「私、紫陽花好きなんだよね。」

「そうなの?俺は、あんまり好きじゃないんだけど。」

「何で?」

「だって、枯れてんのにいつまでも形残ってるじゃん。なんか、汚くない?」

彼のその言葉にドキッとする。
私も紫陽花と同じだから。
病気になって、彼が「綺麗」と褒めてくれた髪の色が白っぽくなった。
昔は何かあるたびに頭を撫でてくれたのに・・・・・・

「―ン、リン!」

「へ?何?」

「・・・聞いてなかったのかよ?」

彼の呆れた顔に、申し訳なくなる。

「ごめんね。」

「いや・・・別に・・・」

「えっと、何だっけ?」

「だから、リンは何で紫陽花好きなんだよ?」

「紫陽花って、赤色とか青色とかあって綺麗じゃない。雨の日って気分が沈むけど、紫陽花が咲いてると嬉しくなるし。」

嘘。
本当のことは言わない。
君との思い出が忘れられなくて、紫陽花に夢を抱いてるとか・・・

「リンって、変わってるよな。」

「そうかな?」

彼は私のことを見ようともしない。
話す言葉一つ一つに棘があることも気づいてる。



―ねぇ、レン?
私、醜いよね。
ごめんね。
それでも、レンのことが好きなの。
最近、レンが綺麗な緑色の髪の子と会っていることを知って、嫉妬なんかしてる。
傷つけているのは、私の方なのに。
私は『笑っているレン』が好きなの。



「ごめんね、レン。」

「何だよ、いきなり。」

「私と別れて欲しいの。」

「何「出てって。いますぐ出てって。」

一方的に彼を追い出す。
理由も言わず、一人で勝手に決めて。
最後まで彼を傷つけてばかり。

・・・でも、これでいいんだよね?
レンには、笑ってて欲しいの。




たとえ、姿が醜くなっても君に対する心は変わらない。
だから、君を、私自身を苦しめる。






ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

紫陽花 ver.魔熊

お題出し合いです。

紫陽花綺麗。
青色をよく見るから、赤色ってレアっぽい気がする。
全然雨降らない・・・

閲覧数:113

投稿日:2011/07/13 22:57:18

文字数:772文字

カテゴリ:小説

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  • 禀菟

    禀菟

    ご意見・ご感想

    悲しいな…
    レン、浮気はダメ、絶対。

    昨日道端で見たよ、赤い紫陽花!
    でもやっぱり青がいいな~

    2011/07/14 19:00:42

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