空は、どこまでも澄んでいる。目の下に広がる、森の緑が鮮やかだ。
テトさんは、背中に生えた小さな黒い羽根を羽ばたかせながら、スイスイと飛んでいた。
「ふぅー、秋の空は気持ちいいなぁ」
そうつぶやいて、ふと、遠くの高い木に目をやると、木のてっぺんに美しい鳥がとまっている。
きれいな声で、歌を唄っているその顔は、長い髪をなびかせた、りりィさんだ。
「わあ、天女様みたい」
小さな悪魔のテトさんは、りりィさんを見て、飛びながらそう思った。
「もっと、高いところに飛んで行こう」
そう思って、テトさんは前を向いた。、
すると、はるか遠くの高い空に、小さな天使が飛んでいるのが見えた。
「あ、あれは、メグさんだ!」
ゆっくりと白い羽根を羽ばたかせて、優雅に飛んでいるのは、天使のメグさんだった。
●羽根がツッちゃった!
テトさんは、いたずら心をおこして、背中の黒い羽根に力をいれた。
「ようし、いっちょ、メグさんを追いかけて、おどかしてやろう」
スピードを上げて飛ぼうとしたそのとき、耳元で誰かの声がした。
「テトさん、テトさん!」
声にふり向くと、すぐそばを、1人の天使の男の子が飛んでいる。それは、レンくんだった。
「あれ、レンくんじゃない。どしたの?天使のくせに、こんな低いところを飛んで」
テトさんは、目を丸くして言った。
「うん、ちょっと、ちょっと、ほら、アレ!」
レンくんは、なにかあわてた様子で、横の方を指さす。
白い羽根をちぢこませながら、もがいてゆっくりと落ちていく、男の天使がいた。
「あれは? カイさんじゃないの?」
●助けてー、テトさん!
「あれー、どうしたのかなー、あれー」
叫びながら、カイくんは、ゆっくりと落ちていく。
「テトさん!助けてあげて!」
レンくんに言われるまでもなく、テトさんは急いで、落ちかけているカイくんの方へ飛んでいった。
「あれ!?」
と、急に足が重くなって、テトさんはバランスを崩してしまった。
あせって、下を向くと、いつのまに来たのか、カイくんがテトさんの足をつかんでいる。
「羽根が、つっちゃったんだ。助けてー、テトさん」
そういうと、彼は足をつかんだまま、にっこりと笑った。
「あれーーーー」
叫びながら、2人は地面の方に落ちていく...
「テトさん、テトさん!」
耳元で大きな声がして、彼女はハッと気がついた。
自分のお店の「雑貨店つんでれ」のカウンターに突っ伏して、テトさんはつい、ウトウトとしていたのだ。
顔を上げると、そこには、レンくんとカイくんが立っていた。
「あ、起きた起きた」
カイくんが言って、“にっこり”と笑った。
●イメージが浮かんだ...!
店のカウンターの中にすわって、テトさんは、
新しく作る“ドール”のことを考えながら、寝てしまったようだ。
「ぼくたち、ちょっと雑貨を見に来たんですけど」
レンくんが、心配顔で言う。
「大丈夫ですか?なんか、うなされてましたよ」
「ありがと。ゴメンなさい、寝ちゃったみたい」
「いえいえ、たまには、失敗もありますよ」
カイくんはそういって笑った。
その顔は、さっきテトさんが夢の中で見た、天使の笑顔そのままだった。
「...そうだ!」
彼のその顔を見ながら、テトさんの頭に、あるイメージが浮かんだ。
「ダメな天使に悩まされる、良い悪魔。これで行こう!」
彼女の思いを知らない、カイくんは、あいかわらずニコニコと笑っていた。(^_^)
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