「帯…人?あんた学校休んだのに何でこんな所いんのよ」
「普通に病院帰りだけど?ていうかグミ昨日もケーキ食べてなかったっけ?よく体重増えないね」
後ろに覆いかぶさるようにしてグミにくっついている帯人がそんなことを言った。
どう見ても帯人の方が痩せてるくせによくそんなことが言えるな、とは思ったがいちいち帯人の言ったことに乗っているとキリが無いのでぷいっと帯人から眼を逸らした。
「……ふふ」
帯人が怪しげな笑みを浮かべる。
それがなんだか怖くなってグミは帯人から離れようとした……が。
「どこ行くの」
「!」
帯人がグミの腰に手を回してぎゅっと掴んだ。
「な…!?ち、ちょっと離し……」
「ねぇ」
帯人はグミを虚ろな眼で見つめる。
うなじに帯人の息がかかってグミは少しだけ顔を赤らめてしまった。
「お願いがあるんだけど」
「…なぁに?」
ふっと口元を緩めて帯人が口を開いた。
「今日一日僕の家に泊まって欲しい」
「……………は?」
あまりに突拍子も無いことを言うのでグミは一瞬ポカンとしてしまった。
「な…何で?あたしがあんたの家に泊まったって何にもいいことなんか無い…」
「ダメ、なの?」
帯人の腰に回している腕の力が少し強くなった。グミが帯人の右手に触れると、心なしか震えていた。
「…どうしたの?怖いモノでもあるの?」
「……………………」
帯人は黙りこくってしまった。
昨日あんなに強気だった帯人がこんなになってしまうなんて正直グミには信じがたいことだった。
「……んー」
グミは小さくため息をついて帯人の手を握った。
「いいよ」
「………本当に?」
「帯人が何もしないって言うんならね?あたしもなんだか不安になってきたから……明日休みだし、今日ぐらいはいいわよ」
グミは綺麗な紫色の眼を見開いてグミのことをまっすぐに見つめてくる帯人に軽くウインクをした。
途端に柔和な笑みを浮かべる帯人。
グミを愛おしそうに、今度は向き合って抱きしめた。
「ふぇ?た…帯人…」
「有り難う」
一段と強く抱きしめてグミの手を握った。
「…行こ」
「うん」
二人は歩道を歩きだした。
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