人魚姫(マーメイドプリンセス)


人魚は人間に憧れていました。
海しか行き来の出来ない彼女と違って、
彼等は陸を踏み、海を渡り別の大陸へも行け、人魚のいる海にさえ潜る事もできる。
彼等は明らかに人魚より自由に世界を回れている。

もっとも憧れたのが人間の「女」

それには二つ理由があった

1つ目。
綺麗な衣装に身を包み、宝石を首、耳、髪、服等に装飾させ、
キラキラと美しく輝いている。
少なくとも人魚にはそれが神々しく見えて仕方ない。
自身を美しく輝かそうとする姿は人魚にとって宝石と同じ。
人魚も人間の女みたいに「宝石」になるのが夢だった。
2つ目。
人間の男に恋をしてしまったのだ。
出会いは人魚が彼を海で助けたのが出会いだった。
彼は現在の王の影武者的存在だと言い、現王に間違われ殺されかけたの事。
その日を期に彼は人魚のよくいる海へ出向き、
人魚に今日合った楽しかった事、辛かった事、悩んだ事。
まるで親しい友に話すように色んな事を人魚に伝え教えた。
もちろん私情のみならず、人魚の知らない知る限りの陸の事も。
話す彼の口調はとても優しく、人間でない人魚に恐れる事もなかった。
そんな彼の優しさに人魚は惹かれ恋をしてしまったのだ。

しかし彼女は「人魚」

「人間」ではない彼女には叶わない恋だった。
それでも人魚は彼が愛おしくて、いつもいつも彼が来るのを待ちます。
待つ度に彼は来て、優しく、楽しく、幸福な時間が続きました。

或る日、彼が来ない日が続きました。
人魚は寂しさと悲しさと共に「やっぱり人間といる方が楽しいのだわ」と、
思いつつもいつもの場所で彼を待ち続けました。

待ち望んだ彼が来たのは来ない日が続いて1ヶ月後の事。
人魚がいつものようにいつもの場所に顔を覗かせると、
そこには傷と血だらけの彼が岸に横たわっていた。
人魚は驚きに目を見開かせ、すぐさまできるだけ彼の近くに来ようと、
岸まで近づいて彼の名を呼び続けます。
呼びかけに答えるかのように瞳を開いた彼の焦点は定まらず、
ただ人魚がいることだけがわかったかのように微笑んだ。
「また間違われちゃった」と力無く笑う彼はこう続けた。
「結局死んでも私はこの世に無かったかのように黒歴史へ葬られる」
人魚は首を横に振りながら言います。
「貴方は私の王子様。貴方が黒歴史へ葬られても私は貴方を忘れない」
眼から落ちる涙は砂浜に落ちる頃には真珠となり、
人魚と彼の周りには宝石が散らばっていた。

息が絶える直前、わずかに聞こえた遺言
「君が好きだったのに」

人魚は泣きました。
綺麗な青い瞳が赤い瞳になる程に泣きました。
美しい白い肌は彼の血で汚れ、声がかすれるまで大声で泣きました。


その翌日。
一部が知る「影武者」のおかげで王を狙う者の正体が突き止められ、
国はまた幸せな栄光を築く事になりました。
人魚の世界は闇の淵に落されたまま・・・・・







とある人魚がとある王子に恋をしました。
人魚は王子と共に歩きたいと、「人間」に憧れました。
そんな人魚に魔女が囁きました。

「貴方の声と引き換えに貴方を人間にしましょう」

かすれた黒い声

「でも条件があるわ。人間と恋が実らなかったら、
貴方は泡となり消えてしまうでしょう」

それでも構わないと人魚は頷きました。
赤い瞳のした魔女は儚げに、妖しく、悲しそうに微笑んで、
とある液体の入った瓶を人魚にあげました





ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

人魚の魔女



人魚は王子に恋をして、
共に歩めず恋を終わらせてしまいました。

泣き過ぎたせいで腫れた赤い瞳、
美しい声はかれた声、
日が経つにつれて彼女は「魔女」と呼ばれ、
ある日人間に恋をする人魚と出会う。
かつての自分のように・・・・
彼女は美しい声と取り戻す為、
声と引き換えに人間にすると約束した。

約束の代償で渡された小瓶・・・・
かつて魔女が愛した人の血の小瓶を渡して

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投稿日:2012/02/06 20:47:07

文字数:1,441文字

カテゴリ:小説

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