初恋メロディー 未来音符 そのさん



「やばいよ?顔真っ赤っかだよ?」

海斗先輩が私の顔を覗きこむ

うっせぇ!見るな!見るな!あっち向け!

「み、見ないで下さいよっ!」

私はそう言って海斗先輩に背を向ける

「あぁ…ごめんごめん…じゃあ見ないよ」

「ぅぅ~~」

熱い…熱いよ…夏とかだったら「暑いから」と誤魔化せるのに…

「………」

「………」

「………」

私が何にも言わないと海斗先輩が

「…えっと、なんかジュースでも買ってくるね」

素晴らしく気を使ってくれた

「お、お願いします……ゆ、ゆっくりでいいです。

てゆーか、ゆっくりでお願いしまう。」

しまうと言ってしまった。恥の上塗りじゃん

「え、え~とゆっくりと言っても…」

「は、はい?どうかしたんですか?」

海斗先輩は後ろにいるから見えないが、目だけで後ろを見ると

「…すぐ横に自販機を見つけちゃったんだよね…

ど、どうしよっか?」

少しは自分で考えろよっ!!てゆーか私に聞くなよっ!!

「さ、さっき、コンビニがあったから、そ、そこまで行ってください…」

300mぐらい前にあったコンビニのことだ

「うん、じゃあ行ってくるね…割とゆっくりと…

あっ、何にする?」

だから聞くなよっ!!早く立ち去ってよっ!!

「何でもいいですよっ!!変なのじゃなきゃ何でもいいですっ!!

早く行ってくださいよっ!!先輩はバカですかっ!?」

がっーー!!と怒ると先輩は

「ごめんごめん!!分かった行ってくる!!

すぐに買ってくるよ!!あ、違った、ゆっくりと買ってくるよ!!

何だったら立ち読みもしてくるよっ!!じゃあ行ってくるっ!!」

と先輩はコンビニに向かった行った

はぁ~~

ガードレールに座り、パタパタと両手で顔を扇いで顔の熱を下げる

熱い…熱いよ…冬の風が欲しい……嫌になるほどの冷気が欲しい…

今は春だから3つ先の季節の風を欲しがる

はぁ~

扇ぐのを止め、自分の手を見る

しかし、先輩の手は私と違って大きかったなぁ、

それに友達の女の子と違ってちょっと硬かった、すごいなぁ…

私は男の子が字を書いてたり髪をいじったりと、

男の子の、手での何気ない仕草にたまにドキッとしてしまうことがある。

やっぱり私は手フェチなのかな?

友達に言ったら「それは絶対フェチだ!」と断言されたことがあるが、

やっぱりそうなのかな…よく目が行くってだけだし…

そこまでのフェチではないと思うんだがな~?

う~ん?

なぜかドキッとしてしまうだけだから、違うと思うんだけどなぁ~

自分のフェチ?について考えていると

「ゆっくりと買ってきたよ~

どっちにする?ファ○タのオレンジ味とグレープ味、どっちがいい?」

割とゆっくりだったな…

「じゃあ、オレンジ味で…」

「ほい」

ジュースを受け取り

「…ありがとうございます」

「ん~」

海斗先輩はガードレールに座ってる私の横に立った

ごくごく

2人でそれぞれファン○を飲む

炭酸はあんまり好きじゃないけど、たまに飲むとおいしい…

「………」

「………」

「…………」

「…………」

私が黙って飲んでると海斗先輩も何も言わなかった、

だから横目で先輩を、気付かれないように見ながら…

何か聞かれると思っていたけど、へぇ…

そこまでバカじゃないんだ…

さっきはバカと言ってごめんなさいと、心の中だけで謝った


「そういえばさ…」

「はい?何ですか?」

海斗先輩が私の方を向き

「何で顔真っ赤になったの?」

やっぱりバカだコイツ…

てゆーかっ!!

「何で今更それ聞いてくるんですかっ!?

もう完璧に流れたでしょっ!?ホントに先輩はバカですねっ!!

聞かないでくださいよ!!分かりませんかっ!?」

また、がっーー!!と怒った

「ご、ごめんっ!!コンビニ行ってる間ずっと考えていたんだけど、

全然分かんなかったから!!ごめんなさい!!もう聞きませんっ!!」

「それでいいです!!聞かないでくださいね!!これからもっ!!」

「はいっ!!聞きません!!」

「よしっ!!」

なぜか立場が変わっていた





空き缶を捨てて歩き出す

「何だかんだで暗くなっちゃったね…」

「そうですね…暗いですね」

少しだけ空がもう夜になっていた

「夜はヤダね、ボール見えにくくなるし、なんとなく時間が分からないし」

ライトを点けて時計見ればいいじゃん…

「そうですか?私は割りと好きですよ。

夜の匂いっていい匂いがするし、なんか落ち着きます」

「いい匂いって何?初めて聞いたよそんな表現…」

海斗先輩は?マークを浮かべ聞いてくる

あれ?分かんない?いい匂いしない?

「いい匂いはいい匂いですよ。

なんてゆーか、その日の色々な感情が混ざり合った、みたいな…

その日に色んな経験して出てきた色んな感情が、こう…1つになって、

もうすぐ眠りにつく、みたいな…

嬉しいことも悲しいことも全部1つになって、疲れて眠る前みたいな…」

自分の『夜のいい匂い』のイメージを頑張って言葉にする。

なんて言えば伝わるのかは、今まで何人かの人に話したけどまだ分かってない。

母親に言うとふ~~ん、ミクは感性がいいねぇ~~と呑気に返事して、

流香先輩に言ったら何の匂いに近い?と返されて困ったことがある。

唯一分かってくれたのは、おばあちゃんだけだった。

私はおばあちゃんと子供の頃によく、手を繋いで夜の散歩に出かけていた。

そして私が夜の匂いっていい匂い、と言ったらそうね…落ち着くいい匂いだね…

と優しく私の手を引っ張ってくれた。

でもどんな匂いかは思い返してみると言ってなかったなぁ…

私の言葉に海斗先輩は夜の匂いを嗅いで

「ふ~ん。よく分かんないや」

「そうですか?分かんないですか…」

そうか分かんないか…流香先輩も分かんないって言ってたし、

普通は分かんないだな…

ちょっと寂しいな…

「そういえば金曜に歌ってた歌って何なの?」

ん?金曜?

