語り部のeight hundred
ようこそいらっしゃいました。このたびお聞かせするのはの大切な人に思いを伝えるためデタラメを語った少女のお話です。

その少女は、砂糖はしょっぱく、塩はとても甘く、冬は汗ばみ、夏は凍える季節だと語り、まるで見てきたかの様に、星空を泳ぎ、消えることの無い虹のアーチを潜ると語ったそうです。

そして、神様が存在して、6億の夢が全て叶い、いつしか争いごとは消え、みんなが永遠に笑いあえる、そう語る中、ところどころに君のことは大嫌いだった、ずっと一緒に居たくない、一瞬で忘れ去り、思い出になんかならない、と大切な人への思いを交えていたそうです。

少女は本当は、大切な人がどうなってしまったのか知っていたのですが、心のどこかでそれが信じられず、今はただ眠っているだけで、空腹を感じて目覚め、眠くなればまた眠り、眠り飽きれば目を覚ますと願っていたそうです。

―しかし、いつまでもそうしていられる訳も無く―

これから語ることは全てがウソで、聞き流して欲しい。
神様は存在せず、ほとんどの夢はたやすく潰え、争いごとは続き、みんなが終わりが訪れることに気付いている、そして、
大好きで大切な人の隣にずっと居たかったと真実を、自分の思いを語ったそうです。そして―

このすばらしい世界で、君の分も生きたい、そうウソかホントウか分からない言葉を呟き、未来を見据えたそうです。

いかがでしたか?私のお聞かせした物語は。次に来られたときは何の物語をお聞かせしましょうか。今日のところはここでお開きにしましょう。帰り道にはどうぞお気をつけて。よければまた、私の物語を聞きにいらして下さい。それではさようなら。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

語り部のeight hundred

語り部シリーズ22作目です。

閲覧数:206

投稿日:2010/02/07 12:31:30

文字数:713文字

カテゴリ:小説

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