初恋メロディー 双子蜜柑 そのよん



夜の道を2人で並んで歩く。

家の近くのコンビニの前を通りかかった時に、

「ねぇ~レン~、アイス食べていい~?一緒に食べよ」

いつもみたいにレンにねだってみるが…

「ダメですっ!」

怒られた…

しかも、割と強めだし…

「え~なんでよ~」

諦めずにレンに聞いてみると

「なんで?リンさんは馬鹿ですか?さっきクレープ食べたでしょ?

今ここでアイス食べると晩ご飯が食べれなくなっちゃうでしょ?

分かりませんか?分かりますよね!?」

一気にまくし立てられた…

けど私は諦めないよ!!

「分かるけどさ~いいじゃ~ん、ねぇお願い~レン~」

「ダメだっつーのっ!!

明日かせめてご飯食べてからにしなさいっ!!

今はダメっ!!」

むぅ~

「いいじゃ~ん、ちっちゃいヤツにするからさ~」

「ダーメッ!!」

「今じゃなきゃダメなんだよ~お願い~レーン」

「は?何?今アイスを食べる理由があるの?何でよ?

どう考えても今アイス食べる理由なんてないでしょ?

悪いけど俺にはさっぱり思いつきませんですよ。教えてくださいよ。」

そりゃ普通は思いつかんわ…

でもね…

「…うん…さっき……クレープをレン…一口も食べなかったでしょ?」

「っ!…それは…晩ご飯が食べれなくなるからで…」

レンがしどろもどろで答える

まさか私がショッピングモールのことを出すとは思ってなかったみたいだ

「それでも一口は食べれるじゃん?」

「………あぁ、え~と…」

レンがかなり困った反応をする

レンのことを上目で見ながら、

「…………」

何も言わないでいると

「…つまり…どーしろと?」

分かってるくせに…

「一緒にアイス食べておいしいねって言いたい…」

「それは…晩ご飯でも…」

じと~

「むぅ~」

「うぅ……そ、そんな目で見るなよ…」

「むぅ~1人で黙々とクレープ食べても…楽しくなかった…」

「うぅ……そ、それは、だって…」

「むぅ~それぞれのを交換はできなくても…おいしいねって言いたかった…」

「ううぅ……だ、だ、だってさ~」

「私が悪かったけど、あそこまで避けなくていいじゃん…

私は結構、ショッピングモール2人で回るの楽しみだったんだよ?

2人で帰るの一週間ぶりじゃん?だから色々考えてたのに…」

「うぅぅぅ…だっ…それ…は…」

「むぅ~メグミのクッキーは一緒に食べて、おいしいねって言ったのに…

私とはクレープもアイスも食べてくれない…」

「んがっ!!」

レンが奇声を発した

「………」

「………」

「………」

「………」

「…一緒にアイス食べて…」

「………ちっちゃいヤツね…」

やった!

