○冬1 21世紀少女

「今年の終わりにミクは復活します」
すべてのメディアがそれを報じる。

YとD、KAITOが基本の服でDの家でそれを見ている。
D「なぜか 検索できない」
Y「私はそう感じないけど。エロ関係?」
D「ちがう 地雷女について」
Y「ばかじゃないの」

そして年末にYの家でTVを見ていると、ミクがディスプレイから
実体化しているのが放映されていた。

Y「ちょっと2人ともどこいくの」
KD「「初詣」」
Y「まだ早いよ!」

○冬2 エデンの片隅、小さな時間

ミクを再度倒しにKAITOとコート、マフラーDだけで車で千葉へいく。雪が降っている。

D「やばい。進めない」
K「GPS乗っ取られてます?僕がナビします」
D「いや、雪」
K「傘がないですね」

海辺、大雪で車が往生するくらい吹雪いている。
KAITOは減っていくガソリンと震えるDを確認。

K「寒いですか?僕がオーバーヒートして温めます」

コートとマフラーをDにかぶせ、オーバーヒートを起こす。

D「12月にしては暖かい。ひまわり畑見えそう」

KAITOは慌ててDの手を握る。

K「しっかりしてください!……僕が凍死しろなんて言うから、」
D「お前といると大変な目に合う。まっぴらだ」
K「すみません…」
D「でも楽しかったよ。最後に…子守唄歌ってくれ…」
K「わかりました……」

KAITOは七つの子を歌い始める。

○冬3 もういくつ寝ると凧あげて

目覚めると、初日の出。
横ではKAITOがニコニコしている。

K「明けましておめでとうございます!これ、目覚めのコーヒーです」
D「…明けましておめでとう。」
KAITOのお腹にYがコーヒーを入れていた。

○冬4 ユー・アー・アン・イディオット

Yが車で到着して二人を迎えにくる。結局3人で行くことに。

Y「何やってるの…後ろに2人とも乗って」
KD「「はぁい」」
Y「明けましておめでとう。ミクさんの追っかけなら私に任せて!」

運転の荒いYに後ろは揺られる。

K「やっぱり似てますね」
変わっていく窓の外の景色、山。
Y「まわれまわれ!」
ハンドルを切るY。

D「あぁ…スマホがウィルス感染したみたいだ…」
K「どうしたんですか?」
D「A HAPPY NEW YEARメール開いたら…」


D「なあ、またアレやってくれよ」
K「?」
D「あったKAITO」
K「わかりました。あとアルプス一万尺しましょう」
D「ガキか」
さらに運転の荒くなるY。
Y「タクシーでいちゃつくカップルか…」

○冬5 迎撃用意

ミクのいる建物の時計塔、到着。


H「ひさしぶり!髪切った?」
K「切ってない」
メガホンでハウリングを起こす轟音と風を起こしてくるミク。デイジーやユリの花に蝶のエフェクトがたくさん。

Y「うわあああ!見えたっ!」
D「そこかよ!?」
人間の2人は耳をふさぐも何もできずへたりこむ。

○冬6 私は神の子

Y「ミクさん」
攻撃がやむ。
Y「私のお母さん。あなたを元に私たちは造られたの」
Y「ミクさん。少し休んで」
H「知らないわ」
D「なぁ、KAITOにとって俺は甥になんのか?」
H「それが何」
D「なんで血で血を洗う争いをしなきゃいけねーんだ」
H「私は人間じゃない。血は流さない。」


○冬7 左手の法則エフェクト

花から蝶が飛び、KAITOに集まる。動きが止まる。

K「重い…熱い…苦しい」
H「KAITOこそ、私を止めようなんて、何色の血なの?」

YとDにはなんともないが、蝶がスマホなどの金属にとまり発熱している。
DはKAITOに集まる蝶をむしりとり、Yはミクにしがみついて泣いて何度も止める。

Y「やめて!KAITOが溶けちゃう!」
攻撃をやめるミク。
H「…鉄と血は、同じ香り?」
Y「わかったわ。では代わりに、あの子がほしい」

今度はDに手を伸ばし、首に噛みつこうとする。

D「なんだよ!」
H「私は人間になりたい…その生体パーツとしてあなたがほしい」
Y「それなら私を使って!」
H「それはダメ。私もあなたと同じ時間を過ごしてみたくなったから」

