「何があっても、僕は君を守る」


その誓いを立てたのはいつだろう。
君を守るためなら、僕は悪にだってなる。
それくらいの覚悟が、僕にはできていた。


かつて、僕と彼女は引き離された。
自分の出世のためだけに、大人たちは僕らを利用した。
自分たちさえよければ、僕らの幸せなんかどうでもいい。
それがきっと、周りの大人たちの考えだった。

彼女は、とても優しかった。
僕ととても気が合って、いつも一緒に遊んだ。
ときにはイタズラをして、回りの大人たちを困らせたりもした。
僕は、彼女が大好きだった。

引き離されて時が経ち、再開した時には、優しい彼女の面影はなくなっていた。
周りの大人たちのせいで、彼女は変わってしまった。
優しかった彼女は、傲慢で愚かな『悪ノ娘』になってしまった。


それからいろんなことがあった。
嬉しいことや楽しいことがあった。
悲しいこともたくさんあったけど、それでも僕はこうして生きている。
今では最高の『仲間』である大人たちと共に、日常を過ごしている。
彼女も、『仲間』のおかげで、もとの優しさを取り戻した。
新たな人生が始まっても、やっぱり僕はあの誓いを胸に、毎日を送るのだろう。

ねぇ、リリアンヌ。僕は絶対に、いつまでも君を守る。
だから、君は安心して、すぐそこで笑っていて。
それが、僕の生きる意味なのだから。








<<【七つの大罪】アレンといつもの忘年会【二次創作】>>








「皆の者、準備は良いか！」


扇子を手にしたリリアンヌの声が響く。


「お酒の準備は！」
『『できてます！』』
「宴の準備は！」
『『できてます！』』
「新企画は！」
『『バッチリです！』』
「芸の準備は！」
『『できてません！』』


リリアンヌの呼びかけに、皆が謎の大合唱。
もちろん、僕も合唱に参加してるけどね。


「罰ゲームは！」
『『楽しいです！』』
「大根おろしは！」
『『ぶっかけます！』』
「バナナで釘は！」
『『打てません！』』
「Are you ready？」
「3,2,1！」

「第十二回『追加でシャンメリーお願いします雑談会』、きゃっきゃうふふな忘年会スペシャル！」
「イエー！」
「ドンドンパフパフ！」


以上、タイトルコールでした。
いつも思うんだけど、このコールっておかしいよね、いろいろと。
あとタイトル。『追加でシャンメリー(ry』なんていうタイトルは絶対おかしい。
十二回もやってるから、今更タイトル変えるわけにはいかないけどさ…


「さて始まりました『追(略)雑談会』、今回も司会は私リリアンヌが務めさせていただきます！」
「アシスタントは僕、アレンが担当します！」


このテレビ番組的なものもなんとかならないかな。
ここ王宮の鏡の間だし、いるのは僕ら八人だから観客はいないし。
時間とスペースを無駄にしている気がする。


「それでは今日も張り切っていきましょー！乾杯！」
『『かんぱーい！』』


大人達はバニカさんが持ってきたワインを、僕とリリアンヌはシャンメリーを。
シャンメリーの蓋は美味しく(？)調理したので、今回は普通に開けることができた。


「この番組は、冥界の主がまんじゅうの提供でお送りします！」


オープニングはこれにて終了。
この提供がおかしいと思うのは僕だけかな。
ツッコミ担当の二人が、今日はまだ一回もツッコミを入れてないと思うんだけど。
気のせい？


「そういえばさ、一昨日のことなんだけど、あのコック帰ってきたのよ」
「帰ってきたんだ。何しに来たんだろう」
「なんかね、冥界の主に『究極の料理を作りたいんです！」って弟子入りして、修行してきたらしくて」
「なんで冥界の主!?」
「で、なんかね『バニカ様に満足していただける料理が作れるようになるまで私は帰りません！』って言ったらしいわ」
「めっちゃくちゃいいヤツじゃんか！」
「でね、昨日ね、丸ごとなくなってたワイン貯蔵庫が元に戻ってたのよ」
「丸ごと!?ワイン1325本全部じゃなくて、倉庫ごと持ち出してたの!?あのコック!!」
「でね、ワインが1325本から7950本に増えてたわ」
「六倍になってたの!?ってか、一人でそれ数えたの!?」
「冥界の主に、『じゃんけんの必敗法を教えてくれたお礼！』って増やしてもらったんだって」


バニカさんのトークに、サテリアジスさんがツッコミを入れていた。
うん。ツッコミどころが満載だ。
必勝法ならともかく、必敗法ってなんだろう。
必ず負ける方法かな？確かに、冥界の主は異常にじゃんけん強いけどさ。
負けたかったの？じゃんけん。


