☆『プロローグ』☆
肌寒くなったある日のこと・・・。
「なんてね、ダジャレ好き―! うーうー!!」
「ほんとに、いつもいつもダジャレを言うわね、ウサ」
はしゃぐ私に、リアにゃーんは呆れたような困ったような顔で言った。
「だって、あのピンク色の犬さんと友達になりたいもん!! うー!」
「友達ですか」
私の本音を言うと、モコちゃんが頷いた。モコちゃんは、まるで羊をようにぼふぼふと心地良い抱き心地で、ぶっちゃけ私好き! でも、あのピンク色の犬さんの方が好きなのは、仕方ない仕方ない! うー!
「いつか、会えるといいな、ウサ」
「会えるよ、ラクにぃ! うーうー!!」
会える。ほんとに会えるもん! だって、私・・・、
「どこどこ町のあの家の電話番号見つけたもん!」
ほんとは見つけたんじゃなくて、サングラスをかけた妙なキツネさんにもらったんだけどねー! 私がなんてねばっかり言ってたからなのかなー? うー!
「そうかそうか、会えるといいな」
そう言って、私の頭を撫でてくれるラクにぃ。私はされるがままになりながら、壁にかけてある時計を見つめた。
「・・・どうした? 誰かと待ち合わせか? ウサ」
「うん! あのピンク色の犬さんと、待ち合わせ―! うーうー!!」
「・・・え?」
「じゃあ、行ってくるねー! うー!」
驚くみんなを振り切って、私はバンさんの研究所を飛び出したのだった。うー!
「・・・どこどこ町とは、すっごくちがうなぁー。・・・ミュリエルに会いたいよぉー・・・なんてね」
「あ! ピンク色の犬さん、みーつけた! なんてね!」
「その声は・・・ウサちゃんだ」
私が声をかけると、うなだれていた背筋をピンっと張って、橋に手すりから降りて、こっちに近づいてきた。
「久しぶり、なんてね! うーうー!!」
「良かった、ウサちゃんがあの時、電話かけてきた人だね?」
「そうそう! うーうー!!」
「それで、僕はピンク色の犬さんじゃなくて、カーレッジって名前があるんだ。だから、カーレッジって呼んでよ、ウサちゃん」
「カーレッジ? カーレッジ! うーうー!!」
「今日はよろしくね。・・・じゃあ、始めようか、なんてね」
「私とカーレッジからのクリスマスプレゼント『ウサの憧れピンクの犬さん、やって来た!!』始まるよー!! うーうー!!
☆『みんなとのコラボトーク!』☆
「みんなー、ただいまー! うー!!」
私がバンさんの研究所に入ると、やっぱり後ろについてくるカーレッジが気になるみたい。みんながすぐに私とカーレッジの周りを囲んだ。中でも、犬とか猫とか好きな紫苑ちゃんは、目をキラキラさせて、
「わーい、犬だー! い ぬ だ ー ! 」
って、すっごく嬉しそうにカーレッジを見ていた。
「可愛いなぁ。この犬、なんて名前だ?」
「僕の名前は、カーレッジ。よろしくね」
赤い髪をしたアカイトが質問してきて、私が答えようと思ったら、カーレッジが答えていた。
「んっ!?」
やっぱりアカイトは目を丸くさせた。だから、私は言った。
「カーレッジはしゃべる犬だけど、愛するミュリエルさんをいっつも守り続けてる、スーパーヒーローだもん! だから、みんなと同じように接してよ! うー!!」
「・・・って、言われてもなぁ・・・」
「アカイト、世の中には色んな人がいるんだ。もちろん、しゃべる犬とかな。ウサの言うとおりだと、私は思うぞ。それに、愛するミュリエルのところが、とても親しみを覚える」
「そうだな。・・・しゃべる犬がいても、不思議じゃないよな。悪かった、ウサとカーレッジ」
「ううん! 分かればそれでいいもん! うー!」
私は、心の中でバンさんにありがとって言った。それが伝わったのか分からないけど、一瞬、私の方に笑いかけてくれたような気がした! 嬉しかった。
「・・・」
「どうしたの? リウ」
「・・・可愛いとか、心の中で思ってても、口には出さないんだから」
「えっ!? 思いっきり言っちゃってるこの子!!」
そう言って、ナナちゃんは少しほっぺたが赤いリウちゃんのあとを追いかけた。
「??? なに今の?」
住んでいる世界がちがうからかな、カーレッジは首を傾げていた。
「あの子はね、カーレッジのことが可愛いって言ってくれたの! うー!!」
「可愛いかぁー。ボクはミュリエルの方が可愛いと思うよ、なんてね」
「「真顔で、爆弾発言はやめて下さい」」
私が教えてあげると、カーレッジは確かに爆弾発言しちゃったから、ムウちゃんとフワちゃんに咎められてしまった!
