「めぐは、めぐは楽さまのおそばにいられるだけで幸せなのです」
ふわりとした笑みを浮かべながらその女はやわらかな声で言った。幸せ、そんなもの家の為に生き死んでゆく俺には縁のない言葉だ。なのにこの女は俺のそばにいるだけでそれを感じるのだという。あまりの馬鹿馬鹿しさに吐き捨ててやろうとも思ったが手の甲に触れた温かなものに言葉が詰まった。慈しむように優しく包まれた手に視線を落とせば女は一歩こちらへ踏み出し、穏やかな笑みをたたえたまま口を開く。
「楽さまのお心は、春が訪れていないのかとても冷とうございます。だからめぐは、楽さまをあたためることのできる春になりたいと思うのです」
喉まで出掛けていた言葉は思いに耽るように瞳を閉じた女の儚さや美しさに掻き消えていった。それと同時に感じたことのない気持ちが胸を占め、そのむず痒さから小さな手を振りほどく。この女を、めぐを見ているとすべてを見透かされている気がしてならないのだ。
「……馬鹿馬鹿しい」
そう吐き出した言葉はめぐに対してか、それとも己自身にか。どちらにせよ馬鹿馬鹿しいことには変わりないと、ざわめく心を押さえ込むように桜の舞う道を歩んだ。背後から聞こえてくる小さな足音の心地好さには、まだ気付かぬ振りをしながら。
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【サビ】
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この目に映ってる君に
また僕を重ねてる
誰でもできそうだなって
君を見上げて僕は言うんだ
この手に触れてる君を
また僕は引っ張った
待って待って僕を
また置いていくのかい...【GUMI】嫉妬心【オリジナルPV】
Luna
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