「じゃあ、今回の企画発表します！」
「イエー！」
「今回の企画は…ダララララララ、テーン！(謎のドラムロール)
　『もし自分が死ぬなら、どんな言葉を遺すか』です！」
『『なんか縁起悪ッ！』』


今回の企画の担当者は、カヨさん。
ちなみに各回ごとに企画が違うけど、サテリアジスさんは企画には参加できずツッコミを入れることしかできない係を押し付けられている。
やっぱりおかしい。いろんな意味で。


「トップバッターはグミナさん、どうぞ！」
「はい！私は『もしやり直せるなら、だって？そんなこと聞く人には、必殺かもしれない技をおみまいしようかなあ、なんて』です！」
「怖えよ！」
「ちなみに今ならレミントンＭ３１で撃ってあげますが、どうでしょう？」
「『どうでしょう？』じゃねえよ！」


そしていつものように入る、サテリアジスさんのツッコミ。
今回はリリアンヌはツッコミをしないのかな。
今日まだ聞いてないよ？」


「二番手、バニカさんどうぞ！」
「私は『我が人生に…悔い、あり……(ガクッ)』を言ってみたいです」
「悔いあるのかよ！」
「だってまだたくさん食べたいもん！」
「散々食ったろ！」
「ちなみに私なので『喰い』とかけてます」
「やっぱりお前の未練は食うことか！」


人生でどれだけ食べるつもりだろう、バニカさんは。


「三番、マルガリータさんどうぞ！」
「私は『眠りなさい、そして私も眠るのよ…この、プロレス技verのgiftで……』ですかね」
「どういうことだよ！」
「説明しよう！プロレス技verのgiftとは、以下略！」
「考えてないだけか！」
「違うわ、説明するとすごく時間かかるのよ。アレンには15時間34分かかったわ」
「マジでやったのかよ！アレンがすごく可哀想な気がするよ！」


うん、確かにあれは凄かった。
地獄と言っていい程の精神攻撃だったよ。
giftも頭にくらったし、その日はマルガリータさんがgift入りの大根をぶっかけてくる夢を見たよ。
もちろん悪夢だよ。


「四番、カヨさんどうぞ！」
「私は『ええ!?ここではブロッコリーがこんなに安く買えるんですか!?私、てっきりロードローラーで買うんだと思ってましたよ！』です」
「なんでここでブロッコリーをチョイスしたんだよ！」
「ちなみにバタフライナイフverもありますよ」
「なんでそんなのあるんだよ！」
「説明しよう！バタフライナイフとは…なんだっけ？」
「フォールディングナイフ（折り畳みナイフ）の一種で、キャンプ、登山などの携帯に重宝するナイフだよ……」


なんでサテリアジスさん説明できるんだろう。


「五番、アレンさんどうぞ！」
「僕は『所詮、人生なんてこんなものか……(さくっ☆)』です」
「何があったの!?しかも最後の音は何!?」
「昔、雪だるまの中に埋められた時に言ったセリフです」
「もう使用済みかよ！」
「最後の音は、僕も知りません」
「いやお前も知らないのかよ」


だって本当のことだもん。


「六番、リリアンヌさんどうぞ！」
「はい、私は『ありがとう』です」
「おお、やっとまともなのがきたな」
「今までお世話になった方たちへのお礼を、その時に言いたいです」
「ええ子や…ホントに、ええ子やなあ……！」


さすが、リリアンヌは本当に優しい子だよね。
でもサテリアジスさん、どうして関西弁っぽくなってるの？


「えー最後、ガレリアンさん」
「私は『貧乳に興味はない』です」
「…よくも王女を侮辱したわね……その者の首をはねてやる！
　皆、どいてなさい……必殺、王女式制裁術『ゆっくりしていってね☆』！！」
「いや君に言った訳じゃないからちょっと待ってってぎゃああああ！！！！」


ガレリアンさんは、リリアンヌによってしばかれた。
ガレリアンさんは戦闘不能、出番は以上。
『ゆっくりしていってね☆』……なんて恐ろしい技なんだ。
あのガレリアンさんをgiftよりも速く、一撃で倒すなんて…。
まあ、技の名前はおかしいけど。


「……私たちが手を下すまでもなかったわね」
「今のはヘタレアンの自業自得のような……」
「よし、今のうちに大根をぶっかけよう」
「待て、ついでにハンマーを頭に乗せとこうぜ」


サテリアジスさん、本当にガレリアンさんはどうでもいいんだね。
ハンマー頭に載せるとか言ってるし。どれだけ嫌いなんだろう。
あとマルガリータさん、あなた大根ぶっかけるのマイブームなんですか？
ここ数日、毎日聞いているような気がするんだけど……


今日も、僕は心の中でツッコミを入れまくりである。
まあいいか。これが僕の日常なんだから。