今日は、雨が1日中降っていた。
ここに1人の少年がいた。少年は雨を冷たい眼差しでずっと見つめていた。
「俺は・・・」
少年は、一言何かを呟いた。
雨は、少年の声を掻き消すかのように凄まじい音を立てて降っていた。
少年は、前から来る人影に気づいた。
「レンーー!!」
「お前・・・クラスメイトのリン?」
レンは、さっきと同じ眼差しでリンを見つめた。リンは、気づかないフリをして笑顔でレンに手を振って近づいた。
「お前か・・・俺の下駄箱にテガミを入れたの。」
「うん♪」
-昨日-
「なんだ・・・?」
レンが下駄箱を開けると、一通のテガミが入っていた。
『レンくんへ
いきなりゴメンなさい。
明日の2時、公園に来てください。
話したいことがあります。
クラスメイトの1人より』
-なんだこれ・・・
レンは、最初行くつもりはなかった。
けどレンは、雨を見た瞬間、なぜか体が動き公園に向かっていた。
「それより、来てくれたんだね♪」
「別に・・・」
レンは雨を見ながら、曖昧に答えた。リンは、そんなレンの腕を引っ張ってベンチに座らせた。
「何すんだよ!?」
「今日は、来てくれたんだから一緒にお話ししよ☆」
「話があんなら、さっさと終わらせろよ・・・。」
「まぁまぁ、そう焦らず、ゆっくりお話しようよ♪」
リンは、レンをなだめる様に笑った。これでもリンはクラスの女子委員長を務めていて、クラスの人気者だった。そんなリンがレンは少し苦手だった。
「レンくん、今日はクラスのことでお話しようと思って。」
レンは、何も答えず雨をじっと見つめていた。
「レンくんは、なんでクラスの人たちと馴染もうとしないの?」
「どうだっていいだろ・・・。」
「そんな、レンくんだってクラスの一員なんだよ。」
「面倒なんだよ、そういうの。」
レンは、さっきよりも冷たい視線でリンを睨んだ。
「でもレンくん・・・いつも寂しそうな目をするじゃない!」
「別に、してねーよ。」
リンは、ベンチから立ってレンの目の前に立った。
「なんで、人と繋がろうとしないの!?」
リンは、心配そうな目でレンに言った。
レンは、少し目を閉じてリンを睨んだ。リンは、少しビクッっとした。
「お前に俺の何が分かる?」
リンは、何も答えられなかった。そして、少し後ずさりして屋根のある所から出て雨に濡れた。
すると、横から勢いよく自転車がベルを鳴らしながらリンに向かってきた。
「えっ!!!」
「お母さん、今日は僕の誕生日だからケーキ食べ放題だよ!」
「もう、レンったら食いしん坊なんだから。」
レンとお母さんは、2人で手を繋ぎながら歩いていた。
レンは風船を片手に自分の誕生日を楽しんでいた。すると、レンは人にぶつかり手にあった風船を思わず放してしまった。
「あっ、僕の風船!!!」
「レン!!?」
レンは無我夢中で風船を追いかけた。レンが、ようやく風船を手にした時、横断歩道の真ん中に立っていた。レンの横から車が勢いよく向かってきた。
「レンーーーー!!」
「お母さんーーー!!」
大きい音と共に、レンは目を開けた。
レンの前には、大量の血を流したお母さんの姿があった。
「お母さん、お母さん!!!」
雨のが降り続く中、レンは叫び続けた。
レンは、その日を境に変わってしまった。
自分がいると周りの人は不幸になってしまう。そう考えたのだ。
そしてレンは、人繋がる事を拒み続けた。
「んっ・・・・」
リンは雨の中、目を開けた。レンは、リンを強く抱きしめた。
「レッ・・・レンくん!?」
レンは、悲しそうな顔で雨の中リンの目の前に立っていた。
「どうしたの?」
「俺は・・・人と繋がってはいけない。」
リンは、驚いた顔でレンを見つめた。
「そんなことないよ!!人は人と繋がる事で生きていられるんだよ!!!」
レンは何も答えずリンを見つめた。そしてリンは気づいてしまった。
雨に混じって流しているレンの涙を・・・・
「レン・・・くん、どうして泣いているの?」
「泣いてねーよ。」
「嘘っ、泣いてるじゃない!!」
