ミユウ視点
「…」
リユウが、死んだ。
それは、さっき、ノイズ君から通信で皆に報せられた。
「…死んだ…んだね…」
ガクッと、自分の膝が崩れる感覚がした。
「…ミユウっ!」
「…リユウ、リユウ…うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!」
「………」
ないた、これまで無いくらいに泣いた。
それほど、悲しかった。
それほど…虚しさだけが広がってた…。
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ノイズ視点
『ノイズ君、聞こえますか?こちらは一応、悪UTAUは去っていきました。ノイズ君も、いますぐにエンジェルボイスターに戻って来て下さい』
実衣さんからの通信で、俺はやっと意識が戻ってきたかのように思えた。
それほど、さっきの事は忘れられなかった。
リユウの遺体が入ったボイレーシェンを、中に居るリユウが落ちないように閉め、俺のボイレーシェンで運んで行った。
『リユウ…ノイズ君のことが…大好き…"だった"…の…』
大好き"だった"。それがリユウの最後の言葉だった。
前にも、そんな事言われたな…と思うと同時に、俺はどうすればいいのかわからなかった。
俺は、あいつの事をどう思ってたんだ?同年代の割りに精神年齢が低い奴?少し甘えん坊な奴?
分からないな…。
とにかく、今の俺には、これの答えを出せない。
とりあえず、今は帰らなきゃ…そして、兄貴と、ミユウに会って…。
何、するんだろうな…。
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ボイス視点
「あ、ユアさん達…戻ってきてたんですか…」
俺はミユウを何とか寝させた後、もうそろそろ戻ってくるであろうノイズを迎えに行こうとして、ユアさんと鉢合わせした。
「…はい…」
その表情はとても暗く沈んでいた。恐らく、リユウの事を聞いたのであろう。
「…少し、疲れたんなら、休んだ方が…」
「…だいじょうぶです。私はとりあえず、ブリッジに行きますから」
「…わ、分かりました…」
無理をするような笑顔で、ユアさんは去って行った。
俺は、自分が何も出来なかったんだと思った。
自分の大切な弟が傷つく事でさえ、阻止できなかった。
ミユウは、もっと辛いんだろうな…。
心のよりどころにしていた妹が死んだ…となれば…。
俺も、きっとノイズを失ったら、あんな感じになるんだろうな…。
ミユウ、俺は…。
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ユア視点
「…」
「おかえりなさい、ノイズ君。疲れましたよね?ゆっくり、部屋で休んで来て下さい」
私達がエンジェルボイスターに帰って暫くして、リユウの遺体を乗せたボーレイシェンごと、ノイズ君が自身のボーレイシェンにのって帰ってきました。
「……のに…」
「…どうしたんですか?」
ノイズ君の様子がおかしかったので、私は、ノイズ君にゆっくり話しかけました。
「俺は、リユウを守れなかったのにっ、ゆっくり休んでる暇なんかねぇよっ!俺は…俺は…っ!」
「……ボイス君が来たみたいなので…私は、ブリッジに戻りますね」
そう言い残して、私はブリッジへ向かいました。
今回の事で、皆はセリさんの時以来の…喪失感を、味わっているのでしょう…。
あの時、私がもっと早く動けていたら…リユウを喪わずにすんだのに…。
ごめんなさい、ごめんなさい…。
続く
歌姫戦士ボカロボット第43話
今回は会話のみです。
次回予告
ボイス「時は、傷ついたものがいても、無情に廻っていく。ミユウも、ノイズも…そして、俺も…それでも、俺達は居なくなったララのてがかりを探す為に、エンジェルボイスターで悪UTAUの本拠地を探すだけだった…次回「精神崩壊」ミユウ、お前だけで…背負わなくて、いいんだぞ…」
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