初恋メロディー 双子蜜柑 そのいち



キーンコーンカーンコーン……


授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く


部活に行く子や、教室に残りだべる子、

私は、

いや、私達は下校しようとしていた。


「リーンちょっと待っててー

俺ちょっと部室に忘れ物したから取りに行くわー」

「分かったーじゃあ校門とこで待っとくからねー

早くしてねー」

「んー」

とレンは今日は休みの部室に走っていった



今日はどうしようかな?

ショッピングモールに行ってまず服見てから、新しいお店見て、

そうだ!あそこに新しいクレープ屋ができてるから、レンとそれぞれ

頼んで交換して、そのあと上の映画館のフロアで今どんなのやってるか見て、

レンは絶対にスポーツショップに寄るでしょ。

それから…それから……

校門でレンを待っている間、これからのことに考えを巡らせていた


すると、

あっレンだ

下駄箱の所にいるレンを発見

レーンと呼ぼうとしたら、

「えっ?」

同じクラスのメグミがレンに話しかけてる?


「レーン君!」

「おっ!メグミじゃん!」

「そっ!メグミです!」

「はは!何?何か用?」

「うん。あのね、家庭科部でさ、クッキー作ったんだよね~

だから良かったら食べて感想を聞かしてくれる?」

そう言ってレンにクッキーが入った袋を渡す

「いいよ~食べる食べる。

そっか、メグミ中学と同じで家庭科部に入ったんだ~

だとしたら腕前いいの知ってるから味見する必要なくない?」

「いやいや、レン君、人に味見してもらわないと腕前は落ちるんですよ。

それにやっぱり、人においしいって言われたほうが作りがいがあるしさ」

「ん~分かった。じゃあいただきま~す」

レンが袋を開けようとすると

「わ~ここで開けないでよ!!恥ずいよ!!

やめて!!せめて学校出てからにして下さい!!」

とメグミがレンを制止する

「わかった。じゃあもらうね~」

「うん。あっ!もしよかったら今度レン君の好きなクッキー作ってあげるよ。

好きなクッキーとかあったりする?」

「ん~と紅茶クッキーっつーの?紅茶の葉っぱがクッキーに入ってるやつ。

あれ好きかな。匂いが好き」

「香りって言いなよ…

分かった、紅茶クッキーね、今度作ってあげる。じゃーね」

「じゃーね、クッキーありがと」

メグミは走って校舎に戻っていった



靴を履き替えてレンがやって来た

「おまたせ~リーン。聞いてよ、今ねメグミにクッキー貰っちゃった。

味見してって言われたからお前もメグミのクッキー食べる?

メグミって料理うまいんだよ~」

笑顔でメグミ、メグミって…

味見?違うよ…そんなのは建前だっつーの

そうゆう気があるに決まってんじゃん。

袋を開けてクッキーを出す

「おぉ~焼き立てかな?いい匂~い」

へらへらとクッキーひとつで笑いやがって!!

確かにいい匂いだけどよ…

「あっ!うまーーいっ!やっぱメグミの作るものはおいしいな~

ほらリンも食べてみなよ。はいあ~ん」

何も言わずただ口を開けると、レンがクッキーを食べさせてくれる

「うまいな~おいしでしょ?リン?」

もぐもぐもぐ…

「はいはい、うまいうまい」

くそ~上手いな…

「もぐもぐもぐ、そんでどこ行く?帰る?」

ムカッ!!

「何で?帰りたいの?帰ってメグミにクッキーの感想をメールしたいの?」

「いや、そんなんじゃないけど、何?行きたいトコでもあるの?どこ?」

「……駅の反対側のショッピングモール…」

「いいよ~じゃあ行こ~」

そう言ってレンが私の先を歩く

イラつくなぁ~

私が何に怒っているか何で分かんないの?


歩いてる間もずっと、レンはクッキーを食べ続けている

「まずどこに行こっか?お前の買い物長いから、先にスポーツショップ寄って

いい?新しいバッシュ買おうかどうか悩んでてさ~見たいんだよね」

私にもクッキーを渡してくる

「いいよ。先にレンが見たいトコに寄っていいよ…」

イライラが収まらないので

「レーン。あんまクッキー食べると晩ご飯入らなくなっちゃうよ?」

「え~大丈夫だよ~マック食べてから晩ご飯食べたことあるし、平気平気」

くそ~そうだコイツ意外と食べれるんだった…

がさごそがさごそ…

「あれ~もうクッキーないや…最後の2個しかない。

はい。リン最後の1個だよ。あ~ん」

あ~ん

「はいはい、おいしいおいしい」

「もぐもぐ、おいしかったね、リン」

クッキーの袋をカバンに入れながら

「んでリン。クッキーの感想は?」

はい?

「私も感想言うの?」

「当たり前じゃん。だってリンも食べたじゃん」



……

………

そうかコイツ結構鈍かったんだ。

レン君って純粋でいいよね~みたいなことを言う女子は少なくないが、

それは良い言い方をしてるだけで、悪い言い方をするとただのガキ。

女の子をそこまで異性として見ていない小学生低学年みたいな…



……まぁ感想は素直に言おう

「美味しかったよ。塩加減もいい感じだったよ。」

「だよね~美味しかったよね~」

ちょっとメグミが可哀想に思えてきた…

下手するとメグミは、料理の上手な人程度にしか思われてないのかも…

ごめんね…メグミ…

「俺からメグミに美味しかったって言っとくよ」

「うん。」

「今度、俺の好きなクッキー作ってくれるって言ってたからさ、

リンも一緒に食べよーね」


……

………は?


「レンが好きなクッキーって?あれ?紅茶クッキー?

何でメグミがあんたの好きなクッキー知ってるの?」

私の質問にキョトンとした顔をするレン

「いや、クッキー渡されるときに好きなクッキー何?って聞かれたから

紅茶クッキーだよーって。リンも好きでしょ?」

は?

「は?え?何?教えたのあんた?」

「え?うん」


あれは…


紅茶クッキーは……去年のバレンタインデーで、レンがいっぱい

チョコを貰ってきたから、私だけは違うのをあげようと

紅茶クッキー買ってきて、それをレンにあげて、

レンもホワイトデーに紅茶クッキーを私だけにくれて、

バレンタインデーもホワイトデーも一緒に食べた思い出のモノなのに…


それを…このバカは…


「ねぇ…レン…」

「何?どうしたのリン?」

「1発叩いていーい?」

私の気迫にきょどるレン

「は?何で?嫌だよ!痛いじゃん!」

「うるさーいっ!叩かせろー!!」

「何で!?何でだーー!!」






パチーーーン!!


ショッピングモール前の駅前に、乾いた音が鳴り響きました。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初恋メロディー 双子蜜柑その1

初恋メロディー双子蜜柑のその1です。

調子に乗ってリンの小説も書いてみました。

設定の説明として、リンもレンも高1です。15歳にしました。

ちなみにミクと同じ学校です。

閲覧数:92

投稿日:2011/11/09 13:36:13

文字数:2,800文字

カテゴリ:小説

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