「みんなみんな…眠ってしまいなさい」


この街は、嘘みたいに静かになってしまった。
みんなが眠ってしまった。

あの人が悪いのよ。
お飾りだけの人形のように、私にそっくりなあの人形のように、利用される「だけ」はもううんざりなの。
私は悪くない。
あの人が、私をお金のためだけに使ったから…

だから壊してあげたのよ。
あの日々を、街を、あなたを。
全て憎かった。
全て壊したかった。

この街が静かになったのは、私がこの「gift」をみんなにあげたから。
あ、「gift」って何かわかる？
英語で「贈り物」、ドイツ語で「毒」って意味なのよ。
このgiftは眠る毒なの。
とてもよく効く薬でね、あまりにも強い薬だから毒なのよね。
そうね…なんでも、永遠に眠れるくらい効果があるそうよ？


私も役目は終わったわね。
この街には、もう何も残ってはいない。
あるのは、永遠に眠るみんなだけ。

だったら、私も眠ろうかしら。
giftを口に含む。

――あぁ、とうとう眠れるのね。

みんなには会えるかな？
でも私は悪いことをしたんだから、せいぜい地獄かしら…


私は深い眠りに落ちていく。
眠らせ姫から眠り姫に…










<<【七つの大罪】眠らせ姫と異常な光景【二次創作】>>










「だーーーっしゃーーーあぁ!!!」


朝っぱらからグミが叫んでいる。
どうしたのやら。


「カヨ、今日という今日は許さないわよ！
　おとなしくそれを返しなさい!!」


何か奪われたのだろうか？


「それは私の自作爆弾なの！
　私以外が変にいじるとえらいことになるわよ！」


あぁ、グミって銃だけじゃなく爆弾も使えたんだ。
しかも作ったんだ。
あと今日という今日はって、カヨは毎日盗んでるのかしら。


「爆発したらしたでおもしろいと思いますけど」
「違うの！爆発どころじゃないの！いいから返して！」


爆発どころじゃないって、何がおこるんだ？
大炎上するのか？


「どっかの誰かさんのブログの拍手機能が使えなくなって、書き込めなくなって、リンクも貼れなくなって…
　しまいにはコメント欄が荒れて結局そのブログが炎上するから返しなさい!!」
「なんてどうでもいい機能がついた爆弾なんだ!!
　しかも炎上するってそっちかよ!!」」


あ、ようやくツッコミ担当が来た。


「サテリアジスさん、確かにどうでもいい機能かもしれませんが、同時に恐ろしいことでもあるのですよ」


リリアンヌがもっともな意見を口にする。


「ていうかグミ、なんでそんな爆弾作ったんだ!!」
「ストレス発散ですが何か!!」
「解除はどうするんだよ!!」
「私は爆弾の解除は簡単にできますが!!」
「そうですか!!でもストレス発散で作るのはやめろよ!?」
「ちぇ、仕方ないなぁ」


仕方なくないよ。
危ないよ。


「いいよ、かわりにガレリアンをボコるから」
「なんでそうなる!?」
「うむ、それなら仕方ないわね」
「バニカ!!仕方なくない!!」


これに関しては、ツッコミ担当はノーコメント。
めんどくさいだけなのだろうか。


「よし、じゃあ私もストレス発散を」
「マルガリータ!?お前も正気か!?」


だってガレリアンの扱いはこうっしょ。


「はーい提案ー。…やっぱいいや」
「うおいっ!!なんなんだ!?」


バニカが手を上げて、そして諦めた。


「だってさぁ…ガレリアンだし…」
「何それ酷い…」


まぁいつもよりは扱いがマシだと思う。


「だいたいさ、ガレリアンって最初ツッコミだったのになんでそんなになったの!?」
「それはバニカ、お前にも言えることだ!!」
「はぁ!?あんたはねぇ…！前から気にくわなかったのよ!!」
「その言葉、そのままそちらに返させてもらう!!」
「あぁ!?」


