私の中には十人の人格が住み着いている
私にはどれが本当の私なのか分からない
ある日の朝は図書館でエジソンの伝記を読んでいた
ある日はダンボールの上で歌っていたり
ある日の三時は隣の男がホットケーキを食べさせようとしていた
ある日はミニスカートで上はギリギリのキャミソールでまた同じ男が隣にいた
ある日は酔っ払ってあの男にしがみ付いていた
ある日はあの男と同じ部屋にいた
ある日はあの男を高いハイヒールで踏んでいた
ある日はふわふわしたスカートを穿いてスキップしていた
ある日は道端で泣き叫んでいた
私には十人の人格がいてそれぞれの人格の必ず隣にいたのはあの男
そう、私達は同じ男に恋をした
男はその日に日に変わる私の人格達に胸を締め付けられながらも…
惹かれていた…
でも、ある日あの男が私に言った
「俺は一人の人しか愛せない。人格は一人しか選べないんだ…」
私のほかの人格にはこのことをもう言ってあるらしい…
私の中の十人はもう薄々気づいていたんだ…
もう自分達の役目は終わり、自分達はいらなくなる事を…
だったら…
さぁ、最後にみんなで笑いましょ
さよなら
私の十人の人格
おかえり
本当の私
私は男にこう言った
「私は元の一人よ」
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