「じゃ、また!」
展示会の会場に飾る小物を買いに、「上海屋」にやってきた、ぱみゅちゃん。

買い物を済ませ、しばらく歩いていると、楽しそうな話し声がした。

向こうから、兄弟のような2人連れが、お店の方にやってくる。
「あ、レンくんとリンちゃんだ」

彼女は思った。
「レンくん、この前あそこで買った“ココロテレビ”に、なにか映ったのかしら?」

もう1度店に戻って、確かめたかったけれど、けっきょく、戻るのはやめにした。


●「鑑定団」に寄ってみる

ぱみゅちゃんは、寄り道をして、リサイクルショップの「鑑定団」というお店に寄った。
「鑑定団」の売り場には、なじみの店員の、千石ノブ子ちゃんがいる。

「こんちには、センゴクちゃん」
「あ、ぱみゅさん。いらっしゃいませ」
センゴクちゃんと呼ばれた、小柄な彼女は、にっこりと挨拶した。

ここは雑貨や古本など、いろいろ面白いものが置いてある、リサイクルショップ。
売り場を眺めて、ぱみゅちゃんは小さいクリップを買った。

レジで会計を済ませると、店の奥から少年が出てきて、言った。

「ノブ子、そろそろ店番、代わろうか?」
「そう?ありがとう、コヨミ兄貴。じゃ、ちょっとよろしくね」
センゴクちゃんは言った。

ぱみゅちゃんは、売り場をはなれた彼女を、隣にあるカフェに誘った。
そして、ちょっと“ココロテレビ”のことを、話してみた。


●“ココロテレビ”っていうのは...

「ふうん。不思議なモノだね。その“ココロテレビ”って」
センゴクちゃんは、話を聞いて、言った。

ぱみゅちゃんは聞いた。
「ね、いままでに、古道具とかで、そんなモノの噂とか、聞いたことある?」

「うーん、ないわね。占い玉なんかは、置いたことがあるけど。でもね、きっと」
彼女は言った。
「きっと、心が映るっていうのは、レンっていう男の子の心を、その妹さんが“言い当てた”ってことかもヨ」

「妹さんが、心を言い当てた?...」
ぱみゅちゃんは、聞き返した。

「うん。だって、普段、雑貨が好きでもない人が、不思議な雑貨を買ってくるのよ」
「うん」
「で、じっと、それを見つめてる。これは、誰かに心を奪われているカンジだヨ」

「そうか。じゃ、上海屋のマスターのりりィさんは、レンくんのそんな様子や、妹がそれを気づくことも、読んでいたんだ」
ぱみゅちゃんは、手を打った。

「たぶん、ね。だって、そのココロテレビを売る前に、自分の妹の話をしたんでしょ、レンくんって子は」
「そうね」
ぱみゅちゃんと、センゴクちゃんは、うなずいた。


●人を引きつけるマジック

センゴクちゃんは言った。
「面白いね。そのりりィさんって店長さん。人を引きつけるマジックがあるなぁ」

ぱみゅちゃんは、うなずいた。
「うん。変わった人だよ」

「そうだ。こんど、コヨミ兄貴をつれて、その“上海屋”さんに、行ってみよう。ウチの兄貴もね、“霊感がある”ってウワサなの」
センゴクちゃんは言う。
「へえ、コヨミさんって、さっき鑑定団のお店にいた方?」

ちょっとびっくりして、ぱみゅちゃんは思った。
「あれ、りりィさんのお店、またお客が増えそう。けっきょく、彼女のマジックって、すごいなぁ」
(ノ゜ο゜)ノ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌 (118) りりィさんのマジック (レンくんと、星を売る店Part4)

とりあえず、ココロテレビの話は、ひと段落です。でも、雑貨やグッズを通じて、人といろんな話をすることって、楽しいですよね。

閲覧数:83

投稿日:2011/08/27 19:49:11

文字数:1,357文字

カテゴリ:小説

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    把握! 前回の最後の一文の意味、理解しました。
    良いですね、とても温かいです。最後近くの
    >「面白いね。そのりりィさんって店長さん。人を引きつけるマジックがあるなぁ」
    というセリフに共感すると共に、作品自体にも引き付けるマジックがあるように思いました。引き付けられました。良かったです!

    2011/08/27 23:13:39

    • tamaonion

      tamaonion

      日枝学さん

      読んでくださって、有難うございます!

      この話に出てくるような、雑貨やグッズは、
      必需品とは違って、店の人との楽しい会話で、買ったりする人が多いみたいです。

      >人を引きつけるマジックがあるなぁ」
      というセリフに共感すると共に、

      セリフに共感するといってもらえて、嬉しいです。
      お店の会話を、文で表すのは、難しいですね(笑)

      日枝さんのメッセージがきっかけで、連作を書いてみましたが、
      とてもいい経験でした。(^^?)

      また、感想を聞かせてください!


      2011/08/28 01:15:28

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