「え・・・??」
「ありますよ」
キヨテルさんの言っている意味がよく分からなかった。
私が首を傾げていると、キヨテルさんがくすっと笑い出した。
「意外に天然ですね」
「へ?初めて言われました・・・」
「本当ですか?」
今まで『大人しい』とか、『気が弱い』等と言われたことはあるけれど、『天然』と言われたことは無かった。
「もう時間も遅いですね。僕は別室で眠るので、気にしないでください」
「え、何か色々すみません・・・」
「いえいえ。何時に起こせばいいですか?」
「携帯の目覚ましあるので、大丈夫です」
お風呂に入ってないことに気がついたけど、気にはならなかった。
「寝巻き・・・貸しましょうか?僕のでよかったら」
「いや、でも・・・」
「嫌ですか?」
「そういうんじゃなくて・・・」
色々お世話になりすぎて、少し気が退けた。
「ちょっと待っててください」
キヨテルさんはタンスの中から黒のスウェット上下を取り出して、私に貸してくれた。
「大きいかもしれないですけど」
「いいえ、全然。ありがとうございます」
ぺこっと頭を下げると、キヨテルさんも少し頭を下げてから
「おやすみなさい」
と笑顔で言った。
私もおやすみなさい、本当に色々すみませんと言った。
キヨテルさんは少し苦笑して、もう一度頭を下げると別室へ行った。
スウェットに着替えようと、今着ている服に手を掛ける。
ふと携帯電話が目に入った。
(今、がくぽに電話してみようかな―)
そう思った直後、自分の考えにぞっとした。
今電話して、女の子が出たらどうしよう・・・・
がくぽは今頃、何をしてるんだろう・・・
がくぽ・・・
部屋に一人でいると、どうしても気持ちが暗くなってしまう。
それと同時に、がくぽの事しか考えられなくなる。
「がくぽ・・・」
小さく呟いてみた。
少しは気持ちが軽くなるかなと思ったけど、そんな事は無くて逆に虚しくなった。
今頃女の子と一緒?
何してるの?
どうして?
どうして私じゃダメなの?
私じゃがくぽを満足させてあげられないの?
服を脱いで、スウェットに着替える。
私は確かに若くもないし、綺麗じゃないし、気が弱いし、特別優れた特技もない。
でも、がくぽだけはこんな私を好きになってくれたんだと思ってた。
いや、信じていた、信じていたかっただけかもしれない。
私は・・・・
無限に続く自問自答から抜け出せなくなる。
苦しい・・・悲しい・・・
さっき流したはずの涙が、また溢れそうになる。
「ルカさん・・・?」
ドアの開く音がして、ビクッと肩が上がる。
「あ、キヨテルさん!」
慌てて指で涙を拭った。
「大丈夫ですか・・・?」
「はい!なんか、やっぱりさっきの事ショックだったっていうか・・・」
顔がじわじわと熱くなり、赤くなっているんだろうなと思った。
「ええと、その・・・・えと・・・」
何を言っていいか分からず、手をわたわたと動かした。
キヨテルさんの顔が、だんだん歪んでいく。
私の顔も負けないくらい歪んでいるのだろう。
「その・・・っ!?」
何が起こったか分からなかった。
私はスウェットと同じ匂いに包まれていた。
「キヨテルさん・・・?」
「一緒に寝ませんか?」
「え!?」
私を抱きしめながら、キヨテルさんは言った。
腕の力が強くなる。
「一人で寝るのは、悲しすぎるでしょう?」
「・・・・」
何も言わなかった。
代わりに、キヨテルさんの背中に腕を回した。
「着替えてきます」
「はい・・・」
キヨテルさんは私からゆっくりと体を離した。

その後、私達は同じベッドで二人で寝た。
変なことはもちろん、しなかったけど・・・
私はキヨテルさんに抱きついて、眠りに落ちるまで離れなかった。
キヨテルさんは何も言わずに私を抱きしめていてくれた。
優しい人だと思った。
キヨテルさんに抱きつきながらぎゅっと目を瞑って、がくぽの事を考えている自分は最低だと思った。





ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

社内恋愛【部下の前に、女なんですッ!】 18

生きてます、ふみゅれす(´▽`*)
更新遅れてほんっとすみません!この作品は特に。。。
夏休みに入ったものの、宿題がたまりーぬでありまして^p^<阿呆
しかももうすぐ部活の大会が・・・っ!
もう一作投稿できればいい方という状況です!
本当にすみません!;;

閲覧数:374

投稿日:2011/08/13 23:16:07

文字数:1,631文字

カテゴリ:その他

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  • 咲丸あさ

    咲丸あさ

    ご意見・ご感想

    お久しぶりです
    元 綺月です。ルカ、キヨ、がくの三角関係…楽しみです…ウフッ(`・ω・´)☆

    2011/08/14 11:25:12

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