どこ吹く風の風来坊
オトコを惑わす魔性の女
女神のように微笑む子
それが「彼女」であるんだと。
人は口々に言うけれど、
誰よりも愛情を知っている女だったと思う。
悲しい時には思いっきり泣いて
怒った時には怒鳴り散らして
楽しい時には大声あげてわらってる
彼女は知っている
じぶんの心はじぶんのものだということを。
くだらないわ
その噂が私の何を決めるというの
それを信じて物知り顔って
男も女もばかばっかりね。
それでもいい人では物足りないの
悪い男やダメな人ほど恋しいの。
正論並べるより、身体の声に耳を澄ます。
そうやって私は自分で選んで生きてきたわ。
気に入った男も手に入って仕舞えば
もうあなたは要らないの。
終わりが見える恋なんて。
暇つぶしにもならないわ。
人は鏡のようなもので
彼女は葛藤を繰り返す。
だって私、愛すだけじゃなくて愛されたいよ
そして彼女は23
夏の匂いがする河原子を
夢に見た男と手を繋いで歩く
踊ってみせたり、
弱音を吐いたり、
首元に抱きついてキスをする。
だいすきよ。
あなたにたくさんいいことがあるように
きれいな滝の流れのように、
降ってくる星々のように
眩しい朝日が降り注ぐように。
終わりの見えない恋をした時に
彼女は自分がどうあがいても
23の出しゃばり娘でしかないと知る。
どこ吹く風の風来坊
オトコを惑わす魔性の女
女神のように微笑む子
そして「彼女」は死んだのだった。
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