1A
今日は一日　雨の予報
どこも行けないとすねてみる
「そうだ、おうちカフェをしよう」
彼の気まぐれな提案に
まだ起ききらない顔のまま
うなずいたものの正直ね
まだ乗り気じゃなくて

1B
暗がりの中　手探り
電気つけ　顔を洗う
リビングの方から
なにか落ち着く音色

1S
コーヒー淹れる君がいて
ほっとしたような顔して　また
注いで　泡が生まれてく
部屋じゅうコーヒーの香りで満ちて
ボサノヴァに溶け込ませたら
ひとくち　心もほどける

2A
お昼を過ぎたら二人して
元気になってきて家事をする
とりあえずつけたワイドショー
強い雨は止まず

2B
洗濯物を乾燥にかけながら彼が言った
「インスタで見かけたバナナケーキ作るよ」

2S
コーヒー淹れて待ってると
やっとできたと得意げ　まだ
あつあつ　甘い香りがする
小さく切り分けたら　それぞれ
お気に入りのお皿にのせ
ひとくち　あまにがく溶ける

C
一緒になる前の
刺激はもう無いけど
君のそば　なぜか心が安らぐ場所なの

3B
いつの間に睡魔に襲われて　もう夕方
彼は本閉じつつ　「よく眠れた？」と笑う

3S
コーヒーを飲む君が好き
カップを持つしなやかな指
ゆっくり　最後のひとくち
日常に挟まれた非日常
あっという間に終わりを告げ
隣で寝息が聞こえる
小さく「ありがと」囁いて眠る

ラストA
暗がりの中に日が差して
いつもの始まり　朝が来る

————————-

上段:音の数
下段:ひらがな表記
( )内:一音につき二文字


1A

8 5 8 5
きょおわいちにちあ　めのよほお
どこもいけないと　すねてみる

3 3 3 3

そおだ　おうち　かふぇを　しよお

8 5 8 5
かれのきまぐれな　ていあんに
まだおききらない　かおのまま

8 5 6 3

うなずいたものの　しょおじきね
まだのりきじゃ　なくて


1B

7 4 5 6
くらがりのなか　てさぐり
でんきつけ　かおをあらう

5 4 7 3
りびんぐの　ほうから
なにかおちつく　ねいろ



1S

6 4 6 6
こーひーいれるき　みがいて
ほっとしたよな　かおしてまた

4 8
そそいで　あわがうまれてく

4 6 4 6 6
へやじゅう　こーひーのかおり　でみちて
ぼさのゔぁにと　けこませたら

4 8

ひとくち　こころもほどける


2A

8 5 8 5
おひるをすぎたら　ふたりして
げんきになってきて　かじをする

8 5 6 3

とりあえずつけた　わいどしょお
つよいあめわ　やまず


2B

7 4 5 6
せんたくものを　かんそーに　かけながら　かれがいいた

5 4 7 3

いんすたで　みかけた　ばななけえきつ　くるよ


2S

6 4 6 6
こーひーいれてま　あってると
やっとできたと　とくいげまだ

4 8

あつあつ　あまい(かお)りがする

4 6 4 6 6
ちいさく　きりわけたら　それぞれ
おきにいりの　おさらにのせ

4 8
ひとくち　あまにがくとける



C

5 3 7 3
いっしょになる　まえの
しげきわもおな　いけど

5 3 8 4
きみのそば　なぜか
こころがやすらぐ　ばしょなの



3B

5 4 5 6
いつのまに　すいまに　おそわれて　もおゆうがた

5 4 7 3
かれわほん　とじつつ　よくねむれたと　わらう



3S

6 4 6 6
こーひーをのむき　みがすき
かっぷをもつし　なやかなゆび

4 8
ゆうくり　さいごのひとくち

4 6 4 6 6
にちじょお　にはさまれたひ　にちじょー
あっというまに　おわりをつげ

4 8
となりで　ねいきがきこえる

4 4 8
ちいさく　ありがと　ささやいてねむる


ラストA

8 5 8 5
くらがりのなかに　ひがさして
いつものはじまり　あさがくる