ユア視点
「ララとキョウちゃんの居場所は…まだわからないのですか?」
私は、実衣さんに尋ねてみました。ですが、実衣さんは、首を横に振って、こう言いました。
「いえ、まだ…。レーダーにも、何か反応してません。恐らく…レーダーの圏外だと思います」
ミクの消失に、ララとキョウちゃんの失踪。その二つが、今のボーカロイド隊を暗くさせる原因だった。
今、エンジェルボイスターのブリッジにいるのは、私と、実衣さんと、お母様のみです。
他の人達は自分の部屋で休息をとったり、自分の気持ちを落ち着かせるので精一杯の人も居ます。
特に…クオやルルには、とても苦しい状況でしょう。
それだけではありません。ミクと親しかった人や、ララやキョウちゃんと親しかった人…たとえば、リンやキリアちゃん、マイちゃん達にとっても、これはとても苦しいんだと思います。
ミクに至っては…下手すると、もう会えないかもしれないんですから。
「…そうですか、とりあえず、ここがまだ地球からそう遠くない場所だとわかったのが、まだ良いんですよね。ですが…こうしている間にも、悪UTAUが何かを企んでいる…そう考えるとゆっくりしている暇はないのですね」
私の言葉に、実衣さんは頷いて、そして、私に言いました。
「ユアさんも、ゆっくり休んだらどうですか?」
「え…?」
実衣さんの突然の言葉に、私は驚愕していました。
私は、ボーカロイド隊を纏める存在なのに…休んで良いのか…。
「ユアさん、先程から顔色がよくないですよ。ミリさ~ん!」
実衣さんは、お母様を呼んできた。
「実衣さん、だからいいですって…」
「ユア。無理は禁物。少し休んできたらどう?ユアも…ミクやララを失って、相当辛いでしょう?」
お母様は、いつも何かをみとおしている気がします。
「…ですが…」
「たまには、休む事も覚えなさい。この場は、私がなんとかするから…」
「はい…」
私も、疲れているのでしょうか?
マイ視点
「あれ?誰も…居ないね」
訓練室についた私達だけど…まだ訓練室には誰も居なくて、私とサウは立ち尽くしていた。
「そうか、じゃあ俺はかえr「あ、誰か居た!」居たのかよ…」
誰も居ないと思ったら向こうの方に誰か居るじゃん!私はそう思ってその人影の所へ行った。
でも、其処に居たのは…。
「鏡音!?」
「へ!?」
亜種と正規は会う事はない筈なのに、何でここに正規が!?
私は咄嗟に目の前に居る人物を蹴ろうとして、サウが私を止める。
「マイ。待て…こいつは、鏡音じゃない」
え、鏡音じゃない?私は、その人物をよく見てみる。確かに…よく似てるけれども、鏡音ではない…。
「ふーっ…危機一髪…」
「だ、だから僕達は部屋から出ないのが一番だってルン達に言われてるんじゃないか…」
ルン達?この二人はルンちゃんの知り合いなのかも。
「ねえ、君達。誰?見た事ないけど…」
私は、目の前に居る亜種に問いかける。
「あ、うん。あたしの名前は…なんていえばいいのかなあ…」
片方の女の子はそう答えた。
「え?」
もしかしてこの子達…亜種としての名前がないの?
そういえば、この二人…私や他の亜種と比べて正規の部分が多い…。私が鏡音と間違えたのも、それのせいだと思う。
「僕達は…ルンやララ達と一緒に生まれた亜種で。バグのかかりどころが悪かったのか、よかったのか…最も正規に近い亜種になってしまったんだよ。厳密に言うと…亜種でも正規でもない、中途半端な存在。だから、君達が鏡音と間違えるのもわからなくもないよ。それで、前も別の亜種に鏡音と間違えられたしね」
片方の男の子はそう言った。
最も正規に近い亜種…そんなもの、居るんだ…。
「ララちゃん…」
この子達は、ララちゃんと一緒に生まれた亜種…。ならば、この子達からララちゃんの事を聞くいいチャンスかもと思った。
そういえば、ララちゃんはなんだかまだわからない部分が多い。だからこそ、幼馴染(?)であるこの子達に聞くのが一番だと思った。
「ねえ、そういえば、ララちゃんって何か色々分からない所あるけれど、一緒に居る時どう思ってたの?」
私は二人に聞いた。二人は、笑顔で答えていた。とても楽しそうだった。
「うん、ララちゃんと居ると、とっても楽しくって!あたし、ララちゃんの事が大好きなんだ!ララちゃんは、とても優しいの!でも、それに比べて、アクアってあんまりやさしくないし、なんだか素直じゃないんだよね~」
「そうそう!アクアとララって正反対だよね、でも、ララが言ってたとおり、アクアもララの一部で、反転した存在なんだよね」
「ちょっとまって…アクアって…誰?」
私は、二人の会話の中で、聞いた事もない名前に戸惑っていた。アクア?
「ああ、ごめんごめん。アクアの事はわからなかった?まあ…ララちゃんの、もうひとつの人格…かな?」
もうひとつの…。
「ああ!」
私には、思い当たる節があった。サウが操られた時、私を助けてくれたララちゃんじゃないララちゃんが…。
「お前、そいつの事知ってるのか?」
私も存在を忘れかけていたサウが私に問いかける。
「うん、サウが操られてた時、私を助けてくれたの」
「そうそう…ってええ!?」
女の子は私の言葉に驚いた様子だった。
「…アクアが…誰かを助ける?」
「ありえないありえない」
二人してそう言っていた。そのアクア君が誰かを助けるなんてありえないんだ…。
ユア視点
「はあ…」
私は、とりあえず自分の部屋に戻って休養をとっていた。でも、ミクやララ、キョウちゃんの事が頭の中をグルグルと回って、それどころじゃなかった。
「お姉さま。あまり無理してはだめですよ…」
ミアが私に言った。確かに…最近無理をしていたのかもしれません…。
「はあ…後は、ルピアにでも、任せましょうか」
そう言って、私は寝ました・
リン視点
「クオ兄…それ本当なの?」
私は、クオ兄からの話に驚愕していた。だって、ミク姉の消失の手がかりになるものが見つかったんだから。
「ああ、ミクのボカロボットのコックピットに、ミクの…」
クオ兄は、一言置いてからそう言った。
「ミクの、コアがあったんだからな」
続く
歌姫戦士ボカロボット第27話後半
ミクさんの機体自体は消えてなかったのですが、その中にミクの体はなく、ミクのコア…心臓のようなものがあったという事です。
次回予告
キョウ「ララちゃんと一緒に飛ばされた場所…それは、ユアさんの故郷であるエンジェ星だった。私達は、そこで、ユアさんと、悪UTAUの事実を知る。でも、ララちゃんの様子がおかしくて…。次回「故郷の星」アクア君…これは一体どういう事なの?」
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