「大きくなったら、けっこんしよう!」
「うん!」
「きっとしあわせにするから、それまでまっててくれる?」
「もちろん!」
純粋な昔の僕等の約束。
それが叶うことなんて絶対ないのに。
何であんな愚かな夢を持っていたんだろう?
まあ、今の僕も変わりないけど。
「…レン?」
「何?リン」
「あれ見て」
とても可愛い僕の愛しい人がテレビ画面を指差す。
画面越しに見えるのは小さい頃の僕等。
僕等に向かって無邪気に夢を語る。
『大きくなったらリンはぼくのおよめさんになるんだ!』
僕等は双子。
そんな未来が訪れる筈がないのに。
「あの頃は純粋だったよねぇ」
リンはクスクスと笑いながら話す。
“私たち、双子なのに”
リンの言葉は僕の心の柔らかい所を深く抉っていく。
「でも、あの頃は本当にレンと結婚出来ると思ってた」
僕もそうだよ。
あの頃も今も僕は少し純粋過ぎたんだ。
だから、
「好きな人が出来たんだぁ」
そう話す君を
「…そっか」
避けたくなる。
だから、
「彼氏が出来たんだぁ」
そう話す君を
「おめでとう」
喜べなくなる。
だから、
「結婚するんだぁ」
そう話す君を
「っ…そう」
堪らなく壊したくなる。
…いや、壊してしまったんだ。
「…レン?」
「…なに?」
「その包丁どうしたの?何…する気?」
「見たらわかるだろう?」
“ミクオっ!”
嬉しそうに僕の知らない誰かを呼ぶ君なんか、
“あははっミクオの馬鹿!”
楽しそうに僕の知らない誰かに微笑む君なんか、
“ミクオ?ずっと、そばにいてくれるよね…?”
恥ずかしそうに僕の知らない誰かを求める君なんか、
「やめてっレン…!」
盗られる前に壊してやる。
「うわああああああああぁぁぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
自分はだれ?
君はだれ?
おなかに刺さる“それ”はなに?
何もわからない、わからないよ。
あれ、目の前が暗くなっていく。
暗い、怖いよぉ…?
おなかが赤いのは、おなかが痛いのは、なんで?
痛いよ、 いじめないでよ。
この金髪はだれの? なんか赤いよ?大丈夫?
ねえ、もしかして泣いてるの?
泣かないで。
「泣かないで…、…ン…」
「っ!…あああああああああぁぁぁぁぁあああああああああああああぁぁぁぁ!!!!!!!!?」
最後に聞こえた叫び声は、男のものか女のものかもわからない、双子の片割れの………………。
Ausblendung...
コメント0
関連動画0
オススメ作品
オレバナナ
なぁ、俺のバナナ知らねぇか?
(前奏)
(1番)
朝ごはんに食べていた、
俺のバナナ知らねぇか?
いつもの場所に置いてある、
あのバナナを知らねえか?
()
ほど良い、酸味と...オレバナナ
掙の琴
ミ「ふわぁぁ(あくび)。グミちゃ〜ん、おはよぉ……。あれ?グミちゃん?おーいグミちゃん?どこ行ったん……ん?置き手紙?と家の鍵?」
ミクちゃんへ
用事があるから先にミクちゃんの家に行ってます。朝ごはんもこっちで用意してるから、起きたらこっちにきてね。
GUMIより
ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)
漆黒の王子
A1
幼馴染みの彼女が最近綺麗になってきたから
恋してるのと聞いたら
恥ずかしそうに笑いながら
うんと答えた
その時
胸がズキンと痛んだ
心では聞きたくないと思いながらも
どんな人なのと聞いていた
その人は僕とは真反対のタイプだった...幼なじみ
けんはる
君は王女 僕は召使
運命分かつ 哀れな双子
君を守る その為ならば
僕は悪にだってなってやる
期待の中僕らは生まれた
祝福するは教会の鐘
大人たちの勝手な都合で
僕らの未来は二つに裂けた
たとえ世界の全てが
君の敵になろうとも...悪ノ召使
mothy_悪ノP
*3/27 名古屋ボカストにて頒布する小説合同誌のサンプルです
*前のバージョン(ver.) クリックで続きます
1. 陽葵ちず 幸せだけが在る夜に
2.ゆるりー 君に捧ぐワンシーンを
3.茶猫 秘密のおやつは蜜の味
4.すぅ スイ...【カイメイ中心合同誌】36枚目の楽譜に階名を【サンプル】
ayumin
「彼らに勝てるはずがない」
そのカジノには、双子の天才ギャンブラーがいた。
彼らは、絶対に負けることがない。
だから、彼らは天才と言われていた。
そして、天才の彼らとの勝負で賭けるモノ。
それはお金ではない。
彼らとの勝負で賭けるのは、『自分の大事なモノ全て』。
だから、負けたらもうおしまい。
それ...イカサマ⇔カジノ【自己解釈】
ゆるりー
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想