「なぁ、リン。」
少年は少女、リンに問います。
「本当にこんなところに服を着て時計を持って走るうさぎを見たの?」
「レンは私のことを信じられないというの!絶対ココで見たんだから!」
リンは少年、レンに怒鳴ります。
「でもなぁ………いっ!」
「なんですって~~~?」
リンはレンの頬を引っ張ります。
「い、いふぁいよぉ~……?」
レンはリンがどこかを見ていることに気が付きます。
「……あっ!レン、あそこに服を着たうさぎが!」
「リン…手、手をふぁなして」
うさぎを追いかけようとするリンにレンが言います。
「あ、ごめんごめん。レンも追いかけるよ!」
リンとレンはうさぎを追って、ある大きな木の下に来ました。
「うさぎ、どこ行ったのかな?」
リンはあたりをキョロキョロ見わたします。
「あ、リン。ココに穴があるよ。」
レンは木の下にできた穴を指差します。
「え、あ、本当だ!まるで不思議の国○アリスみたい!」
「本当だね。ってリン!?」
リンは穴の中に入ってしまいました。
「ちょっと待ってよ!」
レンも続けて入ります。
気が付くと二人はある扉の前にいました。
「すげ~、本当に不思議の国○アリスだな。」
「だね!じゃぁこの扉に入るには小さくならないといけないのかな?」
周りを見わたしますがリンの思っているようなものはひとつもありません。
レンが扉を調べます。
扉にはドアノブなどがなく押せば開きそうです。
レンは扉に手をあてるとリンも手をあてました。
「なんだかわからないけど、こうしたほうがいいと思ったの。」
リンは疑問そうな顔をしていたレンに言います。
スウッと扉が開き二人は中へ入って行きました。
扉の中は見たことのない街の中でした。
振り向くと扉はありません。
「すっご~い!」
「本当に不思議○アリスみたいだね。」
「……でも、なんだか鉄の錆びた臭いがするよ、レン。」
「本当だね。探してみようか。」
二人は歩き出しました。
少し歩いたところに、真っ赤な道があり、どこまでも、どこまでも続いています。
「なんだろうこの道?」
リンはレンに聞きます。レンは赤い道に近づき赤い道にさわります。液体で出来ているようです。
「…血…みたいだね。臭いはこれが原因みたい。」
「えぇ!血!?気持ち悪い…。でも、この道、どこまで続いてるのか気にならない?」
「うん。それに、さっきから気になってたんだけど、この街、ものすごく静かだよね。」
「そういえば、そうだね。」
リン、レン以外に外に出ている人がいない。
家にいるとしても物音がまったく聞こえない。
「もしかしたら、この血の道はこの街の人たちの血だと思うんだ。それでも見に行く?」
「うん!だって気になるもん!」
「決まりだね。リンならそういうと思ったよ。さぁ、行こっか。」
「うん!ってか、そんなことで私が怖がるとでも思ったの!」
などという会話をしながら二人は赤い道を歩いてゆきました。
いろんな街を歩き、森を越え、また別の街を歩く。
けれども、行く先行く先でも、まったく物音がするどころか、人の気配がまったくないのです。
「なぁ、リン。」
「ん?」
「まさかだけど、この血の道はこの国の人々の血じゃないのかな?」
「ってことは、国の人々は、もういないってことだよね?」
「それは違うと思う。だって、この道はずっとつながってるだろ。だから、人々を殺した人間がいると思うんだ。」
レンは手を広げ
「それに、もし何かの伝染病で人々が死んだのならば、この道は出来なかったと思うよ。」
「じゃぁ、この道はこの国の人々を殺した人が通った道なんだね!」
「多分ね。」
そう、この道はこの国、この世界の人々の血だったのです。
ですから、どこへ行っても人の気配がしないのです。
それでも二人はひるむことなく道を進んでゆきました。
ある森に入ると、道の上に木のツルで捕まった女の人がいました。
髪にはつやがなくなり、目には光が宿っていません。
「……あ…なた…たちは……?」
女の人は弱りきったガラガラの声で言います。
「私はリン!こっちはレンだよ!あなたは?」
女の人は
「わ…たし…は…メイ…コ…。……あ…なた…たちは…どうやっ…て……ココ…へ……?」
女の人は血を吐いて咳き込む。
「だ、大丈夫ですか?」
女の人はうなずき、
「……は…やく…逃げ…なさ…い……。わ…たし…が……あ…なた…たちを…ころ…して…しまう…前に…」
「!メイコさんがこの国の人々を?」
「早く逃げなさいって言ってるでしょ!」
女の人が叫んだ後、すぐに吐血する。
二人が逃げようとすると、後ろから二人の体に向けて回りの木のツルがとんできました。
「何よ!これ!」
「…あの、メイコさん。」
リンが叫ぶ中レンは冷静に、
「あなたはどうしてココにいるんですか?」
「わ……しは…連れて……こられ…たの…。」
「誰にですか?」
「わ…から…ない…。」
「そうですか。僕達は服を着て時計を持ったうさぎを追いかけて来ました。」
「!」
女の人は目を見開いたかと思うと
「何処にいるのよ!出てきなさいよ!…っ!」
と、誰かに叫ぶように言います。
次第に女の人の声は弱まり、ついには聞こえなくなってしまいました。
「メイコさん?」
リンは言います。
「…死んでるみたいだね。」
「うそ!」
「本当だよ。僕達もココで死ぬのかな?」
「そんなっ!」
こんなことを言っている間に二人の体に巻きついているツルがさらに体を縛り付けます。
数分後には、痛さのあまり気を失ってしまいました。
「うぅ……あれ?ココはさっきの…ってリン!」
レンは周りの景色を見た後叫びます。
「っ~ん。なぁに、レン?」
リンはレンの隣で眠っていた。
「よかった、リンがいなくなったかと思った。」