めずらしく、バニカとガレリアンが喧嘩を始めた。
仕立屋とツッコミ担当と狙撃師は、暢気におやつを持ち出した。
なぜこの状況で。


「だいたい、バニカの暇つぶしの仕方はありえないだろう！」
「あれのどこがありえないのよ！」
「いくらなんでも、フライパンをフリスビーみたいに投げるなよ！」
「どこまで飛ぶかなって思っただけよ！」
「「飛ばねぇよ！」」


投げたんかい！


「しかもなんで戻ってくるんだよ！」
「フライパンだってやればできるのよ！」
「フライパンは何もしてねぇだろ!?」


戻ってきたんかい！
そしてガレリアンに、ようやくツッコミが帰って来た。


「お前がフライパンを投げてどうなったと思う!?」
「どっかの誰かさんがお腹すいた」
「違う！G○ogleでYah○oと検索する奴が急激に増えた!!」
「「すげぇどうでもいいなオイ！」」


お前はGoo○le派なんかい！
ていうか、「飛ばねぇよ!」といい…
「すげぇどうでもいいなオイ!」とか、サテリアジスとガレリアンはどうしてツッコミは息ピッタリなのよ。


「ねぇ」
「どうしたマルガリータ」
「ナイスのお二人は仲良いの？」
「「悪い！」」
「息ピッタリじゃん」


私の言葉を聞いて、ナイスの二人はお互いの胸倉を掴んだ。


「そういえば、あの時はよくもやってくれたなぁ」
「上等だ。今ここで決着をつけてやるよ」


あ、本当に仲悪いんだね。
なんか喧嘩始めたし。


「あぁ美味しい」
「バニカ。あなた何を食べてるの」
「生のブリそのまま。いる？」
「あんたはガ○シュかい」


ていうか、どこから持ってきたの。


「で、カヨ。あなたはなんでカメラのシャッターを切ってるの…」
「だって、あのアレンが暗いオーラを出してるんですよ？」
「そりゃ珍しいけどさ」
「周りの霊も写りますよ」
「それは怖い」
「鉛筆の芯と、消しゴムのカスの霊が」
「それどういうこと？」


どんな原理なの。
ていうかアレンいたんだ。


「アレン。足のしもやけが痒いのは分かったから戻ってきなさい」
「どうせ五十メートルを3秒67でなんか走れないよ…」
「そんな奇跡的なスピードで走る人いないわよ」
「僕はこれが、始まったら、マンボウの着ぐるみが死んでたらどさくさに紛れてドア閉めようと思うんだ…」


何が始まるのだ。
しかもドア閉めてないんかい。
とりあえずしもやけが辛いらしいので、塗るタイプのgiftを渡した。

鬱な状態のアレン。
魚にかぶりつくバニカ。
的確に蚊を銃で撃ち落とすグミ。
いまだに口喧嘩をするナイス。
どっかの紳士さんみたいにはぁはぁ言いながらカメラのシャッターを切るカヨ。

そんな人達を置いて、ただ一人何かを書いているリリアンヌに、ずっと持っていた疑問がある。


「ねぇリリアンヌ。聞きたいことがあるの」
「どうしました？」
「…最初はおとなしかったのに、なんでボケキャラになってんの？」
「…個性豊かな人達のペースに、乗せられると思ったから」
「…あなたも苦労しているのね…」


「だいたいお前はそんなだから仕事を選べないんだ！」
「そっちは沢山の女を誘拐してるじゃないか！」
「ミリオン行ってるぞ！
　あとそれ『嫌』って言ってると、作者がこのシリーズを続ける理由が――」
「その話は続けると危ないからやめろよ!?」
「お前はいじられキャラだろうが！」
「そっちは日曜のおっさんじゃねぇか！」
「あぁ!?お前表出ろ!!」
「上等だゴラァ!!」


とりあえず、やかましい二人にはグミに借りたコルト・ガバメント(空砲)を撃って黙らせた。