「てやんでぇ!待ちな!そこのお譲ちゃん」
時刻はお昼時。今日は待ちに待った休日。
自炊生活の私は自宅のマンションから近くの商店街へ昼食の食材の買出しに出掛けていた。
ついでに、夕食の材料も買おうと献立を考えながら商店街までの道のりを歩いている最中、突如背後で大声が上がったのだ。
その声に驚き背後を振り向くと、
そこには全身ピンク色のウサギがいた。
「・・・・・・・」
私は声を失った。
だって、ピンクと言ってもちょっと濃い目のピンク。それに真っ赤な目。
か、かわいい・・・のか?
その感想を置いても珍しい。でも何かキナ臭い・・・。
「ふぅ、ま、いっか」
もし他人ならその生物に近寄り、嫌がる相手を持ち上げて撫で回したり頬ずりしたりするのだろうけど、賢明な私は何も無かったかのようにその場を立ち去ろうとした。
「ちょい待てぃと言ってんだろ譲ちゃん?!!」
ここで声の聞こえない読者の皆様に解説すると、先ほどからどこかのご令嬢を留めようと聞こえる声は、
まるでゴル○13のような野太く渋い声
だから考えたくない。ふと頭の片隅に現れた可能性。
でも常識的に考えて、そんなの万に一つも有り得ない。
ただの自分の妄想・・・。
「ちょい!聞こえてないのかぃ?!」
そう自分の妄想に過ぎない・・・。
「待ってくれよぃ!」
妄想に・・・。
ついつい速度の上がる私の早足。
でも最初声が聞こえた地点から大分離れたハズなのに、背後から聞こえる声は一向に無くならない。
どこかの家庭がテレビ音量MAXに設定しててドラマの台詞が聞こえてきていただけじゃないのか~~~?!
心の中で、現実を直視したくない、思い込みたい自分のこじ付けを叫ぶ。
そう本当は勘付いてる。
最初から心に引っ掛かってる一つの事象。
先ほど遭遇した・・・ヤツ!!
「待てっつってんだろ!?人が優しく話しかければ付け上がりやがって!そも最近の若いブツブツ」
なんか背後ではヤツがキレかけて大声でブツブツ小言を言い始めた。
覚悟を決めるしかない!
「ブツブツ・・・・・おっ?やっと観念したかぃ?」
私が立ち止まると、背後から微かに聞こえていた足音も止んだ。
「ほら、さっさと振り向け。お天とさんも悲しんでるぞ?」
ワケが分からない。お天とさんって何だ?いや、それが何なのかは分かってるけど、なぜそんな話が今出てくるのかということで・・・
背後にヤツを待たせブツブツ独り言を言う私。客観的に見たら凄い構図だろう。
私が現在歩行している道路は一軒家が並ぶ住宅街の車一台が通れるくらいの道路。
人通りが少ないのが幸いした。こんな光景を他人に目撃されなくて良かった・・・。
でもブツブツ言うのは仕方ない。精神安定のために。
「ええぃっ!!」
思い切って背後を振り向く。
当然、予想通りか確かめるために足元の道路を見るように。
そして私の不安通り背後にはヤツがいた。
全身ピンク色のウサギ
「な、なんでぇ、いきなり振り返りやがって!驚かすんじゃねぇや!」
ウサギのくせに驚いたリアクションをしている・・・。
「い~~~~やぁ~~~~~~~~~~!!!」
私は頭を抱え込んでその場に座り込んだ。
「ど、どうしたぃ、譲ちゃん!!?」
「小動物のアイドル、老若男女を虜にする存在がゴルゴ○3なんてイヤ~~~~!!」
「へっ??」
「ちょっと濃いピンクも赤目もまだ我慢できるけど、その声はダメ~~~!!
ていうか何で江戸風??」
「そこかぃ!!拒絶ポイントそこ!?」
ウサギから突っ込まれる。私の人生初の経験だった。
【魔女っ子】レイニー=ミラクル=マジカル=ミクリン《第0.2話》『始まりは突然すぎる勧誘で?!』
本当は一つにまとめたかったのですが、字数制限の関係で前後編です。
そんなものがあったなんて・・・。
考えてみれば当然なのですが。
天啓が降りました。
ある動画で、傘を差したミクさんが後ろにピンク色の兎を連れているシーンを見て「これだぁっ!」ということに。
後は読んで頂いた通りです・・・。
ちなみにその動画のうp主の方とは全く全然これっぽっちも関係御座いませんので深読みしないでください。
何か怒られそうな内容でごめんなさい。
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