「な…!?」
「恋人を返してもらおうか」


目の前の女…じゃなく、僕を刺した女装男は、そう言った。

なぜこの状況になってるかというと、まぁ簡単に言えば、僕は悪魔と契約し、国中の沢山の女性を誘拐した。
そしてある日、僕の屋敷を訪ねてきた女かと思った奴に、毒を秘めた刀で刺された。

屋敷からは、僕が誘拐した女性たちが逃げていく。

別に、皆待ってくれなんて思っても居ない。
僕は、ようやく自分が大罪を犯したことに気づいたんだから。
今は、あんなことするんじゃなかったと後悔する。
でももう遅かった。

僕の左胸からは、赤い血が流れ出し、それはやがて汗と混じりあい、紫の雫へと変わる。
そして、薄れ行く意識の中、僕が最後に見たのは――


「さよなら、サテリアジス」


僕の方を一瞬だけ見て、最後に屋敷から出て行く、幼馴染のグミナの姿。


「グ…ミナ…」


せめて、君だけは待っていてほしかった。
でも僕は許されない罪を犯してしまったんだ、待ってくれるはずがない。
でも…


「まだ…君に、好きだ…と…言って…ない…」


僕の意識は、そこで途切れた。

















<<【七つの大罪】ヴェノマニアとほのぼの雑談会【二次創作】>>



















「止まりなさいカヨ!止まったら撃つわよ!」
「そんなんで止まる人いたら怖いわよ!!」
「じゃあ止まらなくても撃つ!!」
「きゃあああああああお助けえええッ!!」


今日も、バニカに襲い掛かろうとして食われそうになり失敗したカヨが、グミに追われている。
もう日常風景。


「ちょっとヴェノマニア!新聞読んでる暇があったら助けなさい!」
「カヨの自業自得だろ？俺は関係ないね」
「くッ…この日曜のおっさんめ…」
「なんとでも言え。でもおっさんではない」



俺はまだそんな年じゃない。



「サテリアジスさん、そんなことより三時ですよ。お茶しましょう」
「僕も同席したいです」
「私も」
「あんたら何なごんでるｎ助けてえぇ狙撃師にやられるううううッ!!」



リリアンヌとアレンとバニカが、勝手に俺の近くのテーブルでお茶会をはじめた。
カヨはなんか、まだグミに追いかけられてる。いつ終わるんだろう。



「リリアンヌ、今日のおやつはフィナンシェだよ」
「わぁ、おししそう！」
「私のぶんは？」
「沢山作りましたよ。よかったら皆さんお一つどうですか？」
「さすが少年、わかってるじゃないのー」



バニカはもうおやつはアレンに頼りっきりだな…
お前大人だろ…？自分でつくんないのか…？



「サテリアジスさんもお一つどうぞ」
「…さんきゅ」



アレンはいつもなんか作るからなー…
もうこいつ召使じゃなくてコックだろ…
しかも断ろうとしても断れないし。



「お口にあいましたでしょうか」
「うん。お前相変わらず料理上手いなぁ」
「お褒めにあずかり、光栄です。バニカさんは？」
「はんはほあおｆひｑあえｊふぉいｄ…」
「バニカちょい待て、何言ってるかわかんないから…」



