「うわ、暑い。ってここは近くの公園?」
遊んだし、泣いたし。いろんな思い出がある公園。
だけど、今あるはずの近代的な建物はなく、自然が広がっていた。
そしてそこで遊ぶのは・・・幼い僕と両親。
「父さん・・・。母さん・・・!」
久しぶりに両親の姿を目にして、思わず駆け寄る。

「和人ー!落ちるわよー!」
「大丈夫だよ母さん!ってうわわわ!」
「あっ、危ない!」
「和人、危ないだろう。さぁ、お父さんと一緒に遊ぼうか。」
「うん!」
あぁ、この瞬間をいつまでもって、何回も祈ったな・・・。
けれど、あと少しで・・・話せる・・・!
いままで話せなかったこと、いっぱい話すんだ・・・!

前を見ると、駆け回っていた幼い僕が近くまで来ていた。判断が遅れ、ぶつかりそうになる。
「あっ・・・!」


確実にぶつかったはずだ。
気づくのが遅すぎたはずだ。
僕の脚に、強くぶつかったはずだ。

なのに・・・なのに・・・。
「僕にぶつかっていない・・・?」
なぜ?なぜ・・・?
ああ、行かないでよ。父さん、母さん・・・!

必死に追いかけて、追いかけて。
必死に名前を叫び、叫んだけれど。


―――僕の存在は、認識されていない。
認めたくない事実に、頭が真っ白になる。
「嫌だ、嫌だ。もう、一人ぼっちは・・・嫌なんだ!」
目に焼き付くような夏の青い空と白い雲が、一瞬で夕暮れに変わった。

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Black dusk 第2章-2

夏休みだねぇ・・・。

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投稿日:2014/07/21 16:15:21

文字数:586文字

カテゴリ:小説

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