白いスケッチブックに
誰かの物語を描いていた
僕が僕自身が望んだ物語に
希望なんか無くて
望んで描いた世界で
ひたすら 嘘だ 嘘だ 嘘だ!
嘆いたところで
観客は悲劇の主人公を
嘲笑っていた
真実の物語を還せと叫んだら
主人公すらいなくなって
背景が真っ黒なところで
一人立ってこちらを向いていた
君が望んだからと俺がいると
呟いて
赤い涙を流していた
違う!
こんなの望んでいたんじゃない!
誰もいない部屋で叫んで
ナイフで偽物を裂き続けた
描き損なった
ただの出来損ないに
何が分かるんだよと
怒鳴り散らして喚いて
子供の様に嘆いた
辛い! 辛い! 辛い!
助けてよ 惨めなこの僕を
裂いた絵から
黒い絵の具が垂れた
「誰が悪い」
「全て僕の意思」
「だけどこれは僕じゃない」
僕は逃げる
本当の物語を見つけるために
悲劇の主人公は焦った
早く気付け
これはお前が犯してきた
罪の数なんだ
逃げても無駄
どこまでも追っかけてくる
意思とは関係なく
さあ、笑えよ
無様な僕を
ナイフを自分に突き付け
白いスケッチブックを
赤く染めて
悲劇の主人公は闇に
沈んでいった
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