ある国の王は悪逆非道な王でした。
王女の国であったはずの国でした。
でも、前の王女が彼を王にしたのです。
でも、彼の姉は殺されました。
国が殺したのです。
だから、この国が嫌いでした。
だから、王は民を虐げました。
例えば過酷な労働を強いるとか、多くの税をかけるとか。
「そんなことをしていては、いつか酷いことになる」
と、他国が何度も呼びかけても聞く耳を持たず、民を苦しめていました。
ある日、止められないと悟った隣国の緑の王女がある依頼をしました。
名の通りの漆黒の衣の集団にです。
それは、Un corvo-鴉-、お金を積めば何でもする集団。
どこの国にも属さない自由な暗殺部隊です。
「隣国の青の王を殺して。」
そして、実行する者も選ばれました。
黄色い髪をした少年。
右手には紅いトランプのカードが。
裏には隣国の王の名が記され、暴動に紛れて殺せと命じられました。
紫の近衛兵が異変に気付きました。
「王、民たちが何か企てているようです。」
そう進言しました、
でも、王は聞きませんでした。
「民に何ができるというのだ。」
しかし、民の怒りはもうすでに頂点へと達していました。
王は、何も知らずにいました。
暴動が起きました。
槍をふるい押し寄せてくる民。
一人紛れた少年は、王の元へと行きました。
兵はすべて逃げ、月も雲に隠れた夜。
王座に一人いました。
青の髪、王が。
潔く諦めた人を殺るのは至極簡単。
少年は、それを刺し殺しました。
だけども話は終わらない。
少年の昔話を少し。
スラブ街の荒れたところで生まれ育った少年。
ここの生活から抜け出すには、他の国へ行かねばなりません。
でも、二人一緒には無理でした。
兄がいました。
二人は別々の国へ。
紫色の髪をした兄は近衛兵に、黄色の髪をした弟は暗殺者、鴉に。
だけど互いを忘れたことは一度もない。
深い絆でした。
王の間が月明かりに照らされ、本当の色が映される。
短く切られた紫色の髪。
身代わりでした、王は既にいなかったのです。
「お前は生きてくれ。」そう言い残して逝きました。
涙は捨ててしまいました。
だから、ただ、叫びました。
声無き声で。
卑怯な権力者は、命が惜しくて逃げ出した。
兄を身代わりに生き延びた。
「そんな奴、憎んでいいよね?」
仕事は終わりました。
青の王はもういません。
皆死んだと思っています。
確かにいなくなりはしました。
「勝手に国を壊せばいいさ。」
そう言いながら、国から出ていっただけです。
真実を知るものは二人だけ。
組織から抜けた少年は、暗殺者から復讐者に変わりました。
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