※諸注意
・カイト×マスター(女性)
・妄想による世界観
・オリキャラ満載
・カイトは『アプリケーションソフト・VOCALOID・KAITO』の販促用に開発されたキャンペーン・イメージロイド(?)機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』
恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです
上記が許せる方は、自己責任でスクロールして本編へどうぞ
☆☆☆☆☆
『万が一、私に何かあったら…この子をどうか、一人にしないであげて欲しいの、』
今でも耳に残る、涙を堪えた彼女の声。
きっと自分の死を、少なからず予感していたのね。
シャングリラ・第十八話~傷痕~
SIED・KANA
篠武さんが十二歳になった夏、彼女の両親は事故に遭った。
知らせを受けた私も、二人が搬送された病院へ急いだけれど。
結局間に合わず、目にしたのは。
二人の遺体を前に、泣き崩れている篠武さんの姿だった。
でも、これは事故に見せかけた殺人ではないか、未成年である篠武さんの後見人に納まろうと、身内の誰かが目論んだのでは…という噂が、密かに親戚中を巡り。
葬儀の場でそれを耳にした彼女は、その夜…自殺を図った。
目の当たりにした血族の醜さと、自分の存在に絶望して、発作的に起こした行動だったけど、幸いにも未遂で済んだ。
(本当に死んでしまったら、これまでの努力が全て無駄になってしまうというのに…、)
篠武さんを一族の楔から解放し、自由にする。
それが彼女の母…私の親友の切なる願いだった。
小さいうちには見た目の性別なんて曖昧だけど、第二次性徴期を過ぎれば、自然と身体は丸みを帯びて『女』になる。
頃合を見て、『篠部君は亡くなった、』と。
篠武さんを男と認識しているお祖父様を始め、親族たちに虚偽の報告をしてしまえば。
数年後、完璧な女の身体を手に入れた彼女は、誰にも気づかれることなく晴れて自由の身。
これが、私の親友が人生を掛けた計画。
そのために、犠牲にするものも多いけれど、背に腹はかえられなかった。
(両親の葬儀最中に自殺を図った篠武さんを、そのまま本当に死んだことにして、世間から存在すべてを抹消して…、)
心に大きな傷が残った彼女を私が秘密裏に引き取り、今日まで何とか支えてきた。
しばらくは心身ともに荒んでいたけど、今ではとても明るく元気に育ってくれて、心底良かったと思う。
(でも、自分の存在を肯定できないせいか、彼女は積極的に他者と深い交流を持とうとはしなかった…、)
『だって、オレはもう「死んだ人間」だし。どんな具合で祖父さんにバレるかもわからんから。…それに、オレに関わって不幸になる人間を増やしたくないしね。別に必要ないだろ?こんな血は絶やしたいから、結婚だってしないしなー、』
何事も、浅く広く。雑踏に紛れて、痕跡も溶け込んでしまえるように。
そう溌剌と、少し寂しそうに語った篠武さん。
だけど私はむしろ、彼女をもっと外界に出してあげたかった。
失った偽りの半生と、これからの未来を、たくさんの幸せで満たしてあげたかった。
一人の人間として、女としての可能性と喜びを教えたかった。
(何かの糸口になればと、北澤君を紹介したのは正解だったわ、)
馬が合ったのか、彼をきっかけに少しずつ彼女は外に出るようになった。
あわよくば、このまま恋人関係に…なんて、期待もしたけど…。
「意外と役に立たなかったわね…、」
「え、何のことですか?」
私の呟きを耳にして、キョトンとこっちを見る北澤君が、なんだかとっても腹立たしい。
キミがもうちょっと、男としてイイ仕事してくれてたらよかったのに。
だけど、希望はある。
「…カイト君、意外なダークホースだわ、」
(彼女にだって、幸せになる権利はあるもの、)
そのためにも、ここは私が頑張らなくちゃね。
私は携帯を取り出すと、ある番号を押した。
「あ、もしもし?…うふふ、そう。わ・た・し・よ☆」
あの子のためなら、私はどんな手段だって厭わない。
…これでいいのよね、有栖。
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ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)
漆黒の王子
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