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【第〇話】13番目の扉 ~ The 13th Bed Room
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植木君と窓ちゃんは、34病棟四階の寝具が6つある13号室に移された
Pothead and Monado into a room No.13 of a 6th bed 34-ward on 4F,
「君、どこの生まれ?」と彼女に尋ねたが「何も覚えがない」そうだ
He asked "Where're you from?", but she said "I don't know about that."
【心象スケッチ】(2005年4月8日企図)
"mental sketch modified" (2005.4.8)
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【第七話】お墓参り ~ The Blue Andon
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□■□■□■22:21 - 2005年11月8日■□■□■□
potheadは墓参りに行った
芳香剤のような匂いの蝋燭に火を付け、葉っぱを活けて
白い種を摘まみ、手を合わせる…
慣れない儀式ばかりで戸惑っていた、故郷から遠い日本へ来たのは
治療が困難とされる、頭部の分離手術を行う為だ
しかし、その後意識を失ってから
手術中に失血死したことを知らされた際には
双子の姉の葬式は既に執り行われていた
□■□■□■22:21 - 2005年11月8日■□■□■□
国外への移住を、両親が提案する前のことを思い返せば
一軒家を売り払ってまで、姉と自分の治療費を用意した事が始まりだ
「治療が無事に済んだら、豊かで穏和な国と聞くので移り住もう」
と前向きに言っていた
自分は反対しなかった
普通なら友達と疎遠になるし、学校の好きなクラブも止めて
ハロウィンに二度と参加できないのだから、嫌だと反対するが
――ただ姉の治療の為なら、と首を縦に振った
□■□■□■22:27 - 2005年11月8日■□■□■□
姉と自分は、生まれた頃から頭が繋がっていた
理由は分からないが、双子は稀にお腹の中で身体がくっ付くらしい
最初から二人でひとつなのだ、それが当たり前だった
しかし、引っ付いたままだと…
――大人になった際には、お互いに命を落とす恐れがあるそうだ
何れにせよ、地元のスクールに入って
物心が付いたときには、学校生活をする中で不便を感じていた
□■□■□■22:32 - 2005年11月8日■□■□■□
だから、黙ってなにも言わずに首を縦に振った
自分の気持ちに同調するかのように、姉も首を縦に振ったので
そのときばかりは正しい判断をしたのだと思ったのだ
しかし、自分はこの国に来て、良いことは一つもなかった
姉も居なくなり、リハビリも退屈で…
――新しい入院患者も、期待に反して素っ気ない性格だ
□■□■□■22:43 - 2005年11月8日■□■□■□
お墓参りをすると、どうして気持ちが滅入るのだろう?
四角い形の石で出来たランプに火が付いた
暗い夜にぽつんと、揺らめく青色…
親に手を引かれながら、帰り道を振り返ると
青行燈の光はまだこちらを見て揺れる
明日になったら、ふらっと消えるのだろう
姉の顔も、最後まで、面と向かって見れなかった事は寂しい
□■□■□■22:55 - 2005年11月8日■□■□■□
4階の病室に戻ると、6つあるベッドの左真ん中に
また夜中遅くにライトが明々と付いている
カーテンを開けて、確認すると包帯頭の子は眠っていた
机に突っ伏している腕の隙間から
先が丸くなった鉛筆、ノートには微かに模様が見える…
以前声を掛けた際は白紙だったが、何か思い出せたのだろうか?
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【第八話】暗闇の世界 ~ The Mandala World
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□■□■□■6:56 - 2005年11月9日■□■□■□
墓参りから帰ったとき、包帯頭の子がノートに「電燈」を描いていた
ふと僕は、姉の墓参りの帰りに見た、揺らめく「行灯」を思い出す
――彼女が目覚めると、姉の生まれ変わりのような面影を感じた
自分は、新しく入院してきた記憶喪失の子に
姉や妹のような、友達以上の期待を馳せていた気がする
「何か…思い出せた?」
「…」
こくり…と微かに、彼女は頷いた気がした
□■□■□■7:07 - 2005年11月9日■□■□■□
――電灯頭の子は誰なのか?
訊ねてみると、それは夢の世界で変身した「自分」らしい
よく見ると電灯頭の子の服装も彼女とそっくりだった
電灯は真っ暗な世界を照らしていた
周りに妖怪やお化けが彷徨い、地面には包丁と複雑な模様が見える…
悪霊や怨念を鎮めるには、お経や念仏が有効とは聞いている
では床に描いてある掌は、もしかすると仏の「印相」なのでは?
