもトレードマークの黒いリボンを揺らして小さく会釈をし、階段を駆け上がっていった。夫も少女の足音は平気らしい。

「今日はずいぶんと大きなビンだったわね」

「最近花が増えて薬が足りなくなってきたと言っていたからね」

 少女は有名な大学教授の娘さんで、私たちとは利害が一致しているため協力関係にある。少女は実験やサーカスに必要なものをこちらに届ける代わりに、こちらは少女に「花の栄養剤」を供給するという約束である。もちろん鮮度保持剤や延命剤の効能も入ったオリジナルの薬で、夫の研究成果の一つでもあった。

「増えた、ってことは」

「明日にはサーカステントまで届けるそうだ」

「・・・そう」

 要点を伝え終えた夫の目には、私を見つめながらも私のことなど映ってはいない。目の前の研究と題した狂った実験にしか興味はないのだ。本人は無意識なのだろうが研究にかかわること以外についてはまるで目の色が違う。でなければこんなに冷えきった眼を私にさえ向けるだろうか。・・・いや、そう信じたいだけかもしれない。
 極端に、ぎらぎらした眼と冷めた眼が行き交う夫。夫はあの日、道を踏み外したのだ。少しずつ、けれども確実に狂気に堕ちていく道へと。それはアリ地獄のように捕らえて放さない。だんだんと夫が変わっていく様子は、もしかすると唐突に豹変してしまった方が楽だったかもしれない。

「いつもすまないね、メイコ」

 そう言って夫は私の背中に腕を回す。あなたの腕は本当に私を抱き締めている?あなたの中に、私は存在している?
 尽きない疑問。返ってこない答え。もしかしたら、もう。

 ―――ああ、それでも。


「私は大丈夫よ。あなたの役に・・・立てるのなら」

 それでも私は、私には、この愛した男を捨てることなどできない。この愛している男を裏切ることなど、できはしない。
 たとえこの男が罪を犯し、神に背き、もう―――壊れてしまっていたとしても。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【勝手に妄想】暗い森のサーカス【自重できなかったよ】第六幕

お久しぶりとなってしまいました。どうも、望月薫、旧姓・・・じゃなかった旧名にゃん子です。

今回はメイコの回想シーンを終え、やっと現実に帰ってきました。とは言ってもまだ時間軸がちょっとずれているのですが、それはこのあと明らかになってくると思います。はやくメグちゃんのターンに戻さなけれヴぁ・・・!

メグ:わたしの出番マダー?
ミク:私なんてまだ2回しか出てないんだけど!はやくここ(舞台裏)から出して!
カイト:ウガアアア
リン&レン:それは、(まだ)無理なこと。

閲覧数:1,250

投稿日:2010/02/09 13:38:16

文字数:2,336文字

カテゴリ:小説

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  • sunny_m

    sunny_m

    ご意見・ご感想

    こんにちは。sunny_mです。
    以前、コメントありがとうございます。
    自分の方が落ち着いたので、ようやっと!望月さんのお話、読むことができました。

    最初の、メグちゃん視点のサーカスの光景が一瞬だけ楽しげなんだけど、とても怖くて原曲のイメージと合っていると思いました。
    だけど、原曲だけじゃない、メイコとがっくん夫婦の、オリジナルの要素もあったりして、どうなるんだろう。とドキドキしています。

    メイコ・がっくん夫婦は悲しい結末なのかな。
    サーカス団のコたちはどうなっちゃうのかな。
    メグちゃんも仲間にされちゃうのかな。
    うわ~ん!!
    と、パソコンの前でもだもだしています(笑)

    この先、どうなってゆくのか楽しみにしています。
    それでは、頑張ってください!

    2010/02/09 22:55:34

    • 望月薫

      望月薫

      ほえあああsunny_mさんだあああ(いい加減叫ぶ癖をどうにかしろ!

      いえいえこちらこそコメントありがとうございますーv
      そして読んでくださって感謝!です!励みになります!

      イメージに合う作品になってるようで良かったです。オリジナルな部分を原曲に
      うまくかみ合わせるのが大変ですが、楽しくもあります^^
      もだもだ!してやったりです!(え)
      snny_mさんのもだもだしてる様子は可愛らしいんだろうなあ、じゅるり(^p^)←

      本編はちょっと読み返すといろいろ未熟なところや辻褄合うか不安なところも多々あるので
      しっかり書き終えられるか・・・!
      期待に沿えるような作品になれるかわかりませんが、えっちらおっちら頑張らせて頂きます。
      途中紅茶と珈琲で休憩しながら頑張ります(笑)

      まだ読みきれていませんがsnny_mさんの作品もちまちま読ませて頂きますね!
      こめんとありがとうございましたーv

      2010/02/10 22:50:57

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