デザイナー支援施設の、「ニコビレ」を訪れている、レン君。

テトさんとマコさん、ルナさんたちと別れて、ティールームに向かった。
3時にアーティストのレイムさんたちと会う約束をしているからだ。


待ち合わせの少し前に入って、1人でお茶を飲んでいると、少し経って彼女たちがやってきた。

「加賀美レン君ですか?はじめまして。“レイム&パム”の白堰鴒礼夢です」
「葉丸美優です」

「どうも、はじめまして。きょうは有難うございます

“レイム&パム”は2人組のアーティストのユニットだ。
クレイ(粘土)のアクセサリーなどを制作している。

「お仕事、忙しい中、大丈夫ですか」
「いいのよ。りりィさんのお友達でしょう?それに、“ゆっくり”で、バイトしてるんですってね」
レン君の言葉に、葉丸美優さん、つまりぱみゅさんが笑顔で答える。

「いつも私たちの作品を、お店で扱ってもらってるんです。湯栗さんの“ゆっくり”と、りりィさんの“上海屋”さんで」
「そうなんです。お世話になってます」

ニコニコしながら、レイムさんも言う。


●あんまりのめりこんじゃ...

「それにしても、きょうはオカルトについてお話したいの?そういうお話、好きなのかしら?」
レイムさんが、レン君に尋ねる。
「ええ。よろしくお願いします」
レン君は頭をかく。

「とくに、いま話題になってる“はっちゅーね”について、教えて欲しいんです」
「そう!私もそういう話、とても好きですよ」
レイムさんが楽しそうに言う。

「でも、あんまりのめり込んじゃいけませんよ。ホドホドに...ね(笑)」
となりで、ぱみゅちゃんが笑いながら言う。

どうやら、ぱみゅちゃんはレイムさんの話が、暴走しないように一緒に来たようにも見えた。

「そういえば、あの人形...“はっちゅーね”は“ゆっくり”の売り場でも扱っていたわね」
ぱみゅちゃんが言う。

「ええ。数は多くないですけど。それで、これからりりィさんの“上海屋”でも扱おうか、どうしようかと考えてるそうです」
レン君が説明した。

「話題の人形ですものね」
レイムさんがうなずく。
「はい。でも、何不思議なウワサもあるし...オカルト人形だなんて。だから、“はっちゅーね”に詳しい、レイムさんたちのお話を聞きたくて」

「詳しい、ってほどじゃないけれど」

そういって、レイムさんは不思議な人形の話を始めた。


●不思議な人形の謎とは?

彼女が話した内容をまとめると、次のような感じだった。

○“はっちゅーね”は、初音ミクさんとデフォ子(唄音ウタ)さんが作っている。

○デザインとコンセプトはミクさん、素材選びと立体化はデフォ子さんが行う。

○現在は、ここ「ニコビレ」にあるデフォ子さんのアトリエで、なかば手作りで作られている。

○このニコビレの作業室で、人形を作ってる時に爆発がおき、部屋の壁に穴があいた。そのときから、人形(はっちゅーね)と、その部屋(作業室)に、不思議な現象が起きた。

 レン君は、話をそこまで聞いて、思わず問い返した。

「作業室で、どんな不思議があったんですか?さっき、ちょっとその部屋に、お邪魔してたんです」

「あら、そうなの」
ぱみゅちゃんは、首をすくめて怖そうに言った。
「そこの壁の穴から、人の話し声が聞こえたのよ」

「ええー!ホントですか?怖いなあ。その穴、いまもあるんですか?」

「いいえ、もうないわ。私の友人の、インテリアデザイナーの人と、そのつながりの内装業者さんに、穴を塞いでもらったの」
レイムさんが、明るく言った。

「友人の方が?」
レン君は聞き返した。
「ええ、兎論紙魚子さんというデザイナーの人。その人こんど、このニコビレに入居するのよ。彼女がちゃんと穴を塞いだから、もう大丈夫」

にっこり笑って、レイムさんは続けた。

「その穴、私が思うに、直す前には、“異界とつながって”いたと思うの」(・o・)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌(199) レイムさんのオカルト講義

明るくオカルトの話をされると、信じたくなるかな?です(笑)。

閲覧数:108

投稿日:2013/06/23 13:19:18

文字数:1,641文字

カテゴリ:小説

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  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    今晩は~、お久しぶりです♪ ようやっと1日、完全休暇になったので、自分の作品投稿と、貴方の作品の巡回をしてます♪ まずはこちらから。

    いや~、レン君、なんか、”開けてはいけない扉を開けてしまった”感がある、レイムさんとのコンタクトですね~♪ 箇条書きになっている、ということは、会話形式で書くと、相当長くて突っ込んだ話になっていた、ということでしょうね♪ レイムさんらしいし、レン君圧倒されまくりだったのですね。

    しかし、埋める前の穴の先は、異界。なんか凄い話になってきそうで、楽しみです♪

    では、続きを読みますね♪

    2013/07/25 19:53:42

    • tamaonion

      tamaonion

      enarinさん、コメントありがとうございます!
      お久しぶりです。enarinさんの感想が聞けると、なんだかこちらも元気が湧いてくるようで、嬉しいです!

      お忙しくて大変かと思いますが、読んでくれてとても嬉しいです。


      >いや?、レン君、なんか、”開けてはいけない扉を開けてしまった”感がある、レイムさんとのコンタクトですね?♪ 

      そうですね、レイムさんも暴走しやすいタイプのようですし。素直な男子には危ないコンタクトかもですね(笑)


      >箇条書きになっている、ということは、会話形式で書くと、相当長くて突っ込んだ話になっていた、ということでしょうね♪

      鋭い指摘ですネー。多分、会話のテンションや声のトーンもかなりのハイ・ボルテージで...と思います。


      >埋める前の穴の先は、異界。なんか凄い話になってきそうで、楽しみです♪

      有難うございます。この話自体が”開けてはいけない扉”に近づいてる気も...(笑)

      また、感想を聞かせてください!

      それではまた。

      2013/07/27 22:40:04

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