□■□■□■7:21 - 2005年11月9日■□■□■□
日本の怪談や仏教に関して、墓参りの際に予習はしていた
和尚さんの「手の平を構えるポーズ」にも、意味があるらしい
その掌を形作る「幾何学的な模様」については、全部で9つあった
仰々しい雰囲気が、法華経を図化した「曼荼羅模様」を思い起こす
『暗闇の世界』と名付けられたページには
床に曼陀羅が九個あり、包丁で殺された幽霊がこちらを睨み付ける
――まるで法華経の教えを破った彼女を、恨むような目で…
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【第九話】トライアンド事故 ~ Try and Human Error
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□■□■□■22:51 - 2005年11月09日■□■□■□
夜更けになると、病院に内緒で持ってきたゲーム機を取り出した
絵日記に何か嫌な思い出があるみたいだから
パーっと包帯頭の子と遊ぼうとした
ただ看護婦に見つかり、壊れてフリーズしてしまった画面
今はゲームの心配どころでなく、当然怒られた
それだけならお痛で済んだはずが
包帯頭の子は頭を抱えて座り込んでしまい、息切れしながら倒れた
□■□■□■22:58 - 2005年11月09日■□■□■□
突然倒れた彼女に、看護婦は怒りも忘れて
血相を変えて包帯頭の子を抱えて病室を飛び出した
自分はただ呆然と、誰も居ない病室で突っ立っていた
壊れたゲーム機のピー音が、更に思考回路を止める
リセットボタンを力無く押すと
さっきまで進めたプレイ画面がフリーズし、姉の名前も消えていた
□■□■□■23:44 - 2005年11月09日■□■□■□
あの子が倒れた、大事なデータも消えた、自分のせいだ、死にたい…
頭痛のような、誰かにグーで殴られたような、耳鳴りや眩暈がする
段々と眠気が襲ってくると、目の前に神父が?
「そうだ、セーブしなきゃ」
"84993 23414 01956…"
村人と会話するには「ロンゴロンゴ識別番号」の解読が必須だが
文字板によると、要するに"セーブ地点についての説明"だったはず
「会話が終わらない…ん?」
ギョアー!
振り向くと「タンガタ・マヌ」という島で信仰されている鳥人たちだ
しかし、住民が資源を伐採し尽くすあまり、怒って狂暴化していた…
「とにかくモアイ像に隠れよう」
□■□■□■23:58 - 2005年11月09日■□■□■□
一先ず、赤肌色のトーテム祭壇で手に入れた回復アイテムを使おう
☆ぶよぶよ☆
…なんだこれ、使えない
そういえば、このダンジョンのスー族は「断食の儀式」を行うのだが
もしもクエスト中、体力が尽きた場合、飢えて痩せこけてしまい
最悪、脂肪の垂れ下がった「ぶよぶよ」の死骸になってしまう
「とにかく食えるものは食っておこう…」
□■□■□■0:06 - 2005年11月10日■□■□■□
気が付くと、辺りは魔物の巣窟だった
――なにか、鳥人間に対抗できる武器は?
ピロリッピ
☆包丁☆
そうだ、早く敵やボスを倒して、データを残さないといけない
ザクッ
これは、大切なデータだから、どんなことをしてでも直さないと
ドサッ
こんなに強い武器が手に入ったんだ、また近いうちに遊んで
キョアー!
ミニゲームやボーナス要素とか
イースターエッグの隠しイベントも、まだあの子に見せてない
□■□■□■0:24 - 2005年11月10日■□■□■□
ガガ…
まだいける、あんなに頑張って作ったデータが消えるわけがない
バリッ
バグでマップが見えない…
でもメニュー画面は見れる状態だ、姉ちゃrの名前も残ってr
手に入れr武器も自慢すr為にも、持rrおかないr
包丁だけは…980夢 窓付r?スrータス表rがrかしい?
