(7)

 二人は14歳になりました。王女さまの周りのひとたちはしきりに王女さまに結婚を勧めるようになりました。王さまの子孫はリンとレンの二人だけで、もしも二人に何かがあったら跡継ぎが誰も居なくなってしまうからです。しかし彼らが勧めてくるのは死んでしまった王さまのように年をとった人ばかりだったのでリンは嫌がって全て断っていました。貴族の女の中にも王の血筋欲しさにレンに露骨に言い寄って来るものがたくさんいましたがレンはそんな下品な女たちには何の興味も示しませんでしたから、彼女達もそのうち諦めてしまいました。

 そんなある日、海の向こうの青い国から舞踏会の招待状が届きました。青い国はこの国と同じくらいに広大な土地をもっていて、議会という奇妙な制度を使ってみんなで話し合いをして政治をする国でした。この国の王子もまたリンと同じような境遇にあって、若々しくて人望も厚く国中の女性が逆上せ上がってしまう程なのですが、どうしても決まった人が見つからないのを見かねて、色々な国から女性を呼び寄せてその中から無理やりにでも選ばせようと言うのでした。リンはすっかり海の向こうの王子さまに期待を膨らませてしまいました。

 「ねぇ、レン。今度のドレスはどうかしら?」

 たくさんの侍女に囲まれながら王女さまはいつものように側に控えていた召使に聞きました。レンは心からの笑みを浮かべて、

 「とても良くお似合いですよ、王女さま」

 と言いました。すると王女さまはとたんに眉をひそめます。

 「もうドレスだけでも10回は作り直させているって言うのに、お前は毎回毎回同じことしか言えないのね。」

 そういわれると召使は困ったように首を傾げます。

 「しかし女王さま、本当にどのドレスもお似合いですから他になんとも申し上げられません」

 召使は心のそこからそう言ったのに、王女さまは今やさっきまで来ていたドレスを破るように脱ぐのに必死です。

 「ああ、もう、こんなみっともないドレスを着ていったら恥をかかされるだけだわ。日が暮れるまでにそっくり作り直しなさい」

 女王さまはいらいらしながら侍女たちを部屋から追い出します。そして思い出したように召使を振り返ってこういいました。

 「あら、おやつの時間だわ」

 結局舞踏会のためのドレスを職人たちはあと30回も縫い直さなければなりませんでした。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

悪くて可哀想な双子 (7)

!! CAUTION !!

これは悪ノP様の言わずとしれた名作「悪ノ娘」と「悪ノ召使」を見て感動した上月がかってに妄想を爆発させたそのなれの果てです。

・当然の事ながら悪ノP様とは何の関係もありません。
・勝手な解釈を多分に含みます。
・ハッピーエンドじゃありません。(リグレットとの関連も無いものとしています)
・泣けません。
・気付けば長文。(つまり、要領が悪い)

以上の事項をご理解いただけた方は読んでみて下さい。

閲覧数:448

投稿日:2009/12/13 00:59:13

文字数:1,003文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • shioro

    shioro

    ご意見・ご感想

    続き、掲載して頂けて嬉しいです!
    ありがとうございます。

    悪ノ娘・召使に魅了されてからというもの、ネット上で小説を読み漁りましたが、連続小説の中では上月様のものが一番好きです。

    さらなる続編に期待しています。

    2009/12/12 12:12:33

    • 上月物子

      上月物子

      >shioroさん
      大変お待たせしました。とりあえず書き溜めた分はここまでになります。

      続きについてはご期待にこたえられるようにかんばりますが、オフの事情もありまたお時間をいただいてしまう事になりそうです…。

      魅了されるお気持ち、とてもよくわかりますw
      もったいないお言葉ありがとうございます。褒められなれてないのでうまく反応できてませんが本当に嬉しいです!

      2009/12/13 21:00:33

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