「リン!!」
大きな声でレンはリンを止める。
「・・・何?」
「・・・その、・・・・ごめん」
「・・・聞こえない。何か言うならハッキリ言って!」
怒っている。明らかに。
そう、レンは最近リンをかまってあげられていなかった。
実はレンはこの前まで単独でマスターと一緒に全国の会場をまわってライブを行っていた。マスターの作ったレンのソロ曲がネットで話題になったからだ。
その際諸事情でリンは連れて行けなかった。
だからこの数日間の間レンはリンに会っていないことになる。
かといってリンはそれにあたろうとはしなかった。
そういうこともあると理解していたからだろう。
理解はしていたが、それでも数日間の間誰もいない家の寂しさと半身を引き裂かれたような深い悲しみにおぼれていたのだろう。抜け出すことが出来ない深い闇に・・・。
久しぶりに会ったレンも自分に優しくしてくれない、ずっとマスターの書いた次の歌の歌詞を読みふけっているだけ。
だから、大好きなミカンをたくさん食べることでその気を紛らわせていたのだろう。いわばヤケ食いだ。
一言で済まされることではない。大切な半身を自ら捨てたようなことなのだから。
そのことに気づいたレンは「ごめん」の一言でことを片付けようとした数秒前の自分が恥ずかしく思えた。

「何なの!?早く言ってよ!」

大きく、高く、悲しく響く癖のあるリンの声でレンは我に返った。
しかし、次になんという言葉を発せばいいのか迷っていた。
「・・・」
自分から止めたのにあせっている。
こんな自分でいいのか。
リンを一人にさせないためにレンが作られたのに。レンはリンと一緒じゃなければならないのに・・・
頭の中を色々な思いが駆け巡る。この中からリンが満足しそうなものはない。
だったら。

「リン。本当にゴメン。」


気が付くと、レンは飾りもなしに正直な言葉をリンにぶつけていた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ORANGE-5

5話目。今日はココまでですね。
レンがなんて謝るのか、がんばります!

閲覧数:133

投稿日:2011/06/29 22:46:03

文字数:794文字

カテゴリ:小説

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    2.3.4.5読みましたよー
    1と2でほんわか、3でコミカル、4と5でシリアスというように、物語に波があるのが良いですね
    続き期待してますよー!

    個人的に3の、
    >「・・・・おかわりもらえる?」
    >「へ?ミカンの?」
    >(ミスったあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!)
    の流れが笑いました 居酒屋www

    2011/06/30 00:37:29

    • ピロ

      ピロ

      メッセージありがとうございます!
      あとどれくらいで終わるかもはや想像が付きませんが、できれば最後までお付き合いください!

      2011/07/02 11:27:28

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