オレンジ色の夕暮れ空。

「お疲れ様でした~!!」

オレはいつもの様に部活を終え、バス停に足を運ぶ。
5時20分、定刻通りにバスがやってきて、乗り込む。


オレは普段、そんなに時間を気にして行動する方ではない。


例えば、妹のリンと待ち合わせした時に…。

「おっそ~い!!」

15分遅刻しただけでソフトクリームを奢らされた。
後で、15分というのがかなり時間にルーズ、という世間一般の感覚を知り驚愕した事は忘れない。


ただ、この定刻通りにこのバスに乗るのには理由がある。


バス中央部のステップを上り、すぐそこの席。
そこにはかなりの綺麗な女の人がいつも座っているのだ。

いつも同じ時間のバス、同じ席に座って読書している、多分年上(いや、かなりか…)の女の人。
彼女を見てオレは何とも言えない感覚に陥った。


何だよこれ。

しばらく前から、ずっと見ていた。

その綺麗なピンクの髪をかきあげると唾を飲んでしまう。


親戚に可愛い女の子は沢山いるけど(妹はノーカンとして)初めての感覚だ。

すごく気になる…。
何を読んでいるのか、とか、最終的にはどこに住んでいるのか…とか?


ダメだ…これ完全に怪しいヤツだ…オレ。


そんなことを考えているうちに、いつもの家の近くに着く。
何故か彼女も同じバス停で降りるのに、話しかけられないまま今日もまた…。

商店街の方へ消えていく彼女を見て、ため息を吐くだけだった。




「きゃはははははははははwwwwww何それお腹痛いwwwwwwww」

…相談したオレが悪かった。
大爆笑のリン。

「お前そんな笑う事ねぇだろ!!」

面子みたいなのが立たなくて必死のオレ。

「だって…ただのストーカーじゃんwwww」

涙を拭いながら、リンが言った。

「…それはわかってるけど、オレは今の状況、どうにかしたい」
「なんで?」

急に真顔になるリン。

「いや何でって言われても分からねーけど…モヤモヤするんだよ」
「ふ~ん…」

少し考えて、リンが言った。

「レン、あんまりそういうの無かったもんね…周りにめーこ姉さんがいたり、ミクちゃんがいたりねぇ…」
「そういうの?どういうのだよ??」

全くピンとこねぇ…。

「やっぱりレンは鈍いなぁ……まぁ、しばらくその子の事見守ってあげなよ」
「はぁ?」

ニッとリンが笑う。
そして…。

「はいこれ、絆創膏、そんなのはきっかけが大切なんだから…」

妙にキラキラした絆創膏を渡され、部屋を出された。

リンに聞いても何も分かんなかった。
てか、何だよこの絆創膏は…ケガなんてしてねぇぞオレ。




モヤモヤな相談から、何日か経った。


今日はやけにバスに乗っている人数が多いな…。


彼女の横にしか立つ場所がない…。

仕方ない、そして大丈夫かな…。


そっと彼女の横に立つ。

彼女は読書に夢中で、俺の存在に気付かない。


これは少し、チャンスなのかもしれない。

そっと、手の先の本を覗く。


驚愕した。
全っ部英語。

頭良いんだな…この人。

少しだけ自分なりに解読してみる。



顔が赤くなってきた。



…だってこれ官n…うん。

いやいや、オレの英語力じゃあんまり分からないけど、単語でなんとなく…。


色々考えているうちに、いつものバス停に着いた。



「人の秘密って知らないほうがいいんだな…」と上を向いて歩いていた。



その時だった。

「いっつ~…」

膝を抱えてうずくまっている女の人がいた。

…彼女だった。

「どうしたんですか?」

不意に話しかけていた。

「いや…ヒールが折れて、こけちゃって」

綺麗な足だな…じゃない!!膝を擦りむいていた。
ふるふると首を振ってオレは鞄から、あの時の絆創膏を渡した。

彼女がぷっと吹き出す。

「何このキラキラな絆創膏、女の子みたい…」

いつも真剣に本を読んでいた彼女の笑顔だった。

「あ、あの、笑顔…初めて見ました」
「え?」

疑問に思ったようで彼女はオレを見た。


顔が熱い。


でもいいや、もう、言ってしまえ!!

「オレ…ずっと見てました、綺麗な人だなって、毎日、同じバスに乗って見てました、でも話しかける勇気もなくて…」

あ~、だめだねこりゃ。オワタ。


「…ふ~ん…私、綺麗って言われたの初めて…」


予想外な反応すぎるのでますます顔が熱くなっていく。


「あの、名前とか…教えてもらってもいいですか?」

何言ってんだよ…もう。

「ルカ…巡音ルカよ、あなたは?」
「鏡音…レンです」



これから先、オレ達はどうにかなるのかもしれないし、そのままなのかもしれない。

リンの言いたいことも分かったし、絆創膏はグッジョブだった。



…これがオレの初恋だった。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初恋

※この物語はフィクションです。

いやぁ…思いついて書いたのはいいけど、書いてて何これってなりました(´・ω・`)

普通の世界観の作品を書こうと思ったのに…何か…もう…うん。
やっぱり鬱なのとかしか書けないんすかね…僕www

閲覧数:829

投稿日:2013/04/06 10:48:56

文字数:2,013文字

カテゴリ:小説

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