雪が降る寒い夜でした。
あの一言がなければ事件は起きなかったでしょう、とマスターは言ってました…。
ある日、異変は起きた。
「ノアちゃん起きて~」
いつものようにシキはノアの布団を剥ぐ。
「え…!?」
いつもと同じ朝。
でも目の前の光景は違う。
「ん~…」
目を擦るのはノアに良く似た少年だった。
「…誰?」
シキはつい、顔を近付けてしまった。
凄く顔の整った美少年。
「そんなに近くにいたらキスしちゃうよ?」
「っ!?」
シキは耳元で囁かれ、素早く離れた。
「おはよう、シキちゃん」
少年はいたずらっぽく笑う。
きっと寝たフリだったのだろう。
「おは…よう」
これが事件の始まりだ。
マスターに聞くと、彼はノブと言うらしく、なんでも欲のせいで男の子になっちゃったとか…。
理由は鈍感なシキには分からなかったらしい。
「シキちゃんは食べちゃいたいくらい可愛いね」
「え?…もぅ、お世辞言ったって何も出ないよ~」
シキはハハハと笑う。
ノブは無防備にくつろぐシキを見て妖しく笑った。
「食べちゃおっかな~」
「えっ」
シキは顔を上げた瞬間、ノブの顔が近くにあった。
少しでも動けば唇がぶつかってしまいそうだ。
「ノブ…君?」
「何?」
ノブは色っぽく笑う。
本当に年下なのか疑いたくなるくらい大人びた顔つきだ。
「僕…そろそろ寝なきゃ…」
シキはノブの体を押し退けようとする。
「…どうせシンの所に行くんでしょ」
「ちょ!!?」
ノブは無表情でシキを押し倒す。
「何言ってるの?」
「俺知ってるよ?決まった時間に行ってるの」
ノブはシキの長く美しい少しウェーブがかかった紫色の髪の毛を掬い、キスをする。
「何してたか…気になるなぁ」
「何もないよ?それに夜は自室で歌の練習してるし…」
シキはノブに視線を向けない。
そんなシキを見たノブはシキの鎖骨を突っつく。
「じゃあ…これ何だろう?」
ノブはニコリと笑う。
シキはゾクリと背筋が凍った。
「…シンなんかにシキちゃんは渡さないよ」
「…」
「シンより先に食べちゃうから」
「んっ」
ノブが笑った瞬間白くて甘いフワフワした何かがかけられる。
「生クリーム…?」
「そう。生クリーム」
ノブは自分の指についた生クリームを舐める。
そんな姿さえ色っぽく見えてしまう。
「シキちゃんはきっと生クリームと相性が良いと思うんだ~♪」
「わっ」
ノブはひょいとシキを持ち上げ膝の上に座らせる。
「少しでも騒いだら本当に食べちゃうから」
「え、ちょっひゃあ」
ノブはシキにかけた生クリームを舐め始めた。
(え、俺空気?)
シンは実は一部始終を見ちゃいました。
いっさい気付かれる事なく。
「シキは俺の嫁」
「は?何言っちゃってんの。俺の嫁に決まってるデショ」「うるっさい!喧嘩するなら外でやれ」
「「ぶっ」」
二人はマスターに顔面を殴られたとか殴られてないとか…。
「マスターが一番煩いよ」
「確かに」
「シオ…いい加減にしないとぶっ飛ばすよ」
「あらヤダ怖いわグフ」
シオ(シキの性転換した子。シキのお兄ちゃん的存在になりたいらしい)は腹に蹴りを入れられ倒れる。
「マスター葡萄食べたい」
「はいはい」
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