漆黒の闇の中、私は駆け抜けていた。
ここは檻。
何の為に作られたのかは分からないが、私は生まれた時からそこに閉じ込められている。
周りからたくさんの悲鳴が聞こえる。
異常を訴えるような心の叫び。それが向こうの空気を支配していた。
普通の人だったらそこから逃げたくなるだろうが、私はあえてそこに飛び込んだ。
「うっ」
私は不意に顔を手で抑える。
数多の死体が横たわっていた。それのどれもが体の一部分をごっそりとえぐりとられていて、辺りに血を撒き散らしていた。
まるで地獄絵図だ。
しかし、これで構わない。
そうだ、これで良いのだ。
私はそう思った。
こんな、誰かが生きたり死んだりすることに意味などない。苦痛だって無視してしまえばいい。
そうすれば、またあの頃をやり直せる。
全てをリセット出来るんだ。
「はっ!どうしてやろうかと考えてたら、まさかお前の方から来るとはな。やっぱりお前、何か訳ありのようだな」
目の前の男が不敵な笑みを浮かべながら言ってくる。上半身を中心に眩い光に包まれて、この暗闇でも不気味に姿が映し出されていた。
知っている。この光が殺したんだ。この魔法が私の大切な仲間を……、私の……
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