「ほらっ!入ろ入ろ!」

そう言ってレンをコンビニに引っ張ってゆく



アイス売り場に行き

「どれにする~レン?」

「ちっちゃいヤツでしょ?」

「だから、どれにする?って言ってんじゃん」

「えっ?俺が選ぶの?何で?リンが食べたいのでいいじゃん。」

「クレープは私が好きなのだったでしょ?だから、アイスはレンが好きなの」

「えぇ~いいよ~、リンが好きなの食べれば?」

私は食い下がらず、

「レンが好きなの食べたい…」

と言うと

「…じゃあ、それ」

「それってどれ?」

「だからそれ」

「それじゃ分かんないよ…」

「そ~れっ」

顎でアイスを指すが

「顎で指されても分かんないって…」

アイス全体を指してる様にしか見えない

「しょうがないじゃん、左手は手ぇ繋いでるし、右手はボールだし…」

「じゃあボール頂戴、それで選べるじゃん」

「ん」

ボールを受け取ると

「これ」

レンが取ったのは2つに分けて食べれるパピ○で、

「うん…私もこれ好き…」

私が一番好きなアイス

「…じゃあ買うよ?」

「ん?レンが買ってくれるの?私が買うよ?」

「いいよ俺が買う」

レジに行き

ピッ

「126円になりま~す」

店員さんが代金を言うと尻ポケットから財布を出し、

「リンお金取って」

とレンが言うので、左手のボールをレジに置いて

「はい、126円」

と、ボールの上にお金を置いた

「ありがとうございました~」

レンはアイスを受け取り私はボールを持ち、コンビニから出て行った


コンビニの前で、

「家じゃ食べられないからここで食うか…」

「ん~」

私はボールの上に座り

「ほい、アイス」

レンからアイスを受け取った

「ありがと」

ちゅ~

ちゅ~

ちゅ~

ちゅ~

「おいしいね、レン」

レンを見上げながらそう言うと

「そだね、おいしい」

やっとおいしいって言い合えることができた

ちゅ~

ちゅ~

「おいしいね」

「うんおいしい」

食べ終わるまで何回もおいしいと言い合った





食べ終わったアイスを捨てて家に帰り

「ただいま~」

「お母さーん、ただいまー、帰ったよー」

私達が帰ってきたことを知らせると

「おかえり~、もう晩ご飯だから1分で着替えてきて~」

台所からお母さんの声が返ってきた

靴を脱ぎながら

「は~い」

「早くね?1分て…」

「レン行こっ」

「あっ、スルーですか…」

レンにボールを渡し2階に行き、それぞれの部屋で着替えてリビングに行くと

「遅い!1分30秒よ、もっと早く着替えなさい」

「ごめんなさいお母さん」

私はペコッと謝る

「30秒ぐらい別にいいじゃん…」

「さっ、食べなさい。今日はお父さんが一番好きなトンカツです。」

「わ~いトンカツ~」

「またスルーされた…

てゆーか父さん帰ってないよ?父さんいないのに何でトンカツ作ったの?」

「いただきま~す」

イスに座り手を合わせる

「召し上がれ~」

お母さんが笑顔で言う

「何でリンも母さんも俺をスルーするの?だから父さんは?」

「なぁにレン?お父さんは今日残業で晩ご飯いらないって」

「じゃあ何で作ったの?えっ?何?父さんに対しての嫌がらせ?」

「何言ってるのレン?お母さんはお父さん大好きよ。早く食べなさい。」

「あれ?おかしいの俺の方なの?さっぱり分かんないんだけど?」

ぶつぶつ言いながら私の向かいにレンが座る

茶碗とお箸を持って

「いただきます?」

「レン、疑問符をつけたからもう一回言い直しなさい。」

「変なトコ細かいよね、母さんって…」

「はいもう一回」

「じゃあ…いただきます…」

「じゃあと三点リーダをつけたからもう一回言い直しなさい。」

「細かっ!!   いただきます。」

「ちゃんと手を合わせてから言いなさいレン。はいもう一回」

「初めに言ってよっ!!   いただきます。」

「はい召し上がれ~」



晩ご飯を食べながら今日あったことをお母さんに色々と話すと、

「そっか~リンもレンも仲良くバスケしてきたのね~

じゃあ今度みんなでバスケットしよっか?」

とお母さんが言うと

「え?母さんそっち?そこは俺に対して、

リンを泣かせるな!って怒るとこじゃないの?」

「でも何でレンはバスケができてリンは運痴なの?

双子なのにリンは運動ダメね~、レンの身体能力の半分貰いなさいよ。」

お母さん、それは禁句だよ…

「だから何でさっきから俺をスルーするの母さん?

つーか食事中に運痴って言わないでよ。発音はあれと同じなんだから…」

「レンっ!食事中に三点リーダを使っちゃダメでしょ!

昔から言ってるでしょっ!」

「知らねーしっ!初めてだよそんな注意受けたの!!」


これがいつもの我が家の食事風景で、レンとお母さんのやり取りだ。


ご飯を食べてから20分ぐらい経った頃…

私は…

「レン…」

「何だよリン?

つーか今、リンが三点リーダ使ったよ母さん。」

「何言ってんのレン?三点リーダが何だって?」

「…もうやだこの母さん…」

「まぁ~お母さんに対してなんて言い草なのかしら?

昔は「将来はママと結婚する~」ってかなりウザかったのに…」

「んなこと言ってねーしっ!!

つーか言ってたとしても何?ウザいって!?

可愛いと思わないの!?息子だよ俺っ!?」

レンがお母さんにつっこんでいると、お母さんの携帯から

チッ!!アイツから電話だよ~

チッ!!アイツから電話だよ~

チッ!!アイツから電話だよ~

とゆう着ボイスが流れてきて

「あら?お父さんから電話がかかってきたわ?何かしら?」

とお母さんが立ち上がる

「何その着ボイス!?え?父さんのこと嫌いなの母さん!?」

レンのつっこみをスルーして台所に置いてある携帯を取りに行って、

「もしも~し、今お父さんが一番好きなトンカツをみんなで食べてまーす、

な~に~?」

と、満面の笑顔で電話に出た

「ひでぇ……わざわざ言うか?父さん落ち込むぞ…」

お母さんは電話に向かって

「え?残業が無くなって今から帰る?

え?本当っ?