「・・・ごめんね、なんてね」
「「もう少し、誠意ある言い方をして下さい」」
「・・・ごめんなさい、なんてね」
「「・・・・・・」」
「カーレッジ、なんてねがだめなんだと思うよ、うーうー!!」
「・・・ごめんなさい」
「「いいですよ。仕方ないですねー、全く」」
今度は、ムウちゃんとフワちゃんは納得して、その場を去った! よかった、うー!!
「あの2人組、怖いなぁ・・・あうー」
カーレッジはそう言って、私の足元へ寄り添う。
「大丈夫だよ、カーレッジ。ムウちゃんとフワちゃんは、いい人だから大丈夫! うーうー!」
「・・・ウサちゃんがそう言うんだったら、そうかもねー」
私が断言すると、カーレッジはにっこりと笑った。
「カーレッジだっけ? 僕はセト。よろしくね」
そこへ、セトにぃがカーレッジに挨拶した。
「わーい、リアにゃーんとセトにぃは仲が大変よろしいー! なんてねー!」
私が言うと、セトにぃは少し照れたように、
「そっ、そんなんじゃな、ないよ」
って言った。
「そうなの? でも怪しいー。怪しすぎてかなり怪しい! うーうー!!」
「あ、ウサちゃん。もうそろそろ行かないと、収録間に合わなくなっちゃうよ」
「もうそんな時間? じゃあ、行こうカーレッジ! 外出デートだよ、うーうー!!」
セトにぃに詰め寄っていた私は、カーレッジの言葉を聞いて、再び外に出たのだった。
☆『収録までの騒動話!』☆
私とカーレッジは、午後2時から始まる特別番組『ひたすらダジャレな時間』の収録のため、VCL放送局に向かっていた。
「僕、放送局とか行ったことないよ」
「放送局の中でも、VCL放送局は面白いんだよー! うーうー!!」
「へぇー、そうなんだ」
「それに、色々変わってるけど、面白い人たちもいるし! うー!」
「どんな人?」
「運がよければ会えるよ! ・・・あ、そういえば、ネルちゃんに会える! うーうー!」
「ネルちゃん? その人、誰?」
「それは・・・会ってみれば分かるよ! うーうー!!」
「じゃあ、すっごく楽しみにしてるよー」
「ちなみに、ネルちゃんは今日収録の『ひたすらダジャレな時間』の、司会者だからね! うー!」
「そうなんだ」
・・・なんて、他愛のない会話をVCL放送局に着くまで、私とカーレッジは続けていたのだった。うー!
