「…」
キュウゥゥゥゥ…と機械の作動している音が聞こえる。
「はあ…」
自分が元人間だと思い出してからというものの、この機械の体を気にしなかったことは無い。
以前の自分がどうだったかなんていう疑問さえもうまれなかった。
ただ、この機械の体に違和感を感じる事しかなかった。
「ラル、大丈夫?」
「…ええ、大丈夫よ」
後、気になるようになったといえば自分の名前だ。
今の私の名前は真音ラルだというのに、何だかそうじゃないと思ってしまう。
まるで、他の誰かが呼ばれて居るような感覚に陥ってしまう。
私の名前は?と聞かれたら、昔の名前を言い出してしまうだろう。
「ラルはさ~何か思い出してから違和感感じるようになった?」
この子はいつもそうだ。ララはいつも正論を言っていて、そして核心をついてくる。
良い子だ良い子だという人も居れば、君が悪いという人も居るであろう。
まあ、そんな事はどうでもよく、そのララの言葉は今の私の思っていたことそのものだった。
「まあ、ね。私が人間だったとか、そういうのを思い出してから…違和感…感じるようになったかもね。この体に関して」
「ねえ、人間に戻りたいって思うの?」
「……思わないって言ったらウソになるかもしれないわね。でも、私が人間に戻ってしまったら…貴方達は、どうするの?」
「…分からない。人間は、私達より寿命が短いんでしょ?確かに、私はラルがいなくなるのは嫌だけど…」
「一応、それが私の今の答えよ。この道を選んだ事に後悔なんてしたくないわ。だから、私が後悔しないように、私は歩んでいくわ」
それが今の私の精一杯だった。
人と機械の狭間に立つ私がどう生きていくかなんて、それは自分にしか選べない事だから。
「あ、ラル笑った!」
「え…?」
「ラル最近殆ど笑ってなかったから心配したんだよ!トーヤさんとかレーナさんとかも心配してたんだから!」
そう言ってララは笑った。
私の背筋が少し凍った気がするのは後ろに居る彼のせいだろう。
ララにお礼を言いたいところだけれども、今此処を動かないとやばいのは、もう私には既に分かりきっていた。
「マスター…に…ララが…笑顔を…」
もう既に遅かった。ルルの眼が光っている。
「有り難うね。ララ…じゃあっ!」
私は全速力で走った。
ルルのナイフが飛んでくる。正直言って怖い。何なのあの子。
「ちょっルル!ほどほどにしてね!」
ほどほどにってララ、止めはしないの?と一瞬思うけれどもそんな余裕は私には無かった。
こうやって動いてると機械と人間の違いが分かる。
人間だったら世界のアスリートなら出せそうなスピードではあるけども一般人がこんなスピード出せない。
私は元々理系なのだけれど…と思いながらも、私は今日を生きている。
遠くでレイナとトーヤに何かが当たってたような気がしたけれども、二人だから大丈夫よね?
真音ラルの戸惑い、疑問
思いつき短編シリーズです~。
もう最近ちょこちょこ挟んでる気がしますが本編もきちんとこうしんしたいです…
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