こいつ子供か？
というか、とうとうバニカはボケ役になってしまったのか？
そうしたらツッコミ役がいなくなりそうで困るなぁ…



「あんたの腕は世界一や☆」
「ありがとうございます。でも☆はつけなくてもいいです」
「…」



もうツッコむ気力も無くなってきた。



「カヨさんグミさんガレリアンさんマルガリータさーんこっち来てくださーい、雑談はじめまーす」
「「「はいはーい」」」
「さて、今回のお題はあぁ…」



ツイッターっすか？



「アレン、くじの用意はおｋ？」
「おｋ☆」
「じゃあひっきまーす！」



くじで決めるのかよ。
しかもそのくじってあみだかよ。



「じゃんッ!!」
「決まったあぁー!!」
「「「いえーい！」」」
「私は乗り気じゃないんだが…」
「眠たいわぁ…」



決まるだけで皆テンション高すぎだろ。（二名除く）



「ここに来て、変わったことは何か？です…はあぁ…」
「決まり…はあぁ…」
「「「えええぇー…」」」
「どうでもいい」
「寝たい」



そして一気にテンション低くなりすぎだろ。
何？皆何かあったの？俺が知る限りではそんなことなかったはず。



「私はとくにないですねぇー…」
「私もギフトを作り続けてるからあんま変わってないねー…」
「おなかすいた」
「あんのやろおおおおお撃ってやるううううう」
「娘に会いたいなぁー…」
「僕は無いかな？」
「私も無いかなー…趣味がロードローラーいじりになったこと以外は…」



なんなんだこの会話。
カヨとアレンはよしとして、皆おかしい。
バニカはマイペースだし、
グミはいきなりキレたし、
マルガリータはさらっと怖いこと言ったし、
ガレリアンは写真眺めだすし。
とくにリリアンヌはおかしい。
なんだよ、趣味がロードローラーいじりって。



「サテリアジスさんが変わったことは？」



俺も言うのか…



「ないｔ」
「そういえば、アンタ生前は一人称『僕』だったんでしょ？なんで今『俺』なのよ」
「言葉遮らないでくれますか？それとカヨ、なんで俺に鋏向けるの？マルガリータ、なんで一服盛ろうとしてんの？」
「ごめんなさいついクセで」
「ごめーん手が滑っちゃったフリをしようとしてたー」
「お前言ってることわかってんのか…？」


もうわからん。
もう、このメンバーはおかしいと思う。いろいろ。



「で、なんで一人称変えたのー？」
「娘は元気かなぁー…」
「ガレリアンさん、ちょっと黙っててください」
「ぐふっ！ど、毒が…」
「よし黙った」
「これどうしますー？」
「そこらへんにでも捨ててきなさい」
「じゃそこらへんにほかっときます」



ガレリアンが縄に縛られた。
こいつ、もうボケキャラになりやがった。



「あー…なんか『俺』のほうが自分にあってる気がして…」
「そっちのほうがいいと思いますよ」
「『僕』だと、僕とキャラかぶっちゃいますし」
「キャラの心配してるの…？」
「んなこと言ったら女性キャラはどうすんのよ」
「そこはなんとかなるんじゃないですか？」
「なにそれー…」
「あんたたち邪魔よ！私という一人称を使っていいのはこのバニカ・コンチータよ！」
「あら…受けてたつわ！」



なんだろう。いつのまにか、女性陣が皆立ち上がって何かをしそう。
何すんの？



『『せぇーの…』』



なんだろう。ちょっと怖い。



『『どるぁ！』』



カヨは鋏を構え、
リリアンヌはロードローラーに乗り、
マルガリータはギフトの小瓶を振り（炭酸じゃないだろ）
バニカは食事用のナイフを沢山取り出し、
グミはリボルバーやらスタンガンやらピストルやら銃を沢山取り出した。

何!?決闘でもするの!?



『『はぁいせぇーのぉー…』』



なんだ!?
なんか凄いことになりそうな気がする！



『『さいしょはグー、じゃんけんぽんッ!!』』



じゃんけんかよ!!
しかも皆グーかよ!!



『『あいこでしょ、あいこでしょ、あいこでしょ…』』



皆永遠にグー出しすぎなんだよ！
誰かパーとか出せよ！



『『あいこでしょ、あいこでしょ、あいこでしょ…』』



変化がなーい！
オチがなーい!!
誰もグー以外を出そうとしないから終わらない…！




「楽しそうですねー…」
「誰もグー以外を出さないのか…？」



やがて、その戦いにアレンも参加し、結果は全員がグーを出し続けている。
俺はそんなシュールな光景を見ながら紅茶をすすった。