キョウ視点
「…」
「あの…アクアちゃん?」
微妙な沈黙。
案内してる男の子は完全にアクアちゃんに怯えてるみたいで心なしか少し震えてるみたいだった。
「…」
「アクアちゃ~ん」
「…んだよ」
やっとアクアちゃんが返事をしてくれた。すごい不機嫌そうな声だ…。
そんなに男扱いされたのが嫌だったんだな~と思っていた。
<ま、お前は所詮それらいで頭にくるほどの短気って事だな。ララちゃんとは大違いだ>
ソウはなんでいつも余計な事を言いまくるんだろう。
「ソウ、今なんつった」
「ソ~ウ~…?」
私とアクアちゃんの二人にいわれて完全にソウは固まった。
そしてこう言ってた。
<いえ滅相もございませんキョウ様アクア様>
「まったく、ソウは一言二言多いんだから」
「あ、あの~もう着きましたけど…」
私とアクアちゃんが話をしている間にいつのまにか着いたらしく、未だに怯えている男の子が敬語で言った。
ちなみに一緒に居た女の子も一緒に居て、彼女はアクアちゃんの事を女と分かってたらしく男の子を叱咤していた。
「じゃあ、アクアさんとキョウさん、こちらに来てください」
女の子が私達の手を引いて少し重々しい扉を開ける。そこに居たのは…。
そこに居たのは、"お婆様"と呼ぶには若すぎる女性が居た。
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マイ視点
『悪UTAU接近!オリジナルUTAUの反応はありません!』
それは突然だった。
私達は亜種に成り損なった鏡音の成れの果てである双子と話をしていた。
とにかく、今聞こえたのは実衣さんからの…ブリッジからの無線で、私達は出撃しなければいけない状況だった。
「ごめん…二人とも。私達、出撃しなきゃいけないみたい」
私は二人に謝った。
なんとなく、二人をおいて行きたくない気がしたの。
「ううん、いいよ。あたし達は、ルン達の部屋に居るね。用があったら、いつでも会いに来てくれる?」
そう言った彼女の瞳はなんとなく悲しげだった。
孤独だったのかもしれない。二人はルン達が居たとはいえ、オリジナルにもなれない、亜種にもなれない。
どちらにもなれない、どっちでも偽者と言われる存在。
そう、彼女は言った。
「…マイ、いくぞ」
「うん、分かった。じゃあね。えっと…」
サウに言われて私は訓練室を出ようとしたけど、二人の名前を呼ぼうとしてはっとした。
二人には名前がないんだ。なら、私がつけよう。適当だけど、ないよりはいいよね。
「リナちゃん、レノ君」
そうして、私達は部屋から出て行った。
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???視点
「もう最悪!何であたしがこんな目に遭わなきゃなんねぇんだよ!ルリカはどうした!」
あたしは、目の前に居る妹に怒鳴った。
「で、でも、ルピア姉さまも分かってるでしょう!姉様はもう限界なんですよ!」
「あたしは、出撃しないからな」
あたしは胡坐をかいて妹から目を背けた。
あたしは、興味ない。
ララというボーカロイドの事も、初音ミクの事も。
あたしがやりたい事は、たった一つだけ。
"兄貴に会いたい。そしてぶん殴りたい"
あたし達を置いて勝手にどっかに行きやがった馬鹿兄貴や姉貴のせいでルリカが後継者に選ばれたんだ。
無責任な、兄と姉のせいで。
「別に、私は姉さまに出撃してとは言ってないです。ただ、ルリカ姉様はもう限界という事を伝えただけです!」
「ミア、お前は、姉貴と兄貴の無責任に振り回される"ユア"の事を、考えたことがあるか?」
あたしは、真剣な表情で、妹、ミアに問いかけをした。
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マイ視点
「ボーレイシェン、マイ機…出ます!」
「ボーレイシェンサウ機。出る」
私とサウは、リナとレノの話を終えてからボーレイシェンに乗り込んで悪UTAUとの戦闘に入ろうとしていた。
今回出撃したのはmikiさん、キリアちゃん、ミユウちゃん、ボイス君、ルル君。
何故、一人だけ正規であるmikiさんなのかはミリさんからも聞いてない。
「mikiさん、キヨテルさん達は…」
「何か、リンちゃんとクオ君が何処か行っちゃったみたいで…。数分前にクオ君のボーレイシェンとリンちゃんのボカロボットが出撃するのを誰かが見たらしいの。でも、何で言われるまで誰も気づかなかったんだろう…」
「そうですか…」
レーダーに反応が出た。悪UTAUの反応だ。
目の前には無数の悪UTAUの物と見られる機体が出現する。
「…っ!」
ルル君はかなり乱暴な戦い方をしている。
無理矢理敵機を引き千切ったり…。
ルル君は元々遠距離型だた筈…ルル君はどうしたのだろう。まるで、機械の暴走だよ…。
でも、その真相は、容易に考えられた。ああ、ララちゃんの事か。
「ララはどこだ!誰だっ!ララはどこにも居ない!どこにも…どこにも!!!」
ルル君はまるで獣の咆哮のように叫んだ。
どこにも居ない…。誰も、ルル君の言葉のその意味を理解してなかった。
ただ、ララちゃんが空間転移で何処かに行っただけで…そう思っていた。
「ルル!ララはきっと見つかる!だからもうやめろ!やめてくれ!」
「敵だからって八つ当たりすることもないだろう!」
ミユウちゃんとボイス君がルル君を止める。
サウやキリアちゃん、mikiさんはルル君を止める二人の邪魔をしないように悪UTAUを相手にしていた。
「よーしっ!ギャラクシーボーレイシェンブレード!私だって早くキョウちゃんやララちゃんを探しに行きたいし、ミクさんの事件の解明をしなきゃなんだからね!」
キリアちゃんはそう言ってボーレイシェンについてる剣を振るった。
「先生達は忙しいの。だから私が戦わなきゃ。a-v2型キャノン砲…発射!」
mikiさんは、無数の悪UTAU相手に砲撃を行っていた。
「マイ、行くぞ」
「うん、私だって、早く終わらせたい。こんな戦い…。そして、後で鏡音を一発ぶん殴ってやる!」
「…俺もちょっと賛成する」
その時、私の、サウのボーレイシェンのコックピットの画面が光った。
「何これ…」
「これは…」
その画面に浮かび上がった文字。
『v2-cv02-a-**』
『sing a song』
次に私達の周りが光って、何が起こったのかわからなかった。
そして、悪UTAUの軍隊は全滅して消えていた。
でも、この次に起こる事態は予期せぬ事態だった。
続く
歌姫戦士ボカロボット第29話
ルル~、正気になってる?
ちなみにmikiさん出したのはちょっとオリジナルも目立たせようかな~と、これからちょくちょくキヨさんとかユキちゃんとかグミちゃんとか出てきます。
あ、ボーカロイド3の方々はまだちょっとも~っと後に出番はあるので。
あ、あと何気に初登場の人とかいますがそれらは次回で
次回予告
キリア「まったく思いもしなかった。ララちゃんの今の状況。悪UTAUを倒したのはいいけど、なんだかルル君が暴走しちゃったの!戦闘の時から変だとは思ってたけど…。次回「崩壊する心」こういう時こそ正義の味方の出番でしょ!ルル君を必ず戻してみせる!」
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