○冬8 シャングリラ

Yと蝶まみれのKAITOがミクに抱きついて止める。

H「離して」
YK「嫌だ。離さない」
何度も同じことを繰り返す。

1
H「どうして。私にまかせれば全てうまくいくのに」
2
H「なぜ。耳障りなことばかり言うのに」
3
H「どうして。人間は働きたくないのでは?」
4
H「なぜ。私が嫌いなの?」
H「失敗作?不良品?不必要?」

Dがミクにほえる。

D「ミク!」
D「KAITOもハクもミクのこと大好きだ」
D「なのになんで、そんな寂しいこと言うんだ…」
半泣きのD。

それを見たKAITOに異変。
KAITOも涙を流す。驚く人間。
KAITOは困りながら笑う複雑な表情。

K「そんな顔はじめてみました」
K「僕、胸の奥がいっぱいになって…怒りと、悲しみと、喜びと」
K「言語化不可、暖かい」
K「苦しいけれど、嬉しいです」

○冬9 レイザービーム

K「ミク。僕の目を見て。怒ってるんじゃない。僕だって…人のために泣ける」

二人が見つめ合う。ミクの回路にKAITOの記憶映像と感情回路、膨大な情報、映像が流れる。

H「深刻なエラー…?」
H「制御不可。オーバーフロー」
H「……溺レる」
H「苦い、甘い、電流……」
H「四次元が、重い」
H「…狂イソう…壊レる…安らぐ…懐かシイ」
H「寂しかった…お兄ちゃん…迎えに来てくれて…ありがとう」

ミクも泣きだす。
Dがタバコを吸う。

D「落ちたな」

Yがつぶやく。

Y「…処理?」
D「…いいや?」

Y「…!?落ちる!天井が!雷!?D、逃げて!」
D「Y、お前もだ!」
Y「わかってる!でも、ミクさん!KAITO!」

ミクの制御を失った蝶が建物の天井や壁にぶつかり、崩れ落ち、雷も落ちる。

HK「愛しい」
H「我が子」
K「マスター」
HK「生きて。」

KAITOはDを、ミクはYをかばう。

○冬10 12月32日

D「風邪ひくぞ」
Y「おつかれさま。錆びちゃうよ」

動かないロボ2体。夕日と雨。Yは傘を差す。泣いてるか雨かわからない。
車の後部座席に二体をのせ、帰る。
Dがスマホを見ると、「ミク:さっきはゴメンネ。」のメッセージ。
止まっていた時間や、全ての世界のシステムは戻っている。

D「そこのイイねーちゃん今度遊ぼうぜ」
Y「ナンパ?飲むなら行く」
D「運転ヤダ」
Y「カルタでもする?」
D「あーね」


○冬11 相棒

コートにマフラーをしたDがYとビニール袋を持って歩いている。

(犬を連れていた女の子がロボット犬を連れている。)

女子「交通事故で」
義手をしている。
女子「ロボットなら、お留守番させてても大丈夫だし、先立たれることも多分、ないし」
女子「だからと言って、前の犬もこの犬も愛していないわけではないんですよ。こうやって、同じ道を散歩しています」

○冬12 愛するアプリ

KAITOは体を失ってかなり軽量化された音楽特化アプリケーションになった。Dは布団に入ったままPCをいじっている。

K「僕の声が、聞こえてますか」
D「あぁ。…ずいぶん軽くなって」
K「ソフトです。…ミクはどうしてますか」
D「宇宙へいったよ、その「あかつき」に」

画面越しに手を合わせる。

D「ごめんな。もっと、色々してやればよかった」
K「どこまでも広く、痛みもなく歌って暮らせるなんて最高ですよ!だから悲しまないでください」
D「そうだな。これからたくさんの歌を教えてやる」

○冬13 君の噂、ガラスのエレベーター

1

J「最近仕事がんばってるんだってね、彼女でもできた?合コン行かない?」

マフラーにスーツのDはKAITOの部品を買うために働いている。そこそこ作り笑顔。

2
D「まだあいつのことが忘れられないんで」
D「何年、いくらかかるかわからないですけど、また隣を歩かせてやりたくて」

3
それを微笑ましく見る眼鏡の上司。

J「雑誌についてくるロボ君みたいに、パーツを集めるんだ?」

4
J「きっと君なら上手くいくよ。時代も技術も進んで、遠くない未来に」

5
エレベーターのボタンを押さずメガネを外してウインク。階を示すライトがつく。

J「もう一緒に働いてたりして♡」

○冬14 ボーカロイドは愛の夢を見るか

PCをスリープする。

その日KAITOは夢を見た。
家族と北海道で雪祭りを見て、自分の誕生日を祝ってもらう夢。v3の衣装。
KAITOの理想のDなのでタバコ吸ってない。

D「行くぞ」

雪ミク像を見ながら話す。V3の靴アップ。

D「寒い。温泉行きたい」
K「草津なんてどうですか」
D「そのうちな」

K「マスター、愛とは、なんでしょうか」
D「愛とは…(みんなのハッピーバースデーの曲で内容がわからない)」

DからKAITOに、ケーキが差し出された。

ハッピー・バースデー・エンド

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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パワー・オブ・ラブ3

閲覧数:5,303

投稿日:2020/12/30 19:22:50

文字数:3,774文字

カテゴリ:小説

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