「ねぇーママぁ、あの人、眼が赤いよ。どこの国の人かなー?」
「眼を合わせないの!ささ、教会に行きましょう」
少年はその親子の背後に目を向けるとギロリとにらんだ。しばらくして綺麗な賛美歌が流れ出す。少年はコブシを握り、教会へ向けた。そして、その手を開いた瞬間…
_教会は跡形もなく消え去っていた。残ったのは呪いの様に大地に大きく刻まれた
“ ムクイダ ”
と言う、恐ろしながらも寂しげな文字だけだった。
****
「あの教会が一晩で消えたらしいですよ?」
「まあ、それはそれは…」
「誰かが神の怒りでも買ったのかしら…?」
俺がいろんな人を行きかう中、耳にしたのはそんな噂ばかりだった。
俺が誰かって?
んなの「汚れた人間の血」と「漆黒の悪魔の血」の間に出来た出来損ないの生物さ。
人間と悪魔。本来ならば決して交わってはならないと言うおきてを破り、俺が誕生した。
この世界の破滅は俺の手の中さ。
背中には漆黒の羽、赤い瞳に鋭い牙、それらを隠せば人間には見える。
だが、秘密がばれれば火あぶりにもされかねない。その時は地獄の業火で焼き払ってもかまわない…だが、いつもそのたびに胸に穴が開くような感覚に襲われる。だから、なるべく人間に溶け込まなくてはならない。
昨日の事件の犯人は…俺だ。
本能なのか、嫌な事が起こると毎回体が勝手に動き、多くの命を奪う。
もう、いやだ……。
ふらつく足元に注意しながら、俺は神に助けを求めるように教会に足を踏み入れた。
そしたら…
「ぁ…っ…」
少女に出会った。金髪の美しい少女に。
自分の鼓動が早まるのが分かる。
一目ぼれ…かな。
少女は俺に気づくと急いで涙をぬぐって挨拶した。
「えーと…。こんにちは。この辺では見かけない方ですね…。旅の者でしょうか?」
えっ…、旅をしている訳ではないが、歩きながら村を潰してるからナァ…。どー言えばー?
「ぁ゛…いきなりすみませんっ…名乗りもしないで!えーっと…焼かれた教会の牧師の娘ですっ…」
え…、昨日の……。ってことは、身内が全員…!少女は心配をかけないように下唇をかんで必死で涙をこらえていた。
胸の奥がチクンとした。
俺は改めて自分のやらかした事の重大さを知った。あの時、人を殺したときに感じた感覚と一緒だ。
…たぶん、この心の傷は一生消えないだろう。
****
幾年がたち、
数々の村を潰してきた少年は、喜怒哀楽の心を持つ立派な青年になった。
一方、一人生き残った少女は、村一番の美を誇る無邪気な女性になった。
「リンっ!言われてた薬草、持ってきたぞ!人をこき使いやがって!」
「ごめんごめ~ん❤それより早くこっちに持ってきて。この子の傷が悪化しちゃうでしょ?!」
「う゛…、わ―――ったよ!」
リンは俺から薬草を奪い取ると、手当てを始めた。
「うーわっ、手際良っ?!」
「ふっ、村一番のお医者様の弟子をナメンなよ?」
「はあ?それどーゆー意味よ?俺も弟子だぞ!!」
まあ、そういうことだ。
これから先、どうすればいいか分からなくなった俺は、行く当てもないリンとさ迷ってたら、お医者様に拾われたのだ。
まあ、恋に落ちた身だしー?一緒に過ごせる毎日が楽しかった。
幼稚園児レベルの言い争いをしていた俺は、ふとした急用を思い出した。
「リン、ごめん!急用思い出した!ちょっくら行くって来るわ!」
そしたらなんとリンが、
「え~、リンも行く~~!」
…と、ダダをこねてきた。困ったゼ…。
で、でもっ!
「じゃっ!」
逃亡した。
だってリンが着いてきちゃ意味ないんだもっ!
****
「わーお。クリスマス一色…」
綺麗だ。道沿いにはたくさんの小さい店がおしゃれをして並んでいる。
明日はリンの誕生日なのだ。
「何がいいかな…」
大体プレゼントを贈るなんて経験、人生初だからナァ。
そしたら、ふっと、ある店が目に入った。
「テディ・ベアなんてどうだろう?あ、でも16でぬいぐるみってのはどうかと…………ま、まさかっ!思いっきり引かれたりして…?!んなのいやだああああああああああああああああああああああああああああああああぁ!!!!!!」
「お母さん…、何-、あの人?おもしろーい!」
「しっ、見ちゃダメよ!!!」
無意識に頭を上下左右に振ってたら、ある店に目がとまった。
「決―めたっ♪」
リン、喜んでくれるといいな。
****
午後5時に俺たちが出会った場所、そう。あの教会にリンを呼んだ。
「あと10分かぁ。そろそろ行くか!」
どうしたのだろう。
リンがまだ来ない。時間でも間違えただろうか?
10分、20分、30分と時間だけが過ぎていった。
さすがに疲れていって、前の椅子の背もたれに倒れこんだ。そのとき、高いソプラノ級の声がした。
「やっぱり…レンだったんだね」
「リンっ!」
俺は笑顔で振り返ったが、次の言葉で硬直した。
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