「そうなの?」
「うん。でも、僕達あの扉の中に入ったよね?」
レンがある扉をさす。その扉は確かに二人が入った扉なのだが、赤くスペードのマークが書かれている。
リンが近づいて開けようとしますが開きません。
「あ、リン。」
レンが手招きをします。
「ココに扉があるんだけど、さっきはなかった…よね?」
「うん、なかった。入ってみよっか?」
とリンは扉に手をあてる。
すぐにレンの手をあてるとスゥッと扉は開き二人は白い光に包まれました。
二人が目を開くと、今度はバラの咲いている公園。
先ほどと同じで後ろには扉がない。
「あ!」
リンが突然叫びます。
「な、何?」
「あ、いや…、私たちさっきの部屋にいつの間に戻ったんだろ?」
「…そんなこと?それは僕も気になってたけどさ…まぁ、いいんじゃね?」
「そうだね。」
「さて、今度は何があるんだろうね。」
と、二人は歩いて行きます。
少し歩いたところに、小さな机がありました。
机の上にはティーセットと小さな紙切れ。
紙切れには『ご自由にお飲みください』と。
「飲んでいいのかな?」
「いいだろ。ご自由にって書いてるんだし。」
とレンはいすに座る。
リンもうなずいて……うなずいたままの体制でどこかを見ています。
「…リン?」
「…こんなバラってあったっけ?」
リンは白いバラを指差す。
そのバラにはところどころに赤い液体が付いている。
「分かんないや。」
「ん~~~~。まぁいっか。」
とリンもいすに座り紅茶をすする。
「さて、何処に行こっか?」
レンが言うと。何処からか歌声が聞こえて来ます。
「この歌を歌ってる人を探しに行こうよ!」
とリンはレンの手をとります。
「そうだね。」
レンが言うとリンはその手を引いて走り出しました。
「痛い、痛いって!リン!自分で走れるから!」
レンは涙目で言います。
リンは立ち止まると、
「ココ、迷路みたいでめんどくさい。」
とあたりをキョロキョロします。
「あそこに登ればいいんじゃない?」
レンは塀を指差します。
「それは、考えもしなかったーー!」
とリンは目を白くさせます。
レンが塀に上ろうとするとリンが先にヒョイッと塀に登り、レンに手を差し出す。
「ありがと。」
塀に登るとすぐ近くに人だかりが出来ています。
歌っているのはその人だかりのようです。
二人が近くまで行くと人だかりは死体を囲んで歌っているようです。
「なんだか気持ち悪いよ。」
リンが身震いをします。
すると人だかりはこちらうを見て
「森の小道を辿ったり 薔薇の木の下でお茶会 お城からの招待状は ハートのトランプ」
と歌いだしました。
それも同じ歌詞を何度も何度も…。
「レン、気持ち悪いから行こ!」
レンがうなずくと目の前に入ってきたときの扉が現れました。
二人は急いで中へ入ってゆきます。
中は先ほどの部屋でした。
先ほどの扉には青色でダイヤのマークが書かれていて開きません。
二人が周りを見わたすとまた、さっきはなかったはずのところに扉があります。
二人は自然に手をつなぎ扉に手をあてます。
その扉の中はまた、見たことのない町でした。
少し向こうにはお城が見えています。
「また、町だね。」
「うん…。でも、最初の町と違うのは、赤い道がないのと…」
「人がいて賑やかなこと、でしょ!」
「うん。」
二人が話してると、
「…………」
二人の間に緑の髪のショートカットの女の子が入ってきました。
「あぁ、ごめんごめん。」
後から黄の髪の女の人と白い髪の女の人が走ってきます。
「あ…あの……すみません。」
白い髪の女の人は頭を下げます。
緑の髪の子はトランプを取り出すと二人に差し出す。
「あ、それ、もらってくれ。」
黄の髪の人は言う。
「え……あ、はい。」
リンが受け取ると、レンが険しい顔で
「あなたたちは誰ですか?」
と、リンを守るように立って聞く。
「あ…すみません。私たちはお城の者です。このトランプは、王女さまが亡くなられる前にあなた方に渡してほしいと預かったものです。」
「僕たちに?」
「はい…」
白い髪の人はどこかさみしげな表情で言う。
「…ねぇ、どうしてこの子は喋らないの?」
リンは緑の髪の女の子を指して言う。
「リ、リン!」
レンはリンの腕を下ろすが三人は気にせず、
「あぁ、グミは、ミクが亡くなったショックで喋らなくなったんだ。」
「ミク?」
「この国の王女様の名前です。あの方は…とても良い人でした。人々からは愛され、街に行った時は必ず歌を……。まさか、あんなことになってしまうなんて……。」
リンとレンが首をかしげていると
「………確かに……渡した……………――――――。」
グミ、という子はかすかに口を開くと、人ごみの中に消えて行った。
「グミ!」
黄の髪の人と白い髪の人はその後を追って行く。
二人の頭の中の疑問は消えてはいなかったが、少し、沈黙が続いた後、先に口を開いたのはリンだった。
「……ハートのクイーン?えっと、招待状みたいな意味だっけ?ってことは…お城に来てください…て意味かな?」
「うん。そうだけど……このトランプの王女様、悲しい顔をしてるから来るなって意味じゃない?」
「そうなのかな?」
「う~ん。でもな~、何で王女さまが亡くなったのか気になるし……。」
「レンの考えすぎなんだよ!さぁ、行こ!」
リンはレンの手を取って走りだします。
「わ、わかったから、手を……は、はなして、痛いからぁ。」
と、涙目で言うレンであった。
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裏方くろ子
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