「はい?金曜って先週の金曜ですか?

歌ってたって、え?何で知ってるんです?」

やっぱりこの人はストーk「ストーキングはしてないよ」

先輩は私の思考を強制的に遮断した

「違うって言ったじゃん…

金曜に音楽室の前を通ったら歌ってんのが聞こえてきたの。」

「あぁ、そういうことですか…えっと」

金曜に歌っていたのは…

「3つ星桜、とゆう歌ですね」

「どんな歌なの?」

「男の子が女の子に、桜を見に行こうと言って二人で見に行く歌です」

「どんなとこがいいの?」

「女の子の視点なんですけど、その女の子が可愛いんですよ~

緊張して何も話せなかったり、男の子が買ってきた

コーヒーと団子をみて笑うんです。味覚変って、それがいいんですよ」

その歌の続きの話の歌も、私は好きだ

「ふ~ん、その歌ってCDとかあるの?ちゃんと聞いてみたいや」

「ありますよ。売ってます。私は持ってないけど流香先輩は持ってます。

私も最初は流香先輩に聞かされました」

ミクこれ聴いてみて~と流香先輩に聴かされたのだ

「そっか、じゃあ流香先輩に借りるかな…」

は?

「ダメですっ!!買ってください!!流香先輩に借りるのは無し!!」

私が急に怒鳴ると

「え?な、何で?叫ぶほどダメって何で?」

「私は流香先輩に憧れているんです!!そんな流香先輩に

海斗先輩みたいなストーカー疑惑が仲良くして欲しくないんです!!

やめて下さい!!流香先輩を汚さないでっ!!」

「酷ぇよっ!!いくらなんでも酷すぎるよ!!俺の心ズタズタだよっ!!」

「何で流香先輩なんですか?他の人でいいじゃないですか!?」

「今の会話から流香先輩以外にどーやって行くの!?なんで?

それこそ何で?ってなるよっ!!」

「はっ!!もしかして流香先輩に気があるんですか!?

もしそうなら合唱部を敵に回しますよ?みんな許しませんよ?」

「違ぇーよ!!なんでそうなんの?大体俺は…」

「流香先輩には海斗先輩よりも、もっと大人っぽい人が合うんです!!

海斗先輩には不釣合いです!!高望みしすぎです!!」

「だから酷ぇよっ!!心がかなりズタズタになってるよっ!?」

「もしその気があるって分かったら許しませんからね?

合唱部の先輩を呼んで闇討ちしますから。覚悟しといてください。」

「俺の話を聞いてるっ!?違うって言ってんじゃん?闇討ちするなよ…

流香先輩に対してその気はないよ…俺は他に…」

「流香先輩を好きじゃない!?ふざけるなよっ!!

あんなに美人でスタイルよくて優しい先輩を好きじゃない?

あんたそれでも男かっ!?女の私でもドキッとする仕草する人なんだぞ!?」

「どっちなんだよ!?好きになったら闇討ちして、好きじゃないと

ふざけるなって言って、何?俺どうすりゃいいの!?」



そんなアホな会話をしてるうちに私の家についた

大通りから横の道に入ってすぐが私の家だ

「それでは先輩ごきげんよう」

ペコリとお嬢様っぽく頭を下げて言うと

「普通はおやすみなさい、とかだと思うんだが…」

「送ってくれてありがとうございます?

これでいいですか?」

「なんで疑問符をつけたのさ?」

いちいち細かいなぁ…

「私の家が分かったからってストーk「だからしないって」

私が言い終わる前に先輩が遮断した

「それでは…」

そう言って家に入ろうとすると

「あっ、待って…」

ん?

「はい?何ですか?」

海斗先輩は少し言い辛そうに

「えっと、ミクちゃんはさ…」

待て待て待てっ!!

「なにいきなり名前で呼んでるんですか!?」

「え?あれ?俺今まで名前で呼んでなかった?」

「いやいや苗字ですら呼んだこと無いですよっ!?」

「あれ?そうだっけ?」

今までの会話を思い出してくれっ!!

「まぁいいや。んでミクちゃんは確か彼氏とかいないんだよね?」

「できれば苗字で…まぁ…いませんよ…」

「じゃあ…」





海斗先輩は少し赤い顔をして

「俺と付き合ってくんない?」

「はあぁぁぁぁ??」

「今日ミクちゃんに声かけたのもそう言うためだったし…ダメ?」

ダメ?って…

てゆーかこの人っ!

こんな大事なことを簡単に言うなんてっ!!

しかも私の家の前で!!

きっとこの人、軽い人なんだ!!

何人もの女の子にも同じこと言ってるんだ!!

「あ…」

「ん?あって何?」










「あんたみたいな軽い人嫌いなの!!!!」

夜の町に私の声が響いた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初恋メロディー 未来音符その3

初恋メロディー未来音符のその3です。

ミクも海斗に負けないぐらいアホっぽいなぁ…

閲覧数:48

投稿日:2011/12/08 14:17:28

文字数:4,455文字

カテゴリ:小説

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