「お、やっと起きたか」
木目調の扉が開くと、幸宏は盆に二人分の食事を乗せて現れた。食事の内容はきつね饂飩であった。
「貴方が、私をここまで運んできてくれたのですか?」
彼女の問い掛けに、幸宏は声を発することなく、ただ頷くのみ。
「……ありがとう、ございます」
「礼なんてどうでもいい。腹空いてるだろう? 饂飩、食べな」
彼女に竹で作られた箸を渡し、幸宏は一足先に饂飩の汁を啜る。緑髪の彼女は腹の虫が鳴り、彼に続くように饂飩にありついた。
「いただきます」
「うむ、よろしい」
幸宏は食事中、彼女の食べる姿を一瞥する。しなやかな緑髪を二つに分かち、黒いヘッドホンを首にかけている。腋は妖艶さは無いものの、露出させていて緑の長いネクタイを締め、縁の黒いミニスカートを穿く。格好はかなり珍妙で奇妙奇天烈である。
「あの、どうかされましたか?」
「あ、いやなんでもない」
彼女と目が合い、幸宏は勢い良く音を立てて麺を啜る。
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