コンコン・・・・
カンカン・・・・
薄暗く、小さな研究室に
ハンマーで金属をたたく音が響き渡る―――
「ふぅ…、今日はここまでか。」
と、清潔感がまるでない、小さく孤独な博士が時計を見る。
「げっ、もう4時か・・朝になっちまったよ。」
博士は、今ロボットの研究中である。
といっても、まだ人形のように動かないが。
「ふぬっ!?」
今、動かないはずのロボットが微かに目を開いた気がした。
「気のせいか。最近寝てないもんな。」
と言い、理屈っぽい博士は汚らしいベットに横になるのであった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
3年後――――
「ついに・・・完成したあああああああ!!!!」
動けて、命令した言葉を喋らせることができる程度の機能を兼ね備えた
「ロボット」は完成したのである。
「やっと。。やっと。。」
孤独な博士も、気持ちがいっぱいになって涙がでる。
その涙が、完成したロボットの頬を伝っていく。
「なんか喋らせてみるか。」
「ハカセ」と、入力した。
「ハクセ、ハクセ・・・ピーーー」
「惜しいな。。俺はハクセじゃなくてハカセだ。」
でも、このロボットは「奇跡」だ。
俺は死んでもこのロボットを忘れないだろう。
見た目は、少し俺に似ている気がする。
「双子」と言ってもバレないだろうな。
でも、、
でも、、
何か足りない気がする。
何か、、
「あ!そうか。」
それは
「ココロ」なんだ。
ロボットがココロを持つことは不可能に決まっている。
だが、人間がココロを持っているなら、いつかはロボットだって
可能なはず。
この不可能だと思われていることを、俺が可能にしてみせるんだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
孤独な科学者は、人生を「ココロ」にそそいだ。
そして、科学者は・・・・・・・
バタッ・・・
「ココロ・・・」と言い残して
薄暗い研究室に倒れた。
「ハクセ、ハクセ、ハクセ・・・ピーーーーーー」
博士に良く似たロボットは、設定より多く「ハクセ」と言った。
そしてなぜか、ロボットの目から水のようなものが出てくる。
「これハ..ナミダ・・?」
そう、ロボットは「ココロ」を手に入れたのだ。
「フシギ ココロ ココロ フシギ」
ロボットは片言しか喋れないが、精一杯の気持ちを言葉に表した。
「これハ、ココロ?」
ロボットは知った。喜ぶことを。
「ヤッタぁー!キモチ・・ココロ」
でも、ロボットは思い出した。
「あぁっ!ハクセがイない・・ピーーーー」
ロボットは博士のもとへ駆け寄って、必死に体をゆすった。
「ハクセ・・ハクセ・・スきだヨ」
「イカナいで・・」
ロボットの手が止まった。
やっと気づいたのである。
「ハクセハ死にマシた・・ピーーーーー」
ピーーーーーーーガシャ・・ブーーーーーーーー
そして・・・
ロボットにも死ぬ時がきた。
「ハクセ・・アリガトウ・・アリガトウ・・」
ロボットは何回も何回も繰り返し言った。
「コノ世にワタシを生んでクレて・・アリガトウ・・アリガトウ・・」
「イッショに過ごせた日々ヲ・・アリガトウ・・アリガトウ・・・・」
ロボットは、「アリガトウ・・」を涙を流しながら言った。
そして・・
「深刻なエラーが発生しました。深刻なエラーが発生しました。」
ココロをもらったロボットは、天使のように永遠の眠りについた。
-END-
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