カチッ
「うゎ!」
□■□■□■0:34 - 2005年11月10日■□■□■□
薄暗い遺跡に光が差すと
「ほ、包丁が、その、データが消えて…」
その先には
「?」
いつも橙色の就寝灯が付いてて
「あの、強い武器でさ!それでバトルで助かったんだ
でもセーブできなくて…」
包帯頭の子は絵日記を描く
「…」
帰る家を思い出すまで
シャァ…
「だから、ほんとうに…ごめん」
「ここ、私のベッド…」
ストン
「あっ…え!」
ガバッ
夜中にゲームをして、深夜過ぎに気を失って
疲れが残っていたのか、彼女は倒れるように眠っていた
□■□■□■12:54 - 2005年11月10日■□■□■□
病室にこっそり持ってきたゲーム機は
看護婦の夜間の見回りときにバレてしまい
カンカンになって真っ暗な病室に怒鳴り混むもんだから
コントローラーの線を踏んでテレビが落ちて
彼女は気絶して倒れるし、ゲーム機が壊れるし
自分はというと、明日の朝にはお医者さんと親にこっ酷く叱られた
けれども昨晩は、テレビの前で…
姉と一緒に最強の武器で、ラスボスと戦ってた、そんな気がする
□■□■□■15:04 - 2005年11月10日■□■□■□
包帯頭の子が気を失うなんて思いもしなくて
ひどい思いをさせてしまった、あの後は何回も謝った
ベッドで勝手に寝ていた事を除けば、許してくれた
次は反省して「ゲーム以外の遊び」を考えよう
そういえば、夢の中で変なものを見た気がする
何だったか思い出せない…
隠し要素の載った攻略本を見れば、謎が解けそうな気がする
あと面白そうなマンガも、持って行こう
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【第十話】心象スクラッチ ~ The Hurtful of Sketch
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□■□■□■13:15 - 2005年11月11日■□■□■□
リハビリの時間が終わると
早速持ってきた本を、包帯頭の子に見せた
ゲームの裏技や隠しコマンドが書かれた攻略法が載っていたが
ゲーム機が無い今は、文字を読むだけの攻略本では退屈だった
なので、銀河鉄道の夜のマンガを読んだ
あとはテレビを見る以外に、面白いものが無くなった
「またよく分からない、芸術アートの特集番組だ…」
□■□■□■13:48 - 2005年11月11日■□■□■□
本の題名は『春と修羅』
内容は歌詞みたいに文章が短く区切られている
制作日は、1922年と随分前に書かれた詩集らしいが
平仮名が多かったので、読めないという事はなかった
私は「青い照明」であり、私は「透明な幽霊」の複合体で
ときには「おれは修羅という鬼」になるらしい…
――本人は、色んな心の変化?をスケッチしているのかもしれない
□■□■□■13:56 - 2005年11月11日■□■□■□
小説の『題名』、本の"タイトル"…
そういえば、この包帯頭の子は
「名前」がまだ思い出せないらしく、彼女の呼び名に困っていた
「よし、ニックネームを考えよう!」
そう思ったが、アイデアが出てこない…
「あっ」
そのとき、夢の中の世界で見た"主人公"の呼び名が、頭に過った…
「確か、まど…おんな…"マドンナ"だ!」
――という、RPGゲームの"ヒロイン名"が良いかもしれない
□■□■□■14:03 - 2005年11月11日■□■□■□
「今日からマドンナって呼んでもいい?」
「もな?」
「ま ど ん な って書くんだけど」
「モナが良い」
ビシッ
彼女が指差す先を、振り返ると…
こちらは1970年代に展示された、東京国立博物館にて
総入場者は約150万人に及んだ「モナリザ展」の映像です
"Mona"という呼び名は聖母マドンナから来てお…
「え?」
□■□■□■14:28 - 2005年11月11日■□■□■□
TVに自然と流れた絵画のタイトルで
あっさり呼び名が決まってしまい、どうにも腑に落ちない
今度こそ絵日記の表紙に、カッコいい名前を…
「メタル…すけち…もでぃ…ふぃ」
カキカキ… ―― 心象スケッチ ――
「えっ」
サッサッ… ―― mental sketch modified ――
「あっ…うん、それで合ってる…」
□■□■□■14:32 - 2005年11月11日■□■□■□
今日から、包帯頭の子を"Mona"と呼ぶことにしたが…
小学生に上がる前に、この国に来てからというもの
故郷で習っていた母国語は、よく分からないままだった
あとはリハビリの授業で、延々とヒラガナを書いていたので
もちろん英語は書けない
ただモナは絵が上手かったので
見たものを、そのまま「描けた」そうだ
□■□■□■14:46 - 2005年11月11日■□■□■□
芸術家の…その名前は忘れたが
「モナりざ?」を描いた人と同じくらい
絵の天才である彼女は、とびきり上手な絵の題名が
なんだか似合ってるような気がした
ケシィ… 「え!けしちゃうのっ?」
カキィ… ―― 心象スケッチ ――
「あっ、そっちにするんだ」
外国語が格好いいと思ったけれど、こっちの方が素朴な彼女らしい
モナがどうしてそれを選んだのか、なんとなく分かった気がする
【ゆめにっき考察小説】『心象スケッチ - 11月号』【monado編】
☆あらすじ☆
Pothead(植木くん)という、植木鉢みたいな頭蓋骨固定具を付けた少年が
Monado(窓ちゃん)という、包帯頭をした記憶喪失の少女が描く絵日記を…
――『心象スケッチ』と名付けて、二人で考察するゆめにっき派生小説
【心象フィルム】
http://piapro.jp/t/HRyx
【心象スケッチ - 10月号 ~ Pothead編】
http://piapro.jp/t/koE5
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