「もしやり直せるなら…また二人で夏祭りの花火でも、見に行きたいね」


あなたはそう言ったね。
でも、やり直すなんて、もう無理だよ。
あなたは、私のこのリボルバーで、消えてしまったもの。

でも、心配しないで。
きっと、またすぐに会えるから。
だって、「ずっといっしょにいようね」って、
あなたはずっと、言ってたもんね。

だから私も逝ってあげる。
でもきっと、あなたのところには行けない。
だって私は、悪人だったのだから。
アナタは、善だったものね？

さよなら、サンタさん。
それに、私。





パァン…







<<【七つの大罪】最後の狙撃師と大罪者たち【二次創作】>>








「――そういえば、グミって地獄に来たときに、入り口の看板壊したよね？」


バニカが私にそう言った。



「…うん。なんか、『ようこそ地獄へ！ゆっくりしてい（ｒｙ』とか書いてあった看板は、
イラっときたから蹴飛ばしたよ。
もろい看板よね、ただ蹴ってリボルバーで撃っただけなのに、粉々よ。」

「それ絶対壊れるでしょ」


バニカが苦笑いをしながら、こちらを見る。



「じゃバニカ。逆に聞くけどさ。」
「何？」
「バニカだったら、あの看板どうしたかった？」
「食べたら美味しくなさそうだった」
「バニカらしい回答ね」


さすが悪食娘。



「…ていうか二人とも。聞きたいことあるんだけど」


カヨが青ざめた表情で話しかけてきた。


「「どうしたの？」」
「なんであのおとなしいリリアンヌが…暴れてるのですか？」



「うぅーーーーいぇぇぇーーーーーーーーーーーーーい！
　無駄無駄無駄無駄無駄ぁ！」



そこには、いつもはおとなしいリリアンヌがロードローラーを乗りまわす、シュールな光景があった。




「ああ、それは私にはわからないわ」
「私もわかならい」
「そうですか…」


リリアンヌに何があったのだろう。



「トマトを買うならロードローラーで☆」



意味がわからない。



「あ、リリアンヌ。それどう？」
「気に入ったわ！さっき入り口の看板がまた立ってたから、また壊してきたの！」
「またあのアホ看板立ってたの？ｗ」


アレンとリリアンヌも、あの看板壊したのかｗ
てかリリアンヌ、またってことは、しょっちゅう壊してるの？ｗ


そしてリリアンヌはアレンをロードローラーに乗せて、行ってしまったｗ
なにしにいくんだ。



「こほん…まぁ話を変えるけど」


さすがバニカ。切り替えも早い。


「グミって、生前、恋人いたんでしょ？」
「恋人…アイツは…」
「？　どうしたのよグミ」

アイツは…


「アイツなんか、好きになるんじゃなかった！」
「「えええぇ！？何があったの！？」」


アイツなんて思い出したくない！
アイツは…


「アイツは…最低だったのよ」
「どういうことですか？」
「最低って、何があったのよ」


本当にアイツは最低だった。


「ええ、最初はあの人が好きだった。
　でもね、ある日知ったのよ。
　アイツには…




　すでに妻と子供がいたのよっ！」
「「…」」


二人がある人物の方向へと視線を向ける。
そこには



「…え？俺なんかした？」



ヴェノマニアの姿があった。


「アンタってたくさんの女性を誘拐してたのよね？」
「最悪ですね」


そういえば…そうだった。


「アイツは女タラシよね」
「グミさんの恋人もあんなんだったんでしょうか」
「そういえば小さい子も誘拐したとか…」
「うわッロリコンですね」


凄い。ヴェノマニアが暗いオーラを出し始めた。



「待って。確かにヴェノマニアは、生前たくさんの女性を誘拐して、女装した男に殺されたマヌケで不純な人だけど、
私はヴェノマニアを嫌ってはいないわ。彼はロリコンではないわ」
「グミ…酷いよ。俺傷ついた」
「でも、あなたはちゃんと改心してるじゃない。しかも一途で、一人の女性がずっと好きだったんでしょ？」
「確かにそうだけど…」
「ならいいじゃない。ね？」
「…うん」


そう。ヴェノマニアは、ちゃんと後悔しているからいいのだ。
でも、アイツは最悪だ。


「で、グミの恋人ってどんなんだったの？」
「あ、うん。それで『新しく買った浴衣だよ』って浴衣をくれたんだけど、それなんか他の女のお古だったみたいで」
「「うわー…」」
「家に帰ってからそれ燃やした」
「「ナイス判断」」
「それで彼のこと憎み始めたかなー…ちょうどその時、上から『彼を殺せ』って命令がきてさ。
　彼一応、正義側の人間だったから。」
「「ちょうどいいタイミングね」」
「それで、初めて会ったときの桜の木に呼び出したんだけど、彼最後になんて言ったと思う？
　『ああ、もうバレちゃったか。他に愛人がいること。
　　でもいいよ。もしやり直せるなら…また二人で夏祭りの花火でも、見に行きたいね』
　って言ったのよ…最悪」
「「うわー…」」
「だから死んだ後に、いろいろ言ってやりたかったけどさ…結局彼は天国にいったみたい」
「…最悪な結末ですねぇ」
「ソイツ地獄に落ちればいいのに。」
「でももう会いたくなくなったから、むしろこれでよかったよ」
「「なるほど」」


あの女タラシめ。会ったらリボルバーで、４８発くらい撃ってやる。


「ソイツ、食べてやればよかったじゃない」
「バニカ、私はリボルバーで９回撃ったわよ」
「私なら、このよく切れる鋏で浮気の怖さを知らせてあげますけどね」
「カヨ、そのあとスタンガンで撃ちまくったわ」
「スタンガンあったのね」
「私ならギフトで幸せにしてあげてるなー」
「マルガリータ、確かに一服盛ってみるのもよかったかもなー」
「私、王女のころだったら断頭台行きにしてたかも」
「リリアンヌ、それもいいかもね」




「…私はこの会話についていけない」
「俺もだ。」
「僕も…」


部屋の隅で、男三人は浮気の怖さを知ったとかなんとか…