リンはレンの頬を触って、涙を拭った。レンの目はまるで雨のように冷たい。
「レンくんは、人と繋がらないって言ってるけど、もう繋がってるじゃない!」
「はっ・・・?」
「私と繋がってる。それにクラスの皆とも繋がってる。」
「・・・・・。」
「知ってるよ。レンくんのお母さんのこと。皆、知ってるもんね。」
レンは、少し目が揺らいだ。
「アレは・・・俺のせいだ。」
レンは、呟いた。また一粒の涙を流した。
「そんなことないよ、レンくんのせいじゃないよ。」
レンは、リンを睨みつけ叫んだ。
「お前に、何でそんな事分かるんだよ!!」
「・・・分からないよ。でも、レンくんは悪くない。」
レンはその場に座り込んだ。リンもレンの前に座って笑った。
「そんな顔ばっかしてたら、お母さんが可哀相だよ。」
レンは顔を上げ、リンを見た。リンは微笑みながら言った。
「お母さんは、レンくんに笑顔でいてほしいんじゃないのかな。」
「そんな・・・・」
すると雨が次第にやみ始めた。レンは驚いて空を見上げた。
「雨・・・止んだね。」
「・・・あぁ。」
レンは立って、リンに手を差し出した。
「ありがとう♪」
リンはその手を掴んで、レンの前に立った。
「ありがと・・・お前のおかげで元気出た。」
「そう?じゃあ、クラスの皆とも仲良くしてね。」
レンは黙り込んだ。リンは不思議そうに尋ねた。
「レンくん?」
「それは、時間がかかる・・・」
「そっか~、まっ、ゆっくりで良いんだよ~☆」
「じゃあ、俺帰るから。」
レンは、リンに背を向け、歩き始めた。
すると、リンは走ってレンの前に立ちはだかった。
「レンくん!!待ってください!!」
「まだ、何かあんのかよ?」
「いや・・その・・・コレが一番、伝えたかったことで・・・」
「何だよ?さっさと言えよ。」
「いや・・その・・・」
リンは、さっきとは雰囲気が変わった。レンは面倒くさそうにリンを見つめた。
「おい?」
「だから・・その私と・・・付き合っていただけませんか?」
「・・・はっ?」
「いや、その・・・レンくんの事を考えているうちに・・・なんか好きになってしまいまして。」
「あっそ・・・」
レンは、リンの横を通って、また歩き始めた。リンは、慌ててレンを追いかけた。
「レッ、レンくんーー!!返事はーー?」
「レン、おはよう。」
「・・・・・。」
「ちょっ、何か言ってよーー!!私達、付き合ってるんでしょう。」
「メンドくせ・・・・」
レンは、うざったそうにリンに答えた。
「むーーー、ヒドイーー!!」
レンは、無視して教室に入ろうとした。けど、足を止めて振り向いた。
「リン、ちょっと来い。」
リンは、レンに近づきレンは、周りを確認してリンのおでこにキスをした。
「コレでいいだろ?」
リンは放心状態で顔が真っ赤になった。レンは、ちょっと笑いながら席に座った。
~終~
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hoseyaahose12
1
何も分からないよ
何だか悲しいよ
何も頼れないよ
君にすら抱えられない
から
笑うしか無いことは
君もそうかもと決めつけて
ただ笑う 笑う
...Trader
mikAijiyoshidayo
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ご意見・ご感想
紅華116@たまに活動。
ご意見・ご感想
レン…かっこいいよ!!惚れましたww
リンちゃんがうらやましいです^^
感動しました!! このストーリー素晴らしいです!!
甘菜さんの小説、おもしろいです!!
次回も期待してます^^
2011/04/01 13:07:13
甘菜
>>紅華116さん
感想ありがとうございます☆
惚れた!!なんて嬉しいお言葉!!
そんな私も書いてる途中、レンくんに惚れてましたww
感動して下さるなんて、感動です(泣)
期待に応えられるよう、頑張ります♪
2011/04/01 20:23:42