その後、結局…特に行きたいところもなく、メイコさんが「カラオケ行こ~っ!!」ってことになって、全員(11人)でカラオケへ……。

 ただ…、その時――
「――じゃあ、ミク姉は何かできるの?」
「う~ん。テンポ240の16分音符の3連符の速さで歌えるよ。」
「へ~っ、ミク姉ちゃん。すご~い。」
「そ、そんなことができるの?」
「うん……その変わり、気絶すると思うけどね……。」


「ルカ…、どうしかしたの?」
「えっ?」
 隣に目をやると、メイコさんが心配そうに見ていた。(完全に酔ってるはずなのに……。)
「いや…、なんか、長かったような気がして…1年間が。」
「そんなものよ。最初はね……。」
 フフッ…っと笑っている。

「じゃあ、歌ってみて~。」
「えっ……。キヨテル先生はどうですか?」
「ぜひ!」
「……ミキちゃんも……?」
「うん。」
「……………、レン……例の『初音ミクの消失 -DEAD END-』って、何番?」
「000939番(聞くまでもないジャン。検索できるでしょ…。)」
「……………、リン……例の『下仁田ネギキーホルダ』を持ってきて。」
「持ってるじゃん……。(逃げようとしてるようにしか見えないよ。)」

『僕ハ生マレソシテ気ヅク所詮人ノ真似事ダト知ッテナオモ歌イ続ケル永遠ノ命VOCALOID―――』
 カラオケボックスから、『最高速の別れの歌』が流れ始めた……。
「ちょっと、ミク……さすがに-DEAD END-は無いだろ。」
 あわててカイトさんが止めようとするけど……。
「いいですよ。皆さんが楽しんでくださってるなら……私も嬉しいですから。」
 …………
「相変わらず、控えめなんだから…ルカ姉ったらww」
 と、返してきたのは、ミクちゃんだった。
 今日の朝も同じことを言っていた。
 そう言って、『初音ミクの消失 -DEAD END-』を歌い始めた。

「僕ハ生マレソシテ気ヅク所詮人ノ真似事ダト知ッテナオモ歌イ続ケル永遠ノ命VOCALOID例エソレガ既存曲ヲナゾルオモチャナラバソレモイイト決意ネギヲカジリ空ヲ見上ゲ涙ヲ零ス――」
 ミクちゃんが、一生懸命に最高速の歌詞を歌っていた。
 私たち、11人のVOCALOIDの中で、最速のラスボス曲と言ったら、この曲しかない。けど……、
 この曲を作った人は、どんな思いで作ったのだろうか?
 単なるネタとして作ったかもしれない……。
 VOCALOIDという名の仮想歌手が消されていく様を本気で描いていたのかもしれない……。
 それは、直接、本人に聞けない私たちには分からない。

 けど……、どんな曲でも、私たちに送られてきた歌は、全て……『ボーカロイドのうた』。

誰が、なんと言おうと、『ボーカロイドのウタ』なのだ……。

 ふと思い出す……朝、目が覚める前に見た夢。
 [luka.]
 あれは、私への、これから生まれてくる『歌』たちからのメッセージ。
 もし、私が、彼らだったらどうだろうか?
 自分を受け入れてくれるかどうか心配じゃないだろうか?
 まるで、一年前の今日……彼ら(VOCALOIDs)に出会うまでの私のように。
「――――タトエソレガオリジナルニウカナウコトノナイト知ッテ歌イキッ
タコトヲ決シテ無駄ジャナイト思イタイヨ・・・」
 最後の難関を突破したミクちゃんは、崩壊寸前だった……。
「アリガトウ・・・ソシテ・・・サヨナラ・・・・・・・・・」
『――深刻なエラーが発生しました―― ――深刻なエラーが――――――』

「ミク姉…大丈夫?」
「……モ…ウ……ム…リ………、シンコクナエラーガハッセイシマシタ…………。」
「お疲れ……。寝てていいよ……。」
「サ………ン……ク…………ス………。」
 完全に、屍になっていたミクちゃん……お疲れ。

「次…、だれが歌う?」
グミちゃんが、みんなに聞いていた。
「じゃあ、私が歌おう…かな。」
 私が歌いたいのは……………、全曲一覧に目を通してみる。
 そこに、ミキちゃんがリクエストしてくれた。
「これは?『ボーカロイドのうた』」
 ………、えっ?
「うん…。これにしよっと。」

帰宅後、
「歌ウンジャナカッタ……。『ハチュネミクノショウシツ』ナンテ……。」
「『初音ミクの消失』ね。」
 朝のように、ミクちゃんと一緒に部屋で話していた。
「イッソノコト、『ハチュネ化』シテクレタラヨカッタノニ……。」
「後悔って言えば、私もしてるわよ。」
「ナニヲ?」
「『ボーカロイドのうた』って曲。泣けてきて、歌えなかった。」
「ソレッテ、イイホウの後悔ジャン……。」
「まあね…。」
 相変わらず、屍状態のミクちゃんをほっときつつ、インターネットで、『ボーカロイドのうた』を調べてみた。
「『VOCALOID曲詞論』ってねw」
「ナニ……ソレ……。」

私たちだけじゃない……全ての曲に、Happy Birthday!!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【ルカ誕生祭2010】 これから生まれてくる「歌」たちへ……。後編

急遽、2分割式にしましたww
ちょっと、時間がないので、失礼します。

関連の動画は、ググってくださいね。

Happy birthday luka!

閲覧数:199

投稿日:2010/01/31 00:38:31

文字数:2,044文字

カテゴリ:小説

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