中に入ると、ロビーだっけフロントだっけ、とにかく『いんふぉめーしょん』っていうところが目に入る。そこから右奥へ行くと、いっぱいエレベーターの扉があって、混雑はなかった。ちなみに、左奥は階段だ。・・・こうやっていうと、狭いのかなって思われそうだけど、他には、ソファやらテーブルだったり、高画質なテレビが壁にかけてあったり、自動販売機があったりして、結構・・・だだっ広い。私とカーレッジは、歩幅が小さいので結構歩かなければならなかった。
「・・・思ったよりも、結構広いね」
「そうだね、うー! ちなみに、どこどこ町の農場と、どっちが広い? うー?」
「ここも広いけど、どこどこ町の農場よりかは狭いかな」
「当たり前だったねー、うー」
そうこうしているうちに、偶然開いていたエレベーターのドアを通って、『閉』のボタンを押そうとした。
「いいなぁ、ウサちゃんは。ちゃんとエレベーターのボタンが押せるんだからね」
「・・・届かないの? うーうー?」
「・・・・・・」
カーレッジは手を伸ばす。『1』と『2』のボタンには何とか届いたものの、それ以上手は届かなかった。
「・・・」
私は黙って、カーレッジの手を下げさせた。
「・・・カーレッジは、そのままが好き! うー!」
「ありがとう、ウサちゃん。それで、何階に行くの?」
「6階・・・・・・うぅー!! と、届かないー! うー!!」
私は手を伸ばしたけれど、全く届かなかった。
「どうしようー、うー・・・」
「困ったなー・・・、あうー・・・」
私とカーレッジがそれぞれため息をついていると、
「どうしたの?」
と言って、青い髪をした見上げるような背の高い人が入ってきて、『閉』のボタンを押した。
「収録があるから、6階行くのー! うーうー!」
私の言葉にその人は頷いて、私とカーレッジがどんなに手を伸ばしても届かなかった『6』のボタンを押してくれた。エレベーターが上に上がる。
「ありがとうございます、うー!」
「親切な人もいるんだなぁ・・・ありがとう」
「・・・どういたしまして。ところで、君たちってどんな番組に出演するの?」
「『ひたすらダジャレな時間』だよ! うー!」
「それって、午後2時から始まる特別番組だよね? へぇ、すごいな」
「・・・ん? そういえば、どっかで見たことあるような・・・うー?」
その人を見て、首を傾げる私。それで、すぐに思い出す。
「あ! あの時、マスターさんと来てた人だ! うー!」
「できれば、カイトって呼んでほしいんだけどね」
私の言葉に、カイトが言ったところで到着した。開いたドアから外に出る。
「収録する場所は、こっちだよ」
カイトが案内してくれた。カーレッジは、こそっと小声で私に、
「ミュリエルほどじゃないけど、優しいね」
って言ってきた。私も、小声で聞いてみた。
「やっぱり、ミュリエルさんが一番なんだ? うー?」
「だって、ミュリエルは僕がまだ子犬の時に拾ってくれて、大事にしてくれたから・・・大好きだよ、なんてね」
「さ、ここだよ」
今していた話が聞こえていたのか、聞こえていなかったのか、カイトはドアの前に立つと、言いながら、私とカーレッジの方を振り返った。
「この先が、収録する所だから。中に入れば多分スタッフさんがいると思うから、教えてくれるよ。それじゃあ、頑張ってね」
そう言って、カイトはそのまま向こうの方へ、去ってしまった。声をかける暇もなかった。
「じゃあ、中に入ろう、うー」
さすがに緊張してきた。
「だじゃれ、たくさん言おうね」
カーレッジの言葉で、緊張がなくなった。
【亜種コラボ小説・前編】 ウサの憧れピンクの犬さん、やって来た! 【クリスマスプレゼント】
こんにちは、もごもご犬ですこんばんは!
今日はクリスマス!
というわけで、前々から言っていたクリスマスプレゼント用の作品をお贈りします!
私にできることはこれぐらいしかないので!><
今回は傷音ウサちゃんと、カーレッジくんが主人公です! 何か問題があれば、責任を持って削除します!
・・・さらに、昨日思いついたカイマス(マスカイ)の作品も投稿しようと思いますので、よければどうぞ!
でも、すっごく甘い話になってます←
後編も、お楽しみに!^^
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