「コレはもしかして…あたしとミクちゃんが魔術師になったから『ボクと契約して、魔法少女になってよぉ〜』って白いヤツが今からでてくるんじゃない?」

「ええっ!? わけがわからないよ」

「いいっ、ミクちゃん。そいつがきて契約してって言ってきても無視するのよ」

「うん、そうするね」

「やめろ2人ともっ! 悪ノリがすぎるっ!」

「でも、ほんとうにどうしたんだろう?。お守りを持っているのは、あたしたちだけじゃないってこと?」

「それは本当にわからないよ…ただ、ジークレフから聞こえる音が悲しそう……」

「たしかに、僕たちが揃ったときとは違う旋律だね。なにか訳があるはずだよ」

「……それもそうね。まっ、いまはダンジョン攻略に集中しなきゃ」

「このダンジョンに…答えがあるかもしれないね」

 静寂を帯びた輝きを放つジークレフを手に添えたミクは目の前に建ち塞がるダンジョン、ブルーローズ・レジデンスの全体像を眺めていた。さらにこのダンジョン全体からは、庭に咲く青薔薇が放つマスカットのように瑞々しい豊潤な香りが漂っている。

 そして…このダンジョンの主は、二階の窓辺から侵入者たちのことを見ていた。

「…………」

 ダンジョンの主は青い薔薇を右手の親指と人さし指に挟んで持っており、自分の敷地内で探索を始める者たちをこう評する。

「今宵、ぼくを狩りにきたハンターたちは…未成年なのか……。嗚呼っ…なんという悲しい夜曲《セレナーデ》」

 ダンジョンの主は自身の碧眼から涙を流し、頬を静かに濡らしていた。

「混血の身に生まれし運命《さだめ》は、ついに我が身を悲劇的序曲へと進ませる。こんな罪なぼくを…どうか赦しておくれ……」

 このダンジョンの最奥地に潜むマモノは、これから対峙する若者たちのことを思慮しているようだ。
 ダンジョンの最奥地で旅人を案ずるマモノが居るが、反対にこれからマモノを退治しに行く側は……?。

「このお花さん、いい香りだね♪」

「ブルーローズ・レジデンスって名のとおり、バラの花が多いわね」

「うんうん。ちゃんと花壇も手入れされてるから、お花さんたちもハッピーって喜んでるよ」

「あの〜っ、いつになったら中を探索するんスか?」

「レン、あんたこのバラの良さがわからないわけ?」

「うん、わかんない。だってただの青い薔薇じゃん」

「あのね、レディってのは男の子に比べて花の見えかたが違うの。このダンジョンに生えてるバラ、かなりスゴいわよ」

「ごめん…マジでなにがどうスゴいか僕、わかんない」

 豆知識ではあるがゲンジツセカイの話。花と云う植物の観賞は、女性のほうが感性が高いようである。色の見え方と花から連想できる詞の綴りかたも、男性より女性のほうが表現豊かだ。

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花をみても『咲いてるなぁ』くらいしか浮かばないぜ!

次話
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投稿日:2020/01/23 18:24:25

文字数:1,160文字

カテゴリ:小説

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