離れたあなたを想ってしまい
涙を落とす嘘の笑顔
次会えるのはいつになるだろう
それまでの辛抱だとして
指輪に刻まれた愛
それを眺めている哀
あなたといた時間とは
命と同じなの
鳴いたウミネコの声
私には同じに聴こえるよ
今あなたの前に花束を添えるのだ

綴ったあなたへ忘れる前に
好きと嫌いと私のこと
海辺のデッキに映る夕陽を
呑み込むあなたの好きな海
遠く銃撃戦の音
聴きたくもない(のに)
明日にはあなたがいて
なんて叶わないの
鳴いたウミネコの声
私には同じに聴こえるよ
今あなたの前に花束を添えるのだ

去ったウミネコの群れ
戦場のあなたへ翔んでゆけ
愛は強く脆く永遠を紡ぐのだ
咲いたアネモアの花
壊れた今までを繋ぐ種
抱きしめてくれるまでは待っていられるのだ

愛したあなたの声
夢の中でしか聞こえなくて
今あなたの前にアネモアを添えるのだ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ウミネコのアネモア

愛する人を失ってしまった女性の話。生前、海を愛して海辺のデッキに引っ越した矢先、主人は戦争に駆り出された。そのお女性の薬指には指輪だけが残った。
海のデッキ近くのウミネコはいつも女性の近くにいる。女性の話を聴き主人に届けてくれるのではないだろうかと女性は考えたが、どのウミネコも同じ鳴き声だった。これでは女性の気持ちは届かない。
数日後、主人の戦死報告を受けることになった。墓を建てた女性はそこに花束を添えた。
それから、数週間が経てど戦争は終わらない。遠くの銃撃戦の音が聞こえてくる。しかし、近くのウミネコの鳴き声がそれを掻き消してくれるようだった。そんな時、ウミネコがあなたの生まれ変わりだと思い始めた。明日にはあなたがいて女性は主人に抱かれるのだ。という妄想はすべて叶わないと知っている。今日も主人の墓に花束を添えに行くのだった。
そしてとある夕方、ウミネコが一斉にいなくなっていた。銃撃戦の音がすべて聴こえてしまう。女性は願った。ウミネコよ、どうか今まで聴いた私の想いを主人に伝えてほしい、と。ふとデッキの外に目をやるとそこにはアネモアの花が咲いていた。アネモアとは紫色の小さな花。花言葉は「あなたを信じて待つ」。女性は待った。戦死報告があろうと愛する主人のために主人の胸の温もりをもう一度感じたいがために。そしてウミネコの声ではなく主人の声を聞くために。
女性はその日から花束ではなく、アネモアを一輪ずつ添えるのだった。
「あなたを信じて待つ」

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投稿日:2016/06/29 22:40:37

文字数:376文字

カテゴリ:歌詞

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