トンカツを食べたい?大丈夫っ、お父さんの分もちゃんとあるわよ。

うんホントホント、

早く帰ってきて、うん、

うん。

私も好きだよ、パパ。」

と言って電話を切った

「さ~て、パパの分作るかっ!」

お母さんはそう言って、冷蔵庫からあとは揚げるだけの肉を出して、

「ふふーふーん、ふーん…」

鼻歌を歌いながら揚げる準備し、キャベツを切り始めた

私達はそんなお母さんを見ながら

「パパってお母さんが言ってる…」

「あぁ…かなり…嬉しいみたいだ…」

お母さん達は私達の前では普段、お父さん、お母さんと呼び合っているが、

気を抜いてる時や私達がいないと、パパ、ママと呼び合ってイチャつく、

「お父さん帰ってくるんだ?良かったね、お母さん」

「うん、嬉しい、良かったぁ」

私の言葉に子供のように笑う

「……お母さん嬉しそうだね…」

「…肉2枚揚げてるし……父さんそんなに食えないでしょ…」

「何言ってんのレン?あれはお父さんとお母さんの分でしょーよ」

「母さんまた食うのっ!?よく食べるね~」

「うん?なんか変なの?」

「…い、いいや…」

「レン、変なの」

「あれ?やっぱりおかしいの俺の方なの?」

「そうだよ~」

「否定されなかった……

それで?さっき何言いかけてたの?」

!!

そうだったそうだった、

お父さんからの電話で忘れてた

「あのねレン…」

「うん、何?」

「あの~」

「はよ言いなさい。ごちそうさまでした」

レンは手を合わせてごちそうさまをする

「え~っと…」

「何よ?」

言い辛いなぁ…

「……もう食べれないから私のトンカツ食べて…」

「……………うん?」

「うん、トンカツあげるっ」

「いや、もういらないし…」

「レンも好きでしょ?はいあ~ん」

強引にトンカツをレンの口に持っていくが、

「いらねーってっ!!

だから言ったじゃんっ!晩メシ食えなくなるからクレープ達やめろって!

それでもリンは食ったでしょ!?じゃあ自分で食べなさいよっ!!」

私の手を掴んで、トンカツを私の口に向ける

「入んないの~~、レン食べて~~、お願い~~」

自分の手を空いた手で押さえて空中でトンカツを止める

「リンはいい子だね~、ほらあ~ん」

「無理ぃ~~、お腹いっぱいぃ~~、苦しいぃ~~」

「はい、口開けようね~」

「ん~~、ん~~、むぅ~~~」

「もぐもぐごっくんだよ~」

「何でレンは食べれんのよ~~、無ぅ~~理ぃ~~」

「お前がクレープ食べるとき「平気平気」って言ったんだろっ!

それに俺も結構苦しいのっ!!でもリンは食べなきゃダメでしょっ!!」

「お願いレン!!一生のお願いだからさ~~」

「もう500回は聞いたよ!!何回一生あるんだよっ!?」

トンカツ空中戦は終わらない

「何でも言うこと聞くから!!お願いっ!!」

「そう言って聞いたこと殆ど無いじゃん!!信用できるかっ!!」

「今日はマジマジマジ!!だからお願いっ!!」

「嘘だねっ!!ダウトッ!!」

「ホントだって!!なんかあるでしょ!?言ってごらん!?」

「ねぇーよっ!!食えっ!!」

「あります!!ユー言っちゃいなよ?開放しちゃいなよユー?」

「何を開放すんだよっ!?ねぇーって!!」

「ホントに言うこと聞きますっ!!お願いしますレンさん!!」

「お願いなんて……ん、」

レンが何かを思いついて

「ホントか?」

手を押す力を弱めた

おっ?いけるか?

「ホントです。ホントに言うことを聞きます。」

「ホントにホントか?嘘じゃない?」

「本当です。神に誓って嘘じゃありません。」

「言ったな?言ったね?嘘じゃないな?」

レンがにやりと笑う

「マジです。ホントにホントです。嘘ついたこともありません」

「嘘だっ!!

よし、なら食べてやる。そのあとに言うこと聞きなさい」

「了解ですレンさん。」

レンが私の手を離したので

「レン、はいあ~ん」

と、再びトンカツをレンの口に持っていく

「あ~ん」

もぐもぐ

「どう?おいしい?」

ごっくん

「今まで食べてたじゃん、味分かってるよ」

「はいあと1個、あ~ん」

「苦しいな…あ~ん」

もぐもぐ

「おいしでしょ?」

ごっくん

「あい、おいしーです」

「作ったかいがありました」

「お前が作ったんじゃない」

「ごちそーさまでした」

手を合わせてごちそうさまをすると

「よし…部屋行くぞ~」

レンがそう言い立ち上がる

「ん?どっちの?」

「リンの部屋」

「ん~分かった」

「母さーん、ごちそうさまー」

「お母さーん、ごちそうさまねー」

「はーい」

私も立ち上がり、先を歩くレンについてゆく



私の部屋につくとレンが笑いながら

「じゃあ言うこと聞けな」

「分かってるよ、そんで何?」

何を言ってくんだろ…





そしてレンは……

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初恋メロディー 双子蜜柑その4

初恋メロディー双子蜜柑のその4です。

ここまで書いた時点で気付いていた…双子蜜柑のほうが未来音符

よりも長くなると!!

今さらですが、未来音符のほうを先に読んでください。

閲覧数:84

投稿日:2011/11/09 13:57:26

文字数:5,840文字

カテゴリ:小説

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