・・・まずい。これは非常にまずいなぁ。
現在位置はぁ、トンネルと思しき暗闇の中。
携帯はぁ、圏外を表示した直後電池が切れちゃった。
「あははぁ」
うん、笑いたくもなるよぉ。

ワタシ、迷子になっちゃいました～
とりあえず、どっかに歩いてみよう。
あのお馬鹿な家出少年を捜しに。




『家出少年と迷子少女』



ある朝、キミは突然姿を消しちゃったのです。
少し変わり者なキミの奇行―――周りからすれば少しどころじゃないし奇行もビョーキのレベルらしいけど、そこは惚れた弱みなのです。えへへ―――は、たまに理解し難いんだよなぁ。
でも、皆はいっつもわかんないって言ってたっけ。
キミのいちばんの理解者はワタシなんだよ？

そういう所を改善してくれれば、グミお姉さんはもっと大好きになれまぁす。
学校に行くと、皆があの子の悪口言ってたの。
また、何かやらかしちゃったんだろうな。
だけど、モンダイジで幼なじみなキミを放って置けるワタシじゃないし、何よりカレシを悪く言われるのも大っ嫌い。
という訳で、

えすけーぷ・ふろむ・ざ・すくーる！

学校、飛び出しちゃいました☆
こうなったら、キミを捕まえに行くよ。
まったく、どこに行ったのやら。



・・・トンネルを出たのはいいけど、ここはどこ？
こんな街、ワタシ知らないよぉ。
キミだって、あちこち捜しても全然見つからない。
そんな悪い子なんて、嫌いになっちゃうもん。
勝手にいなくなるなんて、そんなの許さない！


高架橋の下とかにいないかな？
でも、キミの代わりに落書き見つけちゃった。
一応秩序はあるんだけど、サイアク。
キミを見つけたら、頬を叩くくらいはさせてもらおう。
「心配したんだからねバカ」ってお説教するの。
心細いもん、ちょっと涙ぐむかもしれないね。


こんな街なんて全然全く知らないけど、きっとこの街のどこかにキミがいるんだ。
こうやってうろうろぺたぺた歩いてたら、迷子に見えちゃうのかなぁ。
鏡の中のワタシは、泣きそうな顔しちゃってます。
せんせー、どおしてワタシは泣きたいんですか？
はい、それはキミがいないからです！
こんな顔、かっこ悪いなぁ。
キミが手を引いてくれないと、困るんだよなぁ。
ワタシがすぐ迷子になるの、知ってるでしょ？

早く、キミに会いたいよぉ。