夜明けの空は紅く焼け
血潮の色に染まっている
燃える大空に羽伸べて
鋼鉄の鳥(アイアン・バード)が飛んでゆく
昔 父や兄たちが
あの鳥に乗って飛び立った
今は 夫や息子たちが
あちこちの村から飛び立っていく
どこへ行くのか
何のためなのか
何かを背負い
何かを壊す
轟音だけを挨拶に残し
互いの翼を燃やしにゆく
明日 再び街に火は降り注ぎ
数え切れない命が焼かれて死ぬでしょう
異国の地にも 私たちと同じに
帰りを待つ妻や子がいるというのに
冷えた朝の風に翻る
鮮やかな旗の群れの波
国の威信を羽に乗せ
鋼鉄の鳥(アイアン・バード)が飛んでゆく
昔 いくつもの鳥たちが
遠くの空で死にました
無邪気に銀翼を指差して
子供たちは笑って見送っている
いつか帰るのか
行ってしまうのか
誰かを乗せて
誰かを殺す
鉄よりも重い命を乗せて
何処の空を飛ぼうというの
明日再び翼は焼け落ちて
数え切れない人が二度と帰らぬでしょう
全ての国に 全ての乗り手に
帰りを待つ誰かがいるというのに
働き手のない妻や子は寒さにふるえ
愚かな戦いは今日も果てもせず
明けはじめた空に白い雲を残し
鋼鉄の鳥(アイアン・バード)が飛んでゆく
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