#74「憧れ」



就寝前、私はミクさんの部屋のドアをノックした

中から、返事が返ってきて、私はゆっくりとドアをあける


「あ、マイちゃん!どうしたの?」


お風呂上がりのミクさんは、髪が濡れ、結んでいなくて、いつもと違った雰囲気が漂っていた


「えっと……うんと……ちょっと、お話、いいですか?」

「え!うんうん!いいよ!大歓迎!」


ミクさんが笑顔で私によって来た

カイトさんの言っていたように、本当に私と仲良くしたいだけなのかな?




「で、何?話って?」


ミクさんのベッドの上に2人で座って、すぐ隣にいるミクさんが私の顔を覗き込む


「えっと……その……あの……」


なんと切り出したらいいのか、わからない

「何者?」ってどうして聞いたんですか?とか言ったら、自分がそれを気にしていることがばれてしまう



「ねぇ?マイちゃん、私相手だと緊張する?」

「え?!」


ミクさんが悲しそうな顔で私を見る


「カイト兄やレン君とは、普通に喋っているみたいだし……私、マイちゃんになんかしちゃった?」

「ち、違うんです!!」


私は両手を顔の前でひらひらと振った


「ただ……ミクさんって、シスターからも、カイトさんからも、レンさんからも、義弟妹たちからも信頼されてるじゃないですか。だから、ちょっと憧れるっていうか……恥ずかしいっていうか……」


私のこの言葉に偽りはない

本当にミクさんのような優しい人になりたい


「えぇ?!そうなの?」


ミクさんが頬を赤くしている


「だから、別にミクさんのことが嫌いとか、ミクさんが何かしたとか、そういうんじゃないんです!」


私だって、ミクさんと仲良くなりたい

でも……もし、私の正体を知ったら、今と同じように接してくれるだろうか……



「そっかぁ……よかった」


ミクさんは、ほっとしたように笑っていた

カイトさんに相談するくらい悩んでいたのだから、やはり、余計な心配をかけてしまったようだ







「でもね、私はマイちゃんに憧れるけどな」

「ええ!ど、どうして、私なんか……」


ミクさんの意外な一言に、驚きが隠せない


「だって……マイちゃん、カイト兄といつも一緒じゃない」


え……今、ミクさんが一瞬、すごく悲しそうな顔をしていたような……


「私なんてさ……カイト兄と小さい時、ずっと一緒だったのに……カイト兄が帰って来た時、【私】って気づいてもらえてなかったんだよ?」


そうか……レンさんの言っていた「ミク姉の気持ち」って、これだったんだ


「ある時、マイちゃんをひろってきて、その後、一緒にいなくなって……そして、戻ってきて………………その間、ずっと一緒だったんでしょ?」


ミクさんの視線が、私を貫く

今のミクさんの目は……正直、怖い……


「そ、それは…………」


私はどうしたらいいか、わからなくなった

妖精の世界の話はもちろん出来ないし、信じてもらえないだろう

でも、ミクさんの気持ちは……

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

妖精の毒#74

ミクちゃんが…

色々、思うところがあるんですね

閲覧数:141

投稿日:2012/10/07 17:21:02

文字数:1,281文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    ううああお、もどかしい!!!

    お互いに憧れてて、自分もそんな風になりたくて、でも無理で
    特にミクは、リンとカイトが4日間一緒に居たことは
    訊かなくてもわかるし、二人の親密さを嫉妬したって
    何にも変わらないんだし……。

    ああ―――、リンにも頑張ってほしいけど、ミクもガンバレえええ!!!!!!

    2012/10/07 18:11:23

    • しるる

      しるる

      もどかしい!

      難しい問題...
      でも、書いてて楽しい部分ww←

      ミクとリン……どうなるか、私も見守ります←?!

      2012/